東京芸術祭2020『ダークマスターVR』 | 新・法水堂

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東京芸術祭2020 芸劇オータムセレクション
『ダークマスターVR』
 
 
2020年10月9日(金)~18日(日)
東京芸術劇場シアターイースト
 
原作:狩撫麻礼  画:泉晴紀 エンターブレイン「オトナの漫画」所収
脚色・演出:タニノクロウ
 
美術:カミイケタクヤ  照明:阿部将之(LICHT-ER)
音響:佐藤こうじ(Sugar Sound)、松宮辰太郎(catSSound)
音響協力:大橋純七(casSSound)、古川直幸(Led Cetus)
映像:松澤延拓  映像編集:松尾佑一郎  撮影:神林裕介  映像助手:堀田創
VRシステム:野村つよし、田中一郎、水谷駿、高見亮
舞台監督:夏目雅也、ニシノトシヒロ
演出助手:菊池遥  演出部:井上和也
宣伝美術:山下浩介  宣伝映像:松澤延拓  稽古場写真:杉能信介
制作助手:柿木初美  制作:小野塚央
 
出演(VR映像):
FOペレイラ宏一朗(“若者”)
金子清文(マスター)
日高ボブ美(デリヘル嬢)
たなべ勝也(客)
大内彩加(客)
内田倭史(客)
廣川真菜美(客)
宮地洸成(客)
照井健仁(客)
ナレーション:大内彩加
 
STORY
“あなた“はお腹が空いている。あてもなく歩いていると薄暗い路地裏に一軒の古い洋食屋を見つけます。入り口の扉を開けてみるとすぐに揚げ物や炒め物の匂いが混じり合った独特な良い香りが鼻をくすぐります。クセのありそうなマスターがいる。こういうお店は絶対美味い。メニューの中から大好きなコロッケ定食を選んでみましょう。しばらく待って…ほら、出来上がった。見た目最高、いただきましょう。揚げたての衣が音を立て割れると、中から熱々の甘い芋が胡椒のきいた挽肉とともに口いっぱいに広がる。ハフハフ、堪らない。しばらく夢中になって食べている…が、なんだか視線を感じる…。マスターがニヤケながら近づいて来てあなたの耳に小さなイヤホンをねじ込む。「今日からこの店のマスターになれ」“あなた“はどうする?【公式サイトより】

2003年の初演以来、フランスやオーストラリアでも上演されてきた庭劇団ペニノの代表作をVR作品として再現する試み。
 
劇場に入ると20の個室ブースが用意され、観客はその1つに着席。
三方をマジックミラーで囲まれ、指示に従ってVRゴーグルとヘッドホンを装着。
すると目の前にはキッチン長嶋の扉。
観客はキッチン長嶋の客となって、コロッケ定食を頼み、それを食する。
咀嚼音が最近流行りのASMRとなって口の中には唾液が……笑
 
その後、マスターから店を託されてからはカウンター内からの眺めとなり、イヤホンから聞こえるマスターの指示通り、ステーキやパスタを作る。
『ダークマスター』と言えばオムライスなのだが、こちらは画面が切り替わったら出来上がっていてちょっと残念。
 
しかしこの『ダークマスター』ほどVR化に適した作品はないのではなかろうか。
この作品には食欲だけでなく性欲も重要なファクターとして登場するが、食欲も性欲も人間の五感に関わってくることであり、五感を刺激するVR作品にはまさにうってつけ(デリヘル嬢のシーンは女性はどういう気持で観ていたんだろう。笑)。
もう少し匂いでも楽しませてくれるとよかったのだけど。
 
上演時間約50分。