ジュニアファイブ『白が染まる』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

ジュニアファイブ vol.13

『白が染まる』



2022年8月5日(金)〜12日(金)
駅前劇場

作・演出:小野健太郎
演出助手:大嶽典子 舞台監督:前木健太郎
大道具:倉本工房 舞台美術:寺田万里奈
照明プラン:横原由祐 照明オペレーター:遠藤宏美
音響プラン:島猛 音響オペレーター:川崎理沙
ドラマトゥルク:山崎理恵子
映像撮影:堀雄貴 映像編集:小野健太郎
衣裳プラン:青木隆敏 ヘアメイク:大嶽典子
宣伝撮影:大参久人 パンフレット撮影:横田敦史
宣伝ヘアメイク:MUU、工藤聡美
宣伝美術:岡野椋子
広告宣伝:宇佐見輝 撮影協力:高円寺ウシータ
グッズ製作:Wa5icchi-K- 制作:山崎智恵

出演:
紺野まひる(ヨシダジュンコ)
高野志穂(イシイヒトミ)
罍陽子(ツツミミユキ)
山崎静代[南海キャンディーズ](イケガミカズコ)
奥田努(ヒトミの夫イシイゴウ)
大村浩司(ジュンコの夫ヨシダコウジ)
成田浬(刑事カワウチ)
大嶽典子(スナックフォレスト・モリ)/小野健太郎[7日昼・11日昼のみ](共同経営者・モリ(兄))

STORY
​とある地方の看護専門学校で出会い、青春を謳歌した仲良し4人組。卒業後、連絡を取ることも少なくなったある日、4人は10年振りに再会する。彼女たちは再び意気投合、同じ職場で働くことになるが、共に青春を謳歌したあの頃とはまた違った結束を徐々に見せていく。“白”だった4人は、一体何色に染まっていくのか―。【公式サイトより】

2002年に4人の看護師が逮捕された久留米看護師保険金連続殺人事件をモチーフにした演劇集団Jr.5(ジュニアファイブ)新作公演。

舞台は対面式の客席。
中央に円形の台があり、その上にテーブルと椅子2脚。左右に板敷きの通路があり、下手にソファーとテーブル、椅子、上手にベンチ、椅子、ゴミ箱。上手の通路は劇場自体の扉へと分かれる。その他、中央からは奥の冷蔵庫や流しへと続く通路と上手奥のハケ口に向かって斜めに続く通路もあり。

この事件は大竹野正典さんの『夜、ナク、鳥』でも扱われていて、私は2018年に上演されたオフィスコットーネ版(演出:瀬戸山美咲)を鑑賞済。今回、登場人物の名前を実名のカタカナ表記にしているのはやはり意識しているのかな。
ちなみに同作へのオマージュ『さなぎの教室』(作・演出・主演:松本哲也)には小野健太郎さんもゴウ役で出演。今回と同じ駅前劇場で、同じく客席が対面式の舞台だった。

開演時間少し前に刑事がイシイを連れてきて、中央のテーブルに座らせ、一旦ハケる。見るからにこれから取調べが行われるという雰囲気で、彼女がどのような経緯で、どのような思いを持ってこの場に来たのか。開演前から思い詰めたような高野志穂さんの表情に見入る。
上記2作では主犯格のヨシダ(モデルとなった人物は既に死刑執行済)の強烈な個性が全面に出ていたが、本作ではそれほどではなく、むしろ小物感が漂う。
その最たる例がたびたび口にする「先生」で、その架空の存在によってその場その場を凌いできたに過ぎないことが見えてくる。
イシイが夫の愛人モリに会いに行き、モリの夫が死んでいないことを知ったことをきっかけにイシイは「先生」の存在を疑い始める。いわば洗脳が解かれた瞬間とも言えるが、最後、取調室でイシイの流す涙は後悔という言葉では言い表せないものを含んでいる気がした。

ところで一部、最初照明が薄暗くて、その後、ついたり消えたりするシーンがあったけど、機材トラブルでもあったのかな。

上演時間1時間48分。