『ガメラ対大悪獣ギロン』
1969年日本映画 82分
監督:湯浅憲明
製作:永田秀雅 企画:仲野和正 脚本:高橋二三
撮影:喜多崎晃 特殊撮影:藤井和文
録音:飛田喜美雄 照明:上原正一 美術:井上章
音楽:菊池俊輔
主題歌:「ガメラマーチ」
歌:大映児童合唱団、作詞:永田秀雅、作編曲:広瀬健次郎 大映レコード
美術:矢野友久 特撮合成:金子友三
照明:石森七郎 操演:金子芳夫 音響効果:小島明
編集:宮崎善行 助監督:小林正夫 製作主任:川村清 現像:東京現像所
出演:加島信博(明夫君)、クリストファ・マーフィ(トム君)、秋山みゆき(明夫の妹・友子ちゃん)、船越英二(志賀博士)、大村崑(近藤巡査)、浜田ゆう子(母・邦子)、イーデス・ハンソン(ママ・エルガ)、笠原玲子(宇宙人・フローベラ)、甲斐弘子(同・バーベラ)、夏木章(新聞記者)、遠藤哲平(同)、中田勉(同)、南堂正樹(天文台の助手)、喜多大八(巡査)
STORY
冒険好きの少年明夫とトムは、不時着した無人宇宙船で遊んでいるうちにハッチが閉まり、宇宙に飛び出してしまった。二人を心配したガメラは宇宙船を護衛したが、途中ではぐれてしまった。やがて、自動操縦される宇宙船は謎の発進基地に戻った。だが、この星は荒涼たる廃墟で、恐しい怪獣が跳梁しており、二人は怪獣ギャオスと獰猛な悪獣ギロンとの凄絶な格闘に肝を冷すのだった。ギャオスを倒したギロンに見つかった二人だったが、瞬間移動をする円錐形のボックスに入って難を逃れる。やがて、基地のコントロール・センターに来た少年たちは、電子翻訳装置を使って日本語を話す二人の女性に出会った。明夫とトムは、この星の素晴らしい文明の一端を見て驚き、地球への帰還をも約束して喜んでいた。ところが、彼女たちは仲間たちを食べて生きのびていたのだ。明夫とトムは睡眠薬を飲まされ、宇宙人たちが明夫の頭髪を剃って解剖をしようとした瞬間、少年たちの後を迫っかけて来たガメラが現れる。ガメラが少年の味方であることを知った宇宙人は、リモコンを使ってギロンをけしかけ、ガメラと闘わせた。二転、三転、ガメラは少年たちの活躍もあってギロンを倒し、少年たちの乗り込んだ宇宙船を口にくわえ、地球に戻っていった。【「KINENOTE」より加筆修正】
ガメラシリーズ第5作。
前作に引き続き、主人公は日本人と白人の少年の組み合わせ。
この2人がほとんど棒読みなのがキツいところではあるが(そう考えると現在の子役ってうまいよねぇ)、兄たちが宇宙船に乗ってどこかへ行ってしまったことを母親たちに信じてもらえない明夫の妹・友子ちゃんがなかなか可愛らしい。
そんな友子を信じてやるのが大村崑さん扮する警察官。近藤だから「コンちゃん」と呼ばれ、最後に明夫たちが地球に戻ってきたときは眼鏡をズラし、「嬉しいと眼鏡が落ちるんですよ」とオロナミンCのCMでお馴染みのフレーズも。
本篇は前作より遥かにまともで、本作でも過去作品の流用はあるが、さほど気になる長さではない。
また、大悪獣(なんちゅうネーミング)ギロンの造形にインパクトがあり、包丁のような頭部を使って宇宙ギャオス(地球のとは色が違う)の頭や体を切り刻むなんていうちょっと残酷なシーンも。そこでの切り離されたギャオスの肉体の動きがなかなか見事。
ちなみにギャオスの肉は臭くて食べられないらしい。笑
明夫とトムの2人が出会う宇宙人に扮しているのが笠原玲子さんと甲斐弘子さん。特に笠原さんは第2作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』の時とはまったくの別人。
しかし宇宙人となるとマントを着がちなのはなぜだろう。笑
世相的なものも反映されていて、近藤巡査が勤務する交番には前年の12月に発生した3億円事件の犯人のモンタージュが貼られ、ガメラがゴーゴーダンスを踊っているような仕種をする場面も。
なお、トム君がかぶっている帽子はロッテオリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズ)のもの。
この年に東京オリオンズから改称されたのだが、引き続き経営は大映が行っていたそうな。
斡旋を行ったのが大映の社長・永田雅一氏の友人・岸信介氏だったとは…。