梅田芸術劇場『サロメ奇譚』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

梅田芸術劇場

『サロメ奇譚』

Salome Oddities

 

 

【東京公演】

2022年3月21日(月・祝)~31日(木)

東京芸術劇場シアターイースト

 

原案:オスカー・ワイルド「サロメ」

脚本:ペヤンヌマキ 演出:稲葉賀恵

美術:池宮城直美 照明:松本大介 音響:佐久間修ー(POCO)

音楽:加藤史崇(POCO) 振付:新海絵理子

衣裳:武田久美子 ヘアメイク:石原ももこ ドラマトゥルク:山田恵理子

演出助手:平戸麻衣 舞台監督:棚瀬巧

宣伝美術:デザイン太陽と雲 宣伝写真:山岸和人

宣伝衣裳:内田あゆみ(クリエイティブギルド) 宣伝ヘアメイク:道海梨乃

 

出演:

朝海ひかる(サロメ)

牧島輝(預言者ヨカナーン)

ベンガル(サロメの義父、ユダヤグループ社長ヘロデ)

松永玲子[ナイロン100℃](サロメの母ヘロディア)

東谷英人[DULL-COLORED POP](支部長・南部)

伊藤壮太郎(社員・奈良坊人)

萩原亮介(社員・吉田/金城グループ御曹司・金城)

 

STORY

サロメは両親に心底うんざりしていた。血の繋がりのない義父ヘロデは常に自分を性的な目で見ており、下品な言動を繰り返す。実の母であるはずのへロディアも、サロメに過度な「女らしさ」を求め、一方で彼女の美しさに嫉妬していた。ある晩、実業家で資産家でもあるヘロデの還暦祝いが彼の豪奢な邸宅で開かれた。地元の名士たち集う中、突然現れた預言者ヨカナーンは、「権威ある者の破滅」を予言する。ヘロデはすぐにヨナカーンを捕らえるが、サロメは彼に急速に惹かれてしまう。誰もが知る「悲劇の歯車」が、ゆっくりと回りだしていく。【公式サイトより】


オスカー・ワイルドの『サロメ』をペヤンヌマキさんが現代を舞台に移し替えて翻案した作品。朝海ひかるさんは芸能生活30年だそうで。


舞台は2階建て構造。下手に階段。階下に椅子とランプ、階上にもランプ。天井にはシャンデリア。中央から上手にかけては上も下もカーテンが引かれ、向こうが風俗王ことヘロデの60回目の生誕祭の会場となる。1階部分にはいわゆる社長椅子がひとつ。


物語は東谷英人さん扮する南部によって語られていく。

今年になってから配信で観た趣向『パンとバラで退屈を飾って、わたしが明日も生きることを耐える』リーディング公演『ローマ帝国の三島由紀夫』でも引用されていたオスカー・ワイルドの『サロメ』をペヤンヌマキさんが翻案ということで期待していたのだけど、正直なところ、舞台を現代にした意味がほとんど感じられなかった。

本作のヘロデは王は王でも風俗王。このあたりはペヤンヌマキさんの得意分野でもあろうと思うのだけど、ただそれだけ。そこに現代的な視点からの批評性は微塵もない。


それよりも今回は役者陣がなっていなかった。

特にベンガルさんはどうしちゃったの?というぐらいぐだぐだで、ちょっと心配になるレベル。それに引きずられてか、朝海ひかるさんも盛大に台詞をトチっていたし、何よりこの2人の息が合ってなさすぎた。

そんな状態だから、サロメが踊りを踊った報酬としてヨカナーンの首を要求するといういわば一番の見せ場も締まらない。

朝海ひかるさんの踊りはよかったけどねぇ……。


1つ収穫としては、牧島輝さん。

色が白くて金髪で、雰囲気自体もヨカナーンの役にぴったりだった。


上演時間1時間28分。