ゆうめい『姿』再演 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

ゆうめい

『姿』再演

 

 
2021年5月18日(火)〜30日(日)
東京芸術劇場シアターイースト
 
作・演出:池田亮
舞台美術・衣裳:山本貴愛 照明:中西美樹 音響:鈴木はじめ(妖精大図鑑)
ヘアメイク:二宮ミハル 衣裳スーパーバイザー:藤林さくら
舞台監督:竹井祐樹(StageDoctor Co.Ltd.)
記録映像:川本啓、田中涼子 記録写真:佐々木啓太
宣伝美術:りょこ HP制作:池田亮 票券:安達咲里、後藤かおり
制作助手:及川晴日 制作:いとうかな
 
出演:
高野ゆらこ(母)
五島ケンノ介(父)
中村亮太(子)
森谷ふみ[ニッポンの河川](声優/祖母)
遊屋慎太郎(俳優/祖父)
黒澤多生[青年団](アニメ監督/弟/若子)
児玉磨利(声優/若母/弟母)
石倉来輝[ままごと](若父/弟父)
田中祐希[ゆうめい](ディレクター/職員/取立/上司) 
山中志歩[青年団](技術スタッフ/職員/音響監督/取立)
開演・終演アナウンス:小谷浜ルナ
 
STORY
ヴァーチャルYouTubeの構成作家を務める子は、実の父を起用して番組を収録する。父は定年を迎え、オリンピックの推進事業に携わる区役所勤めの母とは熟年離婚することになっていた。その夜、初めて脚本を書いたアニメの放送を一緒に見ることにする子と父。子は父にアフレコで出会った声優の話をするが、出張のための荷物を取りに家に帰って来た母はアニメの脚本を書いたり豊島区で芝居をしたりする子を激しく難詰する。やがて物語は若き日の父母の出会いや子と親友・弟との交流へと遡っていく。

《芸劇eyes》選出作品。
2019年、三鷹市芸術文化センター星のホールで初演された作品を再演。
 
舞台には木枠で囲まれた2つの立方体があり、基本的には一面のみ接していて斜めに傾いているが、シーンによっては横に繋がったり、縦に繋がったりもする。
下手側の立方体は父と子の家で2人掛けのソファにローテーブル、コートハンガー。壁替わりにスクリーンが上げ下げされる。天井からは照明器具。上手側はスチール製のテーブルがあり、壁に蛍光灯。上手床に白い椅子が2つ。
 
基本的には、舞台装置含め、初演を踏襲。
初演では母に芝居のことを聞かれた子が「三鷹でやることになっている」と答えるところが、「豊島区」に変更。公演の時期も「(2019年から見て)2年後の夏」となっていた。
 
この2年の間に世界はもとより演劇界も大きな変化を迫られた。
子がアニメ好きだった親友・弟のことを想いながら、競走馬が女性に擬人化されたアニメを否定する母親に反論するシーンは、演劇、映画、音楽、芸術、等々の文化が必要不可欠のものであることを実感した時期を経た後で見ると、尚更強く胸に迫ってくるものがあった。
 
その一方で、母親の立場も今となっては皮肉なものとなる。
母親が目指している2020年の東京オリンピックは延期され、それから1年を経て、ほとんどの人が開催に反対しているという今の状況を踏まえて見ると、母親が何だか哀れにも見えてくる。そのせいか、何だか今回は母親にも共感できる部分が多かったな…。
 
今回も開演・終演アナウンスは池田亮さんの実母・小谷浜ルナさんが担当。作品で描かれている内容は事実と違うこともあり、現在も池田姓のままとのこと。笑
 
上演時間2時間2分。