『ファーストラヴ』(堤幸彦監督) | 新・法水堂

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『ファーストラヴ』



2021年日本映画 119分
監督:堤幸彦 
脚本:浅野妙子
原作:島本理生『ファーストラヴ』(文春文庫刊)
音楽:Antongiulio Frulio
主題歌・挿入歌:Uru「ファーストラヴ」「無機質」
撮影:唐沢悟 照明:木村匡博 美術:長谷川功
録音:渡辺真司 編集:洲﨑千恵子
衣裳:宮本まさ江
ヘアメイク:菊地弥生、園部タミ子
装飾:谷田祥紀 記録:奥平綾子
VFXスーパーバイザー:岩﨑朋之
音響効果:壁谷貴弘 スケジュール:白石達也
助監督:稲留武 制作担当:難波杏里
ラインプロデューサー:鈴木佳那子
プロダクション統括:千綿英久

出演:
北川景子(公認心理師・真壁由紀)
中村倫也(弁護士・庵野迦葉)
芳根京子(聖山環菜)
窪塚洋介(由紀の夫、迦葉の兄・真壁我聞)
木村佳乃(環菜の母・聖山昭菜)
板尾創路(環菜の父・聖山那雄人)
高岡早紀(由紀の母・真壁早苗)
石田法嗣(元コンビニ店員・小泉裕二)、清原翔(環菜の元恋人・賀川洋一)、佐戸井けん太(裁判長)、板垣雄亮(主任検事)、生島ヒロシ(ラジオパーソナリティー・森屋敷)、内村遥(陶芸家・南羽澄人)、田中幸太朗(出版編集者・辻憲太)、広山詞葉(迦葉の秘書・小山ゆかり)、吉田ウーロン太(コンビニ店員)、カゴシマジロー(由紀の父・真壁和夫)、坂上梨々愛(幼少期の聖山環菜)、菊地麻衣(幼少期の真壁由紀)、川面千晶(焼肉屋の女将)、管勇毅(我聞の父・真壁功徳)、キタキマユ(我聞の母・真壁律子)、大西利空(幼少期の真壁我聞)、長春駕(幼少期の庵野迦葉)、ふるごおり雅浩、岩本淳、比佐仁、桑原辰旺(武石)、こくぼつよし、酒巻誉洋(裁判官)、田山由起(同)、小林こずえ(迦葉の相弁護人)、大重わたる、砂川禎一郎、山田奈保、小川裕輔、芦原優愛(由紀のクライアント)、「報道1930」松原耕二、高畑百合子(TBSテレビ)、出水麻衣(TBSテレビ)、堤伸輔

STORY
川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。殺害されたのは彼女の父親。「動機はそちらで見つけてください」と話す容疑者・環菜の挑発的な言葉が世間を騒がせるなか、事件を取材する公認心理師・真壁由紀は、夫・真壁我聞の弟で弁護士の庵野迦葉とともに彼女の本当の動機を探るため、面会を重ねる。しかし、環菜の供述は二転三転し、由紀たちは翻弄され、真実が歪められてゆく。そんななか、由紀は環菜にどこか過去の自分と似た何かを感じ始めていた。やがて、自分の過去を知る迦葉の存在と、環菜の過去に触れたことをきっかけに、由紀は心の奥底に隠したはずの“ある記憶”と向き合うことになる……。【「KINENOTE」より】

島本理生さんの直木賞受賞作を堤幸彦監督が映画化。2020年には真木よう子さん、上白石萌歌さん主演でドラマ化も。

「ファーストラヴ」というタイトルから予想されるような甘酸っぱい内容ではなく、父親を殺害した環菜と彼女を取材する公認心理師の由紀、ふたりの女性が抱えたトラウマに関わってくる重たい内容。
それぞれの役を演じた北川景子さん、芳根京子さんがとてもよく、しっかり見応えのある心理ドラマとなっていた。「大どんでん返しもなくてつまらない」という感想を見かけたけど、ミステリーじゃないっつうの。

あとよかったのが、我聞の包容力を体現していた窪塚洋介さん。
窪塚洋介さんと堤幸彦監督と言えばドラマ『池袋ウエストゲートパーク』のキングなわけだけど、いい俳優になったなぁとしみじみ。
「目」がキーポイントとなる本作で、板尾創路さんをキャスティングしたのも大正解。

最後、1994年に真壁家の家族写真を撮るシーンで表札に7桁の郵便番号が書かれていたけど、郵便番号が7桁になるのは1998年からなのでアナクロニズムのエラーですな。