『エッシャー通りの赤いポスト』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『エッシャー通りの赤いポスト』 

 

 
2020年日本映画 146分
脚本・監督・編集・音楽・タイトル:園子温
製作:井出清美、吉田尚剛 企画:松枝佳紀
プロデューサー:高橋正弥、小笠原宏之
撮影:鈴木雅也 照明:市川高穂 美術:畦原唱平 装飾:岩間洋、杉崎匠平
録音:大森円華 ヘアメイク:佐々木弥生 アクション指導:匠馬敏郎(坂口拓)
助監督:安川徳寛 制作担当:斎藤健志、望月政雄 演技事務:黒川麗美
アシスタント・プロデューサー:植地美鳩 音楽プロデューサー:菊地智敦

出演:藤丸千(矢吹安子)、黒河内りく(咲切子)、モーガン茉愛羅(正の元恋人・方子)、山岡竜弘(映画監督・小林正)、小西貴大(助監督・三井丈(ジョー))、藤田朋子(切子の母・咲ますみ)、諏訪太朗(プロデューサー・武藤圭吾)、渡辺哲(エグゼクティブプロデューサー・山室一郎)、吹越満(エキストラ・でん)、田口主将(エキストラ・志村隆史)、上地由真(新進女優・アノン)、縄田カノン(女優・松本ひろな)、鈴木ふみ奈(女優・瀬奈梨々香)、宮崎悠理(サード助監督・田屋ちひろ)、輝有子(スクリプター・黒木トキ江(キー))、基村優介(武藤のアシスタント・勉)、橘麦(衣裳部・立川)、永栄正顕(カメラマン・木村信夫)、橋本隆佑(音声・サオ)、佐伯紅緒(武藤の愛人・ミク)、鍛代良(千堂溝郎)、関幸治(相手役・小泉純)、盛井雅司(切子の夫の父・竜太)、永井ちひろ(角田カンナ)、錫木うり(小林監督心中クラブ・千堂楓)、徳留歌織(同・持村朝香)、烏森まど(同・木戸蘭子)、星名利咲(同・山村桃菜)、田澤陽奈子(同・辻佐津紀)、柴崎佳佑(映画監督・田村主税)、遠藤雄斗(助監督・松尾祐輔)、柊まこ(劇団員・小川夏芽)、桜井梨理(同・棚沢雛子)、とみやまあゆみ(同、ジョーの彼女・吉木久留美)、みよし(同・山野アズキ)、岸田茜(同・遠藤福美)、ひまり(夏芽たちの友人・近藤真千子)、小松広季(商店街エキストラ・ケン)、八ッ橋さい子(同・赤い風船の女)、中村莉久(若者たち・中島美久)、有田あん(同・小野田瑛子)、堀さやか(同・水野妙子)、たしろさやか(同・尾沢みつこ)、山崎美香子(同・泉アミ)、小川夏鈴(同・原田キコ)、伊藤亜美瑠(同・Jey)、山本宗介(同・フカミ)、二條正士(同・岡村晋(シン))、田中倫貴(エキストラ・稲葉隆史)、heim record(同、隆史の恋人・池田ニコラ)、河野通晃(同・木浦功治)、青木成巨(同・三峰敏朗)、高須賀浩司(工事現場誘導員・鈴木)、保田泰志(同・おっさん)、佐藤鯨(掘削工事作業員・マサコ)、北林佑基(同・ユウヤ)、土屋士(梶)、小澤真利奈(田村組俳優)、鳥羽潤(同)、奥村アキラ(郵便局員)、中條サエ子(カンナの母)、鷺沼恵美子(看護婦)、石綿大夢、今村祈履、植松俊、善知鳥いお、大原研二、大山実音、門田宗大、金谷真由美、狩野美沙子、唐澤里美、光徳瞬、河野将悟、小切裕太、小関悠佳、斉藤大樹、佐藤晃、柴山美保、庄司浩之、鈴木一成、清野りな、田島きよ乃、淡梨、戸張美佳、土屋詩織、永純怜、西富嵩行、野沢寛子、原田大輔、平野幸、平山りの、藤本紗也香、古川時男、古米翔太、辺見和行、松木大輔、モーガン蔵人、安田朝香、吉岡そんれい、坂口拓[クレジットなし]
 
STORY
鬼才のカリスマ映画監督・小林正は新作映画「仮面」のために、演技経験の有無を問わず出演者を募集する。オーディション会場に現れたのは、浴衣姿の劇団員、小林監督の親衛隊である“小林監督心中クラブ”、俳優志望の夫を亡くした若き未亡人・切子、殺気立った訳ありの女・安子、プロデューサーにまとわりつく有名女優など様々な経歴の持ち主たち。それぞれの事情を抱えた参加者たちは、小林監督の前で語り、演じていく。一方、助監督のジョーたちに心配されながら、小林は脚本作りに難航していた。そんな小林の前に、元恋人の方子が現れ、脚本の続きを書いてくれるという。1年前のある出来事を忘れることができない小林は、方子に励まされながら映画に打ち込み、刺激的な新人俳優たちを見つけ出すことで希望を見出す。しかし、エグゼクティブプロデューサーからの無理な要望を飲まなければならなくなり、自暴自棄に陥った小林は、姿が見えなくなった方子の行方を探すが……。【「KINENOTE」より】

『プリズナーズ・オブ・ゴーストランド』でハリウッドデビューを果たした園子温監督がワークショップで選んだ俳優を使って製作した作品。撮影は2年前に行われ、コロナ禍の影響で公開が延期されていたが、ようやく日の目を見ることに。

まさに待ってましたの園監督印。
メインキャストの他に、劇団員たち、小林監督心中クラブの面々、オーディションを受ける若者たち、エキストラ、工事現場の人々らが入り交じる群像劇となっているが、それぞれが自分の居場所を求めて叫んでいるかのよう。
個人的にお気に入りなのは心中クラブの面々で、全員白い服で一列に並んで〽丘を越え行こうよと歌うというだけで可笑しくて仕方ない。商店街の映画撮影シーンで、小林監督の顔が印刷された巨大なうちわみたいなものを持っていたけど、助監督はそこには注意しないのね。笑
カオスな映画撮影シーンから一転、園監督作品には欠かせない「俺」の旗を振りながら渋谷のスクランブル交差点で叫ぶラストのシーンなんていうのは、東京ガガガや初期作品を思い起こさせより一層胸熱(豊橋から渋谷へ瞬間移動)。
スクリーンから園監督のエネルギーがほとばしる作品だった。

ワークショップ組ではNODA・MAPに出たこともあるモーガン茉愛羅さん、劇団鹿殺しの有田あんさん&鷺沼恵美子さん、永井ちひろさんぐらいしか知っている人がいなかったけど、確かに演技力ではまだまだな面もありながら、役者陣の熱気が伝わってくる。藤丸千さんにしても黒河内りくさんにしても、今後の活躍が楽しみ。

本日は初日ということで、上映後に園子温監督、山岡竜弘さん、藤丸千さん、黒河内りくさん、小西貴大さんによる舞台挨拶。その後、サイン会もあり。
今回の一座でもう一本新作を撮る他、再びワークショップを開催して映画を撮るそうな。