ピンク・リバティ『とりわけ眺めの悪い部屋』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

ピンク・リバティ

『とりわけ眺めの悪い部屋』

 

 
11月10日(水)〜14日(日)
浅草九劇
 
作・演出:山西竜矢
音楽:渡辺雄司(大田原愚豚舎)
舞台監督:杉山小夜 音響:谷井貞仁、斎藤正樹(ステージオフィス)
照明:治はじめ 衣裳:キキ花香 演出助手:菊池遥
記録・フライヤー撮影・オープニング映像:米倉伸 フライヤー照明:大﨑和
宣伝美術:目黒水海 宣伝メイク:渡邉瑠菜 舞台メイク指導:安藤メイ
WEB:広垣友里絵 稽古場・舞台撮影:中島花子 脚本協力:濱﨑菜衣、中村幸貴
制作:柴田紗希、佐藤栞 運営:村田紫音 制作協力:momocan
 
出演:
湯川ひな(伊野夏子)
長友郁真[ハイバイ](シナリオライター志望・津島一郎)
富川一人[はえぎわ](一郎の先輩、編集者・宮本春夫)
葉丸あすか[柿喰う客](春夫の妻、編集者・宮本万美子)
北村優衣(バイト・南沢雪)
古野陽大[子供鉅人](編集者・川村太一)
斎藤友香莉(太一の恋人、フリーライター・木野紗和)
稲川悟史[青年団](フリーカメラマン・柴二太郎)
大西礼芳(編集者・桜井琴子)
 
STORY
繁華街に佇むそのアパートの一室は、隣に建った看板のせいで窓からの眺めがまるで見えなかった。毎夜看板の光が色とりどりに揺れるその部屋で、伊野夏子は死んだ。二十歳を迎える少し前に、彼女はしずかに幽霊になった。数年後。そこに引っ越してきた津島一郎に自分の姿が見えていることに、夏子は気付いた。一郎は恋人を持たず、友人も少なかった。夏子は彼を気に入った――。【公式サイトより】

『彼女来来』で映画監督デビューも果たした劇団子供鉅人の山西竜矢さんによるユニット、ピンク・リバティ新作公演。
 
舞台は津島一郎が住むアパートの一室。
下手に机、本棚。その横にソファー2つとテーブル、その下にラグ。上手奥にキッチンカウンター。その横にベッド。出入口は下手奥のみを使用。

一郎はシナリオライター志望だが、大学の映画サークルの先輩で編集者の春夫に声をかけられ、「相米慎二監督特集」の原稿を書くことに。
それから1ヶ月後、校了を祝って関係者が一郎の部屋に集まるところから物語が動き始める。まずその夜は春夫とバイトの雪の関係が一郎の妻・万美子の知るところとなり、雪と万美子がバトル。
数ヶ月後、ライターとして評価され、映画の脚本がなかなか書けないでいる一郎の部屋に川村、紗和、柴らが集まり、ここでもまた一悶着。紗和が恋人でもある川村からDVを受けているのではないかと柴が疑いをかける。
更に数ヶ月後、今度は一郎がいない間に春夫が琴子を口説こうとしていたことが発覚。
…といった具合にこの部屋は呪われているのではないかと思われるほどに(実際、幽霊に取り憑かれてはいるのだけど)人が集まると事件が発生する。
キャストは粒揃い、笑えるところもあり、全体的に楽しめたのだけど、もう少し幽霊という設定を活かして欲しかったところ。

キャストの中では前作『煙に抱く』に続いて葉丸あすかさんがニコニコした顔に妻としての誇りと矜持を滲ませる演技でよかった。そんな葉丸さんと対決する北村優衣さんの面構えもいい。
大西礼芳さんはコミカルな一面を垣間見せ、富川一人さんはクズ人間なのに憎めないキャラ。WOWOW『FM999 999WOMEN'S SONGS』の湯川ひなさんは独白の多い役どころを頑張っていた。
渡辺雄司さんによるオリジナル楽曲もよかった。

上演時間1時間54分。