燐光群『憲法くん』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

燐光群『憲法くん』

 
 
2019年11月29日(金)~12月8日(日)
座・高円寺1
 
原作:松元ヒロ(協力:水島朝穂)
台本・演出:坂手洋二
 
照明:竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
音響:島猛(ステージオフィス)
音響操作:中山美里  音響サポート:半田充(MMS)
舞台監督:森下紀彦  美術:じょん万次郎
衣裳:小林巨和  擬闘:山村秀勝
演出助手:村野玲子、中山美里
文芸助手:清水弥生、久保志乃ぶ
監修:馬奈木厳太郎  宣伝意匠:高崎勝也
舞台収録・写真撮影:姫田蘭
制作:古元道広、近藤順子
 
出演(登場順):
大西孝洋(男/憲法/新首相)
川中健次郎(日本国憲法)
円城寺あや(憲法の姪・憲子)
鬼頭典子(憲法の姪・法子)
中山マリ(憲法の姉・昭子/冬子の母/防衛装備庁/ロッキード・マーチンCEOマリリン・ヒューソン)
木下祐子(冬子/女)
樋尾麻衣子(夏代/係員)
武山尚史(写真屋/死刑囚0081/ベル社/タウラス・システムズ1/憲法資格認定調査員)
吉村直(夏代の父・春彦/憲法第三十一条/川崎重工/レイセオン/初老の男/沖縄の憲法おじさん)
杉山英之(若き日の憲法/レフェリーのような男/ビジラント/BAEシステムズ/タウラス・システムズ2/息子/別な憲法くん/憲法資格認定調査員)
鴨川てんし(冬子の父/憲法第三十六条/三菱重工/三菱電機/沖縄の地主・初老の男)
猪熊恒和(マルクス/刑務官/司会者/ジェネラス・アトミクス/新官房長官)
花美えりぃ(憲法第十三条/オオハシ/ロッキード・マーチン)
町田敬介(憲法第十八条/JAXA/彼)
西村順子(憲法第十九条/伊藤忠アビエーション/老婆)
 
STORY
1947年5月3日に生まれ、今年72歳となった憲法くん。彼が生まれた時、日本中が「自分たち庶民の子供が出来た」と喜びに包まれた。姉・昭子の提案により、弟は「憲法(かずのり)」と名づけられる。昭子はやがて生まれてくる娘に「憲子(かずこ)」と「法子(のりこ)」と名づけるのだった。
とある写真館を訪れ、ウェディングドレス姿で記念写真を撮る夏代と冬子。同姓パートナーシップ制度のある渋谷区に引っ越したものの、親には結婚が認められない2人だったが、憲法くんの説明により夏代の父も冬子の両親も結婚を認める。
その後も憲法くんは様々な場面で憲法を巡る事例に接する。
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日本国憲法を人間に見立てた松元ヒロさんの一人芝居『憲法くん』を坂手洋二さんが舞台化。
 
リストラされるという噂があるが、「現実に合わないなら、現実の方を理想に合わせるよう努力すべき」だと憲法くん。姉・昭子や姪・憲子と法子も「まだそれほど働いていない」という憲法のことを知ることから本篇が始まる。
 
その後はオムニバス形式で、同性婚、幕張メッセで開かれた武器見本市、積極的平和主義、沖縄の基地問題、日米地位協定、自衛隊……。
例えば同性婚については、憲法第24条には「両性の合意のみに基づいて」と書かれているが、憲法第14条の「法の下の平等」に照らし合わせて考えれば同性同士の結婚を禁じているわけではない。「両性」とは男性と女性とは限らないとの解釈が成り立つといった具合。
 
他の事例についてはある程度、いつもの燐光群という感じではあるのだけど、エピソードの羅列になってしまった嫌いはある。
ただ最後、来年も無事に桜を見る会が開催されるという展開はよかったな。現政権ができれば年内にも退陣し、現実のものとなりますように。笑
 
ちなみに本作は井上淳一監督、渡辺美佐子さん主演で映画化もされているが、監督と渡辺さんの橋渡しをしたのは坂手さんだったとか。どうせなら今回の舞台版にも出ていただきたかったなぁ。
 
上演時間約2時間3分。