『カミング・ホーム・アゲイン』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『カミング・ホーム・アゲイン』

Coming Home Again

 

 

2019年アメリカ・韓国映画 86分

脚本・監督:ウェイン・ワン

原作・脚本:チャンネ・リー

撮影:リチャード・ウォン

編集:アシュリー・パガン、ディアドレ・スレヴィン

出演:ジャスティン・チョー(チャンネ)、ジャッキー・チョン(母)、ジョン・リー(父)、クリスティーナ・ジュリー・キム(姉ジヨン)、リーサ・キム(若い韓国系アメリカ人女性)

 

STORY

ニューヨークで暮らす韓国系アメリカ人作家のチャンネは、胃がんにかかった母親の看護をしていた。大晦日、チャンネは家族での夕食のために母直伝のカルビなどの韓国料理を作る。彼の脳裏には人生におけるいくつかの瞬間がよみがえる。

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第20回東京フィルメックス、クロージング作品。

 

韓国出身のアメリカ人作家チャンネ・リーさんのエッセイを『スモーク』などのウェイン・ワン監督が映画化。

 

一つの詩のような作品。

料理を作るシーンが丹念に描かれ、その動作一つ一つが胃がんと闘う母親に対する祈りのようにも感じる。

カルビは本来、骨つきの肉のこと。骨と肉、それは父と母から受け継がれたもの。切っても切り離せない肉親の情愛を象徴しているものとして登場しているが、それだけに自分の作ったカルビの味に納得できなかったチャンネの心情が切ない。いや、だからと言ってテーブル叩いて大きな音出すなよ、とは思うけど(笑)。

 

終了後、ウェイン・ワン監督が登壇してのQ&A。

元々はチャンネ・リーさんの『最後の場所で』を映画化しようとしていたがうまくいかず、母親を看取ったことを書いたエッセイを映画化することになったとか。

中国系アメリカ人と韓国系アメリカ人とでは毎日違うと感じる部分があり、現場にはコンサルタントに入ってもらって助言を得ていたとのこと。

エピローグのシーンにのみ劇伴がある理由は、このシーンがそれだけ特別なものであること、また、音楽をつけることで何らかの意味のあるシーンにしたくなかったと。

上映前の授賞式が押したために、Q&Aの時間が少なくなってしまったのが残念。