1987年日本映画 107分
原作・脚本・監督:山田洋次 脚本:朝間義隆
プロデューサー:島津清 企画:小林俊一
撮影:高羽哲夫 美術:出川三男 音楽:山本直純
録音:鈴木功 調音:松本隆司 照明:青木好文 編集:石井巖
スチール:長谷川宗平 監督助手:五十嵐敬司
装置:小島勝男 装飾:町田武 美粧:宮沢兼子 衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所 進行:副田稔 製作主任:峰順一
主題歌:「男はつらいよ」作詩:星野哲郎、作曲:山本直純、唄:渥美清
「知床慕情」作詩・作曲:森繁久彌
協力:北海道斜里町、羅臼町、中標津町、柴又神明会
出演:渥美清(車寅次郎)、倍賞千恵子(諏訪さくら)、三船敏郎(上野順吉)、竹下景子(上野りん子)、淡路恵子(スナック“はまなす”のママ・悦子)、下條正巳(車竜造)、三崎千恵子[三﨑千恵子](車つね)、前田吟(諏訪博)、笠智衆(御前様)、太宰久雄(朝日印刷社長・桂梅太郎)、佐藤蛾次郎(源吉)、吉岡秀隆(諏訪満男)、美保純(小島あけみ)、すまけい(知床丸の船長)、関敬六(ポンシュウ)、イッセー尾形(医師)、笹野高史(アパートの管理人)、冷泉公裕(知床海洋ホテルの二代目)、赤塚眞人(船員・マコト)、油井昌由樹(漁協理事・文男)、坂本長利(離農する男・谷口)、笠井一彦(印刷工・中村)、マキノ佐代子(朝日印刷職員・ゆかり)、川井みどり(柴又マラソンスタッフ)、石川るみ子(江戸家の女将)、倉山理恵、天野立子、篠原靖治(はまなすの客)、小原忍[HBC](レポーター)、出川哲朗[クレジットなし](板前姿の男)
STORY
久しぶりに寅次郎が帰ってきたというのに、“とらや”は竜造が入院のため休業中。翌日から店を開けるというつねに、寅次郎は手伝いを買って出るが勤まる訳がない。またまた口論の末、飛び出した。北海道の知床にやって来た寅次郎は、武骨な獣医・上野順吉が運転するポンコツのライトバンに乗ったのが縁で彼の家に泊ることになる。順吉はやもめ暮らしで、この町のスナック“はまなす”のママ・悦子が洗濯物などの世話をやいていた。“はまなす”は知床に住む気の良い男たちのたまり場で、常連は船長、マコト、文男、それにホテルの経営者の通称“二代目”たち。そこに寅次郎が加わって宴はいっそう賑いだ。そんなある日、順吉の娘・りん子が戻って来た。駆け落ちして東京で暮らしていたが、結婚生活に破れて傷心で里帰りしたのだ。寅次郎たちは暖かく迎えたが、父親の順吉だけが冷たい言葉を投げつける。身辺の整理のため、東京に一度戻ったりん子は寅次郎からの土産を届けにとらやを訪れ、さくらたちから歓待を受けた。とらやの面々はまた、寅の病気が始まったと想うのだった。東京から戻ったりん子も囲んで、“知床の自然を守る会”と称するバーベキュー・パーティが広々とした岸辺で開かれた。そこで一同は悦子が店をたたんで故郷に帰る決心であることを知らされた。順吉が突然意義を唱え、寅次郎は「勇気を出して理由を言え」とたきつける。順吉は端ぐように「俺が惚れてるからだ」と言い放った。悦子の目にみるみる涙が溢れる。船長が「知床旅情」を歌い出し全員が合唱した。寅次郎はりん子に手を握られているのに気づき身を固くした。その晩“はまなす”では宴会が開かれ、順吉と悦子は結婚することになった。翌朝、寅次郎が別れも告げずに旅立ってしまったことを知り驚くりん子。船長がりん子に惚れてるんじゃないかとからかったためだった。東京に戻り職をみつけたりん子はとらやを訪れる。その頃、寅次郎は岐阜で初秋を迎えていた。【「KINENOTE」より】
シリーズ第38作。
今回は珍しく冒頭の夢シーンはなし。
志村喬さん、宮口精二さんに続いて七人の侍の一人、三船敏郎さんがゲスト出演。
周りからは変わり者と思われている愛想のよくない頑固親爺といういかにも三船さんらしい役どころ。志村さん、宮口さんと揃って子供と折り合いが悪いというね。
その一方で、寅さんは三船さん扮する獣医・順吉が悦子に惚れていると勘づき、悦子に思いを伝えるようにけしかける。世界のミフネにそんなことが言えちゃうのは寅さんぐらいのものだろうけど、三船さんのこういった告白シーンはなかなか珍しいかも。
お相手の淡路恵子さんは離婚後、20年ぶりの映画出演が本作。カッコよろしいなぁ。
順吉の娘に扮する竹下景子さんは、第32作『口笛を吹く寅次郎』に続いて2度目のマドンナ。
いやー、これまたショートカットが似合っていて可愛いのなんの。
船長に“りん子ちゃんに惚れてんじゃないの?”と言われた寅さんが怒り、別れも告げずに旅立ったというよく分からない展開で結末を迎えてしまったのが残念。