燐光群『なにもおきない』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

燐光群『なにもおきない』

 
 
2019年10月2日(水)~3(木)・12日(土)~23日(水)
梅ヶ丘BOX
 
作・演出:坂手洋二
照明・照明操作:竹林功(龍前正夫舞台照明研究所)
照明操作:岡田麻里代(龍前正夫舞台照明研究所)
音響:島猛(ステージオフィス)
美術:じょん万次郎  音楽:太田惠資
振付:矢内原美邦  舞台監督:森下紀彦
衣裳:ぴんくぱんだー・卯月  擬闘:山村秀勝
演出助手・音響操作:中山美里  小道具:KAMO's Factory
文芸助手:清水弥生、久保志乃ぶ
宣伝意匠:高崎勝也  舞台収録:姫田蘭
協力:浅井企画、オサフネ製作所、高津映画装飾株式会社
制作:古元道広、近藤順子
 
出演:
大西孝洋(男)
円城寺あや(女/千木良悠子)
猪熊恒和(別な男/黒眼鏡A/運転手)
樋尾麻衣子(客/後山/彼女)
武山尚史(不動産屋職員/青年/A)
町田敬介(黒眼鏡B/若い男/B)
川中健次郎(係員/老人/D)
鴨川てんし(初老の男“失踪さん”/案内係/E/紳士)
杉山英之(先山/友人/彼)
西村順子(老婆/C/メンテナンスの女)
中山マリ(声)
 
STORY
物置の地下室。最近、地下室の存在を知った女は、15年前に失踪した夫が地下に行ったのではないかと専門家の男に調査の依頼をする。男は途中、得体の知れない男に出会いながらも、別の町にたどりつき、“失踪さん”と呼ばれる初老の男を見つけるが、女の夫とは別人であった。
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燐光群最新作。
出演者の怪我のため、当初の日程を延長して本日が千穐楽。
 
代表作『屋根裏』同様、狭い空間を最大限に活用した快作。
舞台には上手から下手へと下がる傾斜があり、人がまっすぐには立てないほどの狭さ。そこが時には物置の地下室になり、時には筑豊の炭鉱になり、時には原子力発電所になり……と場所と時代と人が入れ替わり立ち替わりする。
 
様々なエピソードが描かれるが、中では窒息させた遺体(?)を地下の共同墓地のようなところで処分しようとする黒眼鏡の男たちの話がブラックでよかった。彼らが運んできたのはこの国の元トップ。「立法府の長」だとのたまわっていたらしい(笑)。
 
あとは筑豊の炭鉱での先山・後山。男はふんどし、女はマブベコと呼ばれる短い腰巻のみの姿で作業をする。樋尾麻衣子さんも上半身は裸で、福岡弁(でいいのかな)を我が物としていた。
 
しかし燐光群の役者陣も高齢化が進んだせいか、台詞をトチらなかった例(ためし)がないよなぁ(特に川中さん、鴨川さん……)。
まぁでもこの作品は『屋根裏』同様、再演を繰り返してほしい。
 
上演時間約1時間50分。