『無法一代』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『無法一代』

 

 

1957年日本映画 102分

監督:滝沢英輔

脚本:八住利雄 原作:西口克己「廓」より 三一書房版

製作:高木雅行 撮影:横山実 照明:吉田協佐 録音:神谷正和

美術:松山崇 編集:辻井正則 音楽:佐藤勝

助監督:藏原惟繕 特殊撮影:日活特殊技術部 製作主任:笹井英男

 

出演:三橋達也(鰐口貫太)、新珠三千代(妻・お銀)、芦川いづみ(石崎キクノ(菊奴))、宇野重吉(お銀の叔父・勢五郎)、清水将夫(碇川虎吉)、殿山泰司(徳屋久作)、沢村國太郎(南達)、利根はる恵(松田タケ(竹奴))、鏑木はるな、田中筆子(引手婆・大滝マン)、小峰千代子(お寅)、高野由美(キクノの母)、芦田伸介(鳶辰)、宍戸錠(役者の芳三)、相原巨典(清吉)、冬木京三(蝮の源吉)、佐野浅夫(喧嘩政)、大町文夫(金田警部補)、浜村純(望月楼)、天草四郎(松葉楼)、下元勉(泉弁護士)、松下達夫(国枝警部)、伊藤寿章(救世軍の男)、永井柳太郎(家主・岡本鹿七)、相馬幸子(=引手婆(一))、河上信夫(谷刑事主任)、井東柳晴、木島一郎(班長)、桜井将紀(縫之助の弟)、深江章喜(拷問される男)、川村昌之(石井二等兵)、峰三平(夜番)、原恵子(引手婆(三))、清水千代子(栄之助)、所寿子(愛之助)、藤田春子(恋之助)、根岸弘子(玉之助)、香月洋子、宮路正美(宝来亭の少女)、鈴村益代(引手婆(二))、(以下、主なクレジットなしの出演者)速水脩二(鰐口貫太と同じ隊の兵士)、三杉健(碇川組の組員)、柳瀬志郎(同)、伊豆見雄(同)、里実(中書島娼妓検番所の職員)、紀原耕(ある廓の主人)、吉田勇男(会合の出席者)、露木護(同)、二木草之助(伏見警察署の警官)、水木京二(伏見警察署に連行されて来る大工風の男性)、大森安行(中書島娼妓検番所にいる男性)、堺美紀子(中書島娼妓検番所にいる女性)

 

STORY

明治39年、貫太と女房のお銀は身内を頼り伏見中書島の遊郭へやって来た。貫太は貧乏人が故に軍隊ではあらぬ嫌疑をかけられて親友共々死地に追い込まれた経験があり、死に物狂いで金儲けをしてやろうと再起一番の地としてこの遊郭を選んだのだ。貫太は遊郭の中で空き部屋一室を借り、貫銀楼という店を開く。訳あり女三人を揃えて開店したこの店は、貫太の「貧乏人だからといって社会の隅で悶えている必要があるだろうか」という強い思いもあり、順風満帆な滑り出しを見せたかと思えたが、ある事件がきっかけで遊郭のボスである淀川と対立するようになり…。【日活公式サイトより】


シネマヴェーラ渋谷《没後二十年メモリアル 新珠三千代・美貌の罪》上映作品。

 

『「廓」より 無法一代』と表記してあることが多い本作だが、実際のクレジットは「廓」の文字の上に「無法一代」と表示されるのみ。そのタイトル通り、西口克己さんの『廓』を原作としているが、実の父をモデルにした作品だそうで。

 

同じく遊郭を舞台にした川島雄三監督『洲崎パラダイス 赤信号』(1956)と主要キャストが同じなので、あるいは二匹目の泥鰌を狙ったのかもしれないが、驚くぐらいに面白くなかった。笑

まずテンポが悪い。作品の方向性をどうしたいのか伝わってこない。最終的に「くそっ!わいは金をもうけたるぞ!わいは鬼やぞ!」と誓うような男が主人公なので、共感もしにくい。

芦川いづみさんは妊娠させられた揚げ句、自ら命を絶つ遊女という役どころなのだが、言葉は悪いけど死に損だったな…。