ダウ90000『いちおう捨てるけどとっておく』【配信】 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

ダウ90000 第4回演劇公演

『いちおう捨てるけどとっておく』

 

 

2022年10月5日(水)〜19日(水)

新宿シアタートップス

 

作・演出:蓮見翔

美術:杉山至、新海雄大 照明:岡野昌代

音響:栗原カオス 衣装:今村あずさ

音楽:スカート 舞台監督:谷渾拓巳、村山鈴夏

宣伝美術:hoppe 宣伝デザイン:柴田ユウスケ

制作:村山和弥 制作協力:YOU GO sign

 

出演:

上原佑太(アルバイト講師・沢井、大学1年生)

蓮見翔(室長・吉田、高卒)

飯原僚也(講師・田瀬)

道上珠妃(事務員・高島サキ、拓殖大学卒)

吉原怜那(事務員・甲斐保奈美、早稲田大学卒)

中島百依子(新人事務員・榎本ミワ、青山学院女子短期大学卒)

忽那文香(事務員・大橋カナコ、慶應義塾大学卒)

園田祥太(9浪生)

 

STORY

大学生になった沢井は昨年まで通っていた予備校で講師のアルバイトを始める。研修中の彼は模擬授業の準備に余念がない。そんなある日、事務員の甲斐がインナーを青く染め、高島が髪全体をピンクに染め、更に講師の田瀬がパーマをあててきて室長の吉田は余計なことをするなと呆れる。昼休みになると、向かいに住む9浪中の浪人生が、勉強に集中できないから自転車を広げて停めさせないようにクレームを入れに来る。新人事務員の榎本はすぐに職場に溶け込んでいたが、昼休み中にインテリアコーディネーターの試験を受けるための勉強をしている高島とは距離があり、遂にお互いに口論となってしまい、不穏な空気が漂う。


またしてもチケットが取れなかったダウ90000の最新演劇公演を配信にて。


舞台は予備校の事務室で、下手側が入口。手前にカウンター、上手側の棚にずらっと有名大学の赤本。カウンターの向こう側下手に大きな棚があり、有名ではない大学の赤本やファイルなど。棚の向こう側は控室へと続いている。上手に事務机が4つ、机上には電話やノートパソコン。奥にホワイトボードとブラインドの下りた窓。窓の手前の棚の上にラミネーター。


『旅館じゃないんだからさ』の上演台本が岸田國士戯曲賞の最終候補にノミネートされた蓮見翔さん、選評でケラリーノ・サンドロヴィッチさんが「この芝居を「笑えるだけ」とはまったく思わない」と書かれていたけど、直前の受賞予想なんかでは「笑えるだけ」という意見が散見されたのも事実。

本作は過去3作に比べると、より「笑えるだけ」ではない作品で、特に後半の高島と榎本(+カエ)との口論はダウ90000にしては珍しく険悪な雰囲気が漂うシーンとなっていた。そのお陰もあって、その後の沢井がお守りを半分にしてラミネート加工するほっこり度合が増していたように思う。

ただ、予備校の受付および事務室というかなり制限された舞台設定であっただけに話が展開しづらかったと見え、『旅館〜』や前回公演『ずっと正月』ほどの人間ドラマにはお目にかかれなかった。

 

次回公演は本多劇場とのことなので、さすがにチケット取れるよね…。


上演時間1時間35分。