『キンキーブーツ』(ジュリアン・ジャロルド監督) | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『キンキーブーツ』
Kinky Boots


2005年アメリカ・イギリス映画 107分
監督:ジュリアン・ジャロルド
脚本:ジェフ・ディーン、ティム・ファース
音楽:エイドリアン・ジョンストン
撮影:アイジル・ブリルド

編集:エマ・E・ヒコックス

衣裳:サミー・シェルドン


出演:

ジョエル・エドガートン(チャーリー・プライス)

チウェテル・イジョフォー(ローラ/サイモン)

サラ=ジェーン・ポッツ(ローレン)

ジェミマ・ルーパー(チャーリーの婚約者ニコラ)

ニック・フロスト(従業員ドン)

リンダ・バセット(メラニー)

ロバート・ピュー(チャーリーの父ハロルド・プライス)

ユアン・フーパー(工場長ジョージ)

スティーヴン・マーカス(ビッグ・マイク)

モナ・ハモンド(事務長パット)

ケリー・ブライト(ジーニー)

ジョアナ・スキャンラン(従業員トリッシュ)

ジェフリー・ストリートフィールド(ニコラの上司リチャード・ベイリー)

レオ・ビル(チャーリーの友人ハリー・サンプソン)

グウェンリアン・デイヴィス(コッブ夫人)

セバスチャン・ハースト=パーマー(幼少期のチャーリー)

コートニー・フィリップ(幼少期のローラ)

イラリオ・リシ=ペドロ(ローラの父)


STORY

イギリス・ノーサンプトン。父親から靴の美しさについて教えられて育ったチャーリーは、転勤になった婚約者のニコラとともにロンドンに引っ越す。それも束の間、チャーリーのもとに父親が突然亡くなったという報せが届く。急いでノーサンプトンに戻ったチャーリーは父親が経営していた靴工場を継ぐこととなるが、在庫の山を抱えて倒産寸前の状態だった。ロンドンで取引先を回っていたチャーリーは、ドラッグクイーンのローラに出逢う。その後、工場で働いていた15人の職人にクビを言い渡したチャーリーは、その中の一人、ローレンの一言がきっかけでドラッグクイーンが履くキンキーブーツの製作を思いつき、ローラに協力を依頼する。やがてミラノの国際見本市を目標にして、保守的なノーサンプトンの地でブーツ作りが始まる。


うーん、素材はいいのだけど、調理法をちょっと間違えちゃったかなという感じ。

『カレンダー・ガールズ』がよかったし、予告篇も面白そうだったのだけど…。


『カレンダー・ガールズ』同様、実話を基にしているが、恐らく後半の展開はほとんどフィクションだろう。

特に強い違和感を覚えたのが、ミラノ行きの前日、レストランでのローラとのやり取り。

それまでローラに理解があったチャーリーがなぜ急に彼(女?)を否定するような物言いをするのか説得力がない。いくらニコラがリチャードと浮気しているのが分かったからと言って、およそそれまでのチャーリーの言動からはかけ離れすぎている。

恐らくこれはチャーリーにキンキーブーツをはかせた格好でステージに立たせたかったがタメの展開なのだろうが、あまりに稚拙。

しかもローレンとくっつくだなんて、あっさりニコラを諦めて身代わりの早いことで。

どこまで事実に基づいているか知らないが、すべて事実通りだとしても、観客にワザとらしさを感じさせた時点でダメ。


あと、肝心の靴という小道具を活かしきれていないのも惜しい。

『イン・ハー・シューズ』ではないが、自分に合った靴というのは自分らしさの象徴でもある。もう少しそのあたり、自分の靴を手に入れていく過程とローラの内面の変化を重ね合わせて描いて欲しかった。

ローラ役のチウェテル・イジョフォーさんは頑張っていたのだけど。