『恋する女たち』(大森一樹監督) | 新・法水堂

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『恋する女たち』



1986年日本映画 98分
脚本・監督:大森一樹
原作:氷室冴子(集英社文庫コバルトシリーズ)
製作:富山省吾 協力製作:市村朝一
撮影:宝田武久 美術:村木与四郎
録音:宮内一男 照明:大澤暉男
音楽:かしぶち哲郎 主題歌:「MAY」斉藤由貴
挿入歌(クレジットなし):「追い風のポニー・テール」斉藤由貴
監督助手:井上英之 スチール:石月美徳
編集:池田美千子 製作担当者:徳増俊郎

出演:
斉藤由貴(吉岡多佳子)
高井麻巳子(江波緑子)
相楽ハル子[現・相楽晴子](志摩汀子)
柳葉敏郎(沓掛勝)
小林聡美(大江絹子)
菅原薫[菅原加織](神崎基志)
原田貴和子(多佳子の姉・吉岡比呂子)
星由里子[特別出演](汀子の母・志麻汀香)
蟹江敬三(汀子の父)
川津祐介(基志の父・神崎剛志)
中村育二(汀子の恋人・小林博史)、渡辺祐子(多佳子の中学校の同級生・エリナ)、坂井徹(同・アキ坊)、上田耕一(松崎旅館番頭)、吉満涼太[現・吉満寛人](大学生)、泉本教子[現・泉本のり子](勝の恋人・可奈)、上田由紀、大川陽子、室井滋(国語教師)、大江千里[クレジットなし・写真](教育実習生・タツオ)、山形亜裕子[クレジットなし]

STORY
吉岡多佳子は金沢第一高校の2年生。白山の温泉町から出てきて、大学4年生の姉、比呂子と下宿生活をしている。彼女はクラスメイトの緑子の3度目の葬儀に、同じくクラスメイトの汀子と共に出かけた。緑子はクラス一の美少女だが、ショックを受けると葬儀をあげるのが趣味だった。しかし、今回の失恋のための葬儀は、今までのとは違っていた。その帰り、汀子からも好きな人がいると聞かされた多佳子はショックを受ける。親友二人の恋愛話に動転した彼女は、大胆なセクシャルシーンが売り物の映画に発作的に飛び込んだ。劇場を出たところで、クラスメイトの野球部員、沓掛勝が声をかけてきた。勝は多佳子の気になる相手なのである。最近、多佳子は誰かの視線をいつも感じていたが、それは比呂子が家庭教師をしていた一年生の神崎基志と判明した。もう一人、視ていた少女がいた。美術部で絵ばかり描いていたために留年した大江絹子である。絹子は多佳子のヌードを描きたいと言う。ある日、多佳子は汀子から彼氏、小林博史を紹介された。昔は超売れっ子の作詞家だったという30代半ばの歌人である。多佳子は神崎を誘って出かけた勝の野球の試合で、勝を応援する他校の少女、可奈の姿を見た。そして、勝に恋していることを認識し、左の横髪を切り落とした。そんな時、中学時代のツッパリ仲間とディスコに出かけた多佳子は、わざわざやって来た神崎から恋を打ち明けられる。そこに親衛隊に囲まれて緑子がディスコの女王として現れた。またその夜、汀子が博史が東京に戻ってしまうと酔って多佳子の部屋を訪れた。多佳子は偶然出会った勝から可奈との恋の悩みを打ち明けられ、ショックを受ける。どうしても自分の想いは口に出せないのだ。比呂子の卒業パーティーの夜、多佳子は勝が可奈に振られる姿を目撃、涙を流して神崎の家を訪れる。そして、神崎の父と比呂子の仲を知った。暖かくなり、多佳子、緑子、汀子の三人は、内灘海岸で野点をし話し合った。三人とも、失恋を経験してひと回り大きくなったようだった。大学を卒業した比呂子は、白山に戻った。多佳子は絹子のために絵のモデルになる決心をし、文化祭の美術展で裸体画の前に立ちどまる勝の姿を想像するのだった。【「KINENOTE」より】

大森一樹監督、斉藤由貴さん主演シリーズ第1作。大森監督を追悼して。

本作は恐らく初めて映画館で一人で観た映画(本当は友人たちと観に行く約束をしていたが、うまく落ち合えなかった。なんせ携帯電話のない時代なので。笑)。同時上映は『タッチ2』でしたな。

『サバカン』でも書いたけど、小学生の頃、斉藤由貴さんのファンだった私、おニャン子クラブでは断然高井麻巳子さん推し(という言葉は当時はなかったが)だったので、本作は何とも俺得な映画だった。
とは言え、まったく内容は覚えておらず、斉藤由貴さんが断髪するシーンと最後の断崖で野点をするシーンぐらいしか印象に残っていなかった。『ナインハーフ』を観に行ったり、サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』やツルゲーネフ『はつ恋』を読んだり、案外文学的だったのね。
高校生が普通に酒を飲んだり煙草を吸ったりするシーンがあるのも時代だなぁと思うけど、まだ恋がどんなものか分からずにいる少女たちの戸惑いが見事に映し出された作品となっていた。

それはそうと、菅原文太さんの長男で事故死した菅原加織さんは本作でデビューしたんですな……。