『男はつらいよ 噂の寅次郎』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『男はつらいよ 噂の寅次郎』

 

 

1978年日本映画 105分

原作・脚本・監督:山田洋次  脚本:朝間義隆
製作:島津清  企画:高島幸夫、小林俊一
撮影:高羽哲夫  美術:出川三男  音楽:山本直純
録音:中村寛  調音:松本隆司  照明:青木好文  編集:石井巖

スチール:長谷川宗平  監督助手:五十嵐敬司

装置:小島勝男  装飾:町田武  進行:玉生久宗  製作主任:峰順一

主題歌:「男はつらいよ」 作詞:星野哲郎、作曲:山本直純、唄:渥美清

 

出演:渥美清(車寅次郎)、倍賞千恵子(諏訪さくら/さく)、大原麗子(荒川(水野)早苗)、下條正巳(車竜造)、三崎千恵子[三﨑千恵子](車つね)、前田吟(諏訪博/博吉)、笠智衆(御前様)、志村喬(博の父・諏訪飈一郎)、泉ピン子(小島瞳)、室田日出男(早苗の従兄・添田肇)、大滝秀治(雲水)、太宰久雄(朝日印刷社長・桂梅太郎/タコ兵衛)、佐藤蛾次郎(源吉)、中村はやと(諏訪満男)、吉田義夫(さくの父)、明石潮(住職)、津嘉山正種(川辺の絵描き)、久世竜之介(カップルの男)、遠藤正登、熊倉正博(友子の夫)、池田まさる(とらやの客)、宗田千恵子(早苗の姉・友子)、滝真奈美、光映子(ご近所)、泉マキ、長谷川英敏(印刷工)、木村賢治(同)、羽生昭彦(同)、笠井一彦(同・中村)


STORY

旅先で偶然、博の父・飈一郎と出会った寅は、そこで飈一郎に人生のばかなさについて諭され、「今昔物語」の本を借りて、柴又に帰った。その頃、“とらや”では、職業安定所の紹介で、荒川早苗が店を手伝っていた。寅は帰るや否や、家族を集めて、飈一郎の受売りを一席ブツのだった。翌朝、修業の旅に出ると家を出ようとするところに、早苗が出勤して来た。彼女の美しさにギョッとする寅だが、旅に出ると言った手前、やむなく、店を出た。通りを歩いていると、さくらに出会った寅は急に腹痛を訴えるのだった。救急車で病院に担ぎ込まれた寅だが、たいしたこともなく、家に帰った。早苗が現在、夫と別居中であることを聞いて、寅はウキウキしながらも、彼女を励まし、力づけた。ある日、早苗は従兄の添田に夫の離婚届を渡された。その日の夜、早苗は寅の優しい心づかいに思わず涙ぐみ、“寅さん、好きよ”とまで言うので、“とらや”一家やタコ社長の心配はつのる一方であった。暫くして、早苗の引っ越しの日、手伝いに出かけた寅は、そこで生徒を連れてキビキビと働く添田を紹介された。高校で教師をしている添田は密かに早苗を慕っていた。気やすく早苗に話しかける寅に、撫然とする添田。やがて、そんな添田が、“とらや”に早苗を訪ねてきた。添田は外出している早苗を暫く待っていたが、意を決するように立ち上がると、手紙と預金通帳を早苗に渡すように寅に託して立ち去るのだった。添田が出て行くと、入れちがいに早苗が戻って来た。その手紙は、「僕は学校を辞めて、故郷の小樽に帰るが、早苗は頑張って生きて欲しい」という内容で、預金通帳には百万円の数字が一行目に記入されていた。添田の気持を悟った寅は、「早く後を追え、今ならまだ駅にいる」と躊躇する早苗を説得するのだった。寅の顔を凝視していた早苗は、振り返ると、駅に向かって駈けだした。その姿を見届けた寅は、家族の止める声を背に受けて、また旅に出るのであった……。【「KINENOTE」より加筆訂正】


シリーズ第22作。

 

今回、『男はつらいよ』シリーズは毎週土曜日にBSテレ東で放送されている「土曜は寅さん!4Kでらっくす」で見直しているのだけど、先週は『今昔物語』を題材にしたリーディング公演『鬼ものがたり』のため、リアルタイムでは視聴できなかった。で、3日遅れで見たところ、ここにも『今昔物語』が出てくるという偶然。や、それだけなんですけどね。笑


本作のマドンナは大原麗子さん。

これがまぁ可愛らしい。可愛らしさの中にもとらやの皆さんやタコ社長が口を揃えて言うように色気もある。

あのちょっと甘えたような声で「寅さん、好きよ」なんて言われたら、寅さんならずともその気になろうというもの。


早苗には別居中の夫がいる。登場時に夫と死別していたり離婚していたりするマドンナはいたが、既婚者という設定は結構珍しいのでは。

無事?離婚が成立して喜ぶ寅さんだが、早苗の従兄・添田の気持を見抜き、早苗の背中を押して二人をくっつけようとする。

室田日出男さん扮する高校教師・添田は口下手で自分の気持をうまく伝えられないのだが、大体こういうポジションの登場人物って似たようなキャラクターよね。インテリかつ口下手。寅さんとは正反対。笑(博の父も同類だけど)


旅に出る寅さんがタコ社長に「お前とはゆっくり飲みてぇと思っていたけど、また今度だ」と別れ際に言う台詞もいいのよねぇ。普段、顔を合わせれば喧嘩ばかりしているのに、根っこの部分では信頼しあっていることがよく分かる。いやむしろ、信頼しあっているからこそ、思いっきり喧嘩ができるのであろうなぁ。