岡本玲×中山求一郎 二人芝居
『ダニーと紺碧の海』
2020年1月17日(金)~20日(月)
下北沢 楽園
作:ジョン・パトリック・シャンリィ 訳:鈴木小百合
美術:福島奈央花 照明:阿部麻純 音響:橘かおり
舞台監督:内藤恵 映像:西岡伊吹 衣装:中田クルミ
制作:山本真梨子、丸山香織(アナログスイッチ)
宣伝美術:中田クルミ 宣伝写真:信岡麻美 宣伝ヘアメイク:豊田千恵
出演:
中山求一郎(ダニー(29歳))
岡本玲(ロバータ(31歳))
STORY
ニューヨーク・ブロンクスの深夜のバー。二人の傷付いた男女が偶然出会う。繊細な心の痛みを暴力でしか吐き出せず、孤独から逃れられないでいる男、ダニー。過去に犯した罪から立ち直れず心を閉ざし、極限状態の中にいる女、ロバータ。ぎこちない会話から、互いの傷を徐々にさらけ出しぶつかり合い、罵り合い、不器用に二人は関わり合っていく…。(公演チラシより)
映画『月の輝く夜に』でアカデミー脚本賞、戯曲『ダウト―疑いをめぐる寓話』でピューリッツァー賞戯曲部門を受賞したジョン・パトリック・シャンリィさんによる二人芝居。1983年初演。
日本では2017年にパルコ・プロデュース公演として上演されていて、その時は松岡昌宏さん、土井ケイトさんが出演、藤田俊太郎さんが演出だった。
今回は岡本玲さんと中山求一郎さんの自主企画として上演。演出がクレジットされていないのは、演出は立てずに二人で作り上げたということかな。
1時間半ほどの上演時間で主な場面は3つ。
それぞれが30分ほどの長さというきっちりと脚本の作法に則った構成。
最初はバーのシーンで2人が出会い、ロバータの家に行くことになるまで。
2つ目のシーンになる前に幕が取り除かれ、ベッドや家具、窓が登場。
恐らく深夜、事が済んで2人はベッドの中。ダニーは結婚を申し込み、ロバータも受け容れる。
3つ目のシーンが翌朝、同じ部屋。
ロバータは昨夜とは一転、「結婚できない」と言い出し、ダニーが激怒する。
初対面の男女がここまでディープなやりとりをするようになるだろうかという疑問はさておき、ダニーにしてもロバータにしても不器用な生き方しかできない彼らの応酬に引き込まれた。
岡本玲さんの舞台を観るのは初めてだったけど、テレビドラマやCMなどで見せる表情とはまったく違い、声も低めに抑えて人生に疲れ切った女性を演じる。ダニーとの口論や摑み合い、更には首を絞められたり物を投げつけたりと精神的にも肉体的にもキツそうだけど(右脚の痣が痛々しい)、13歳の子持ちで父親とヤッた過去を持つロバータを演じ切るという気迫が伝わってくる。だから、多少台詞をトチっても却ってそれがリアリティを生み出す。
間違いなく本作は岡本玲さんにとってターニングポイントとなる作品となることだろう。
対する中山求一郎さんはもう少しボリュームを抑えてくれるといいのだけど……。
上演時間約1時間25分。