『WE ARE LITTLE ZOMBIES』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『WE ARE LITTTLE ZOMBIES』

ウィーアーリトルゾンビーズ

 

 

2019年日本映画 120分

脚本・監督:長久允

撮影:武田浩明  照明:前島祐樹

サウンドデザイン:沖田純之介

美術:栗林由紀子  装飾:渡辺誉慶  衣裳:下山さつき

ヘアメイク:光野ひとみ  助監督:平井淳史

キャスティング:田端利江  スクリプター:大西暁子

演出補:長田亮  制作担当:宮森隆介

編集:稲本真帆  カラリスト:根本恒

アートディレクション/ロゴデザイン:間野麗

 

出演:二宮慶多(Vo.ヒカリ)、水野哲志(Dr.イシ)、奥村門土(Ba.タケムラ)、中島セナ(Key.イクコ)、佐々木蔵之介(ヒカリの父・高見弦)、菊地凛子(イクコの母・ 伊武侑子)、永瀬正敏(イクコの父・伊武春彦)、康本雅子(ヒカリの母)、工藤夕貴[友情出演](ヒカリの叔母・大田理恵)、利重剛(ヒカリの叔父)、赤堀雅秋(イシの父)、池谷のぶえ(イシの母)、村上淳(タケムラの父・竹村倫太郎)、西田尚美(タケムラの母・竹村南)、池松壮亮(マネージャー・望月悟)、初音映莉子(同・栗子)、渋川清彦(プロデューサー)、佐野史郎(プロデューサー・加茂慶一郎)、 五月女ケイ子(理恵の妹)、清塚信也(イクコのピアノ教師・小山田)、忍成修吾(サラ金業者)、柳憂怜(バス運転手・草野雅樹)、佐藤緋美(タケムラの兄)、松浦祐也(浮浪者バンドのボーカル)、戌井昭人(中華料理店常連)、長塚圭史(ヒカリの塾講師)、山田真歩(ヒカリの担任)、黒田大輔(火葬場清掃員)、山中崇(葬儀会社社員)、三浦誠己(ゴミ収集員)、水澤紳吾(火葬場職員)、クリトリック・リス(サラ金業者)、山本勇(プロスケーター)、今田哲史(ドキュメンタリー監督・今田)、プラズマ(レコード会社社員)、かっぴー(同)、吉木りさ( 蛆虫の目玉っち ・声)、前原瑞樹(ゴミ収集員)、夏木ゆたか(ドッキリ番組レポーター)、いとうせいこう(DJ)、菊地成孔(本人)、奥村天晴(タケムラの弟)、奥村今(タケモラの妹)、ジジ・ぶぅ、手打隆盛、小林郁大(ヒカリの親戚の息子)、菊池飛向(ヒカリの親戚の息子・国政) 、並木愛枝(ヒカリの親戚)、山崎皓司、長田奈麻、児玉貴志、辰巳智秋、本多章一、るうこ(ヒカリの父の愛人)、久保酎吉(万引きされるコンビニ店員)、Seiho(カメラマン)、湯川ひな(草野の写真を撮るコンビニ店員)、奥野瑛太、宮里エディ、シマダボーイ、竜のり子(ラブホテル受付)、マナ[CHAI](本人)、カナ[CHAI](本人)、ユウキ[CHAI](本人)、ユナ[CHAI](本人)、森田哲矢[さらば青春の光](音楽番組MC)、澤本嘉光(病院職員)、シシヤマザキ(バスガイド)、ぼく脳(未来のヒカリ)、愛どんなわだい(未来のイシ)、關PS2000(未来のタケムラ)、葵(未来のイクコ)、澄海、かまぼこ体育館[虹の黄昏](中華料理店の客)、野沢ダイブ禁止[虹の黄昏](同)、澤田育子、藤田記子、原さとし(浮浪者バンド)、多田葉子(同)、クリスチィヌ(同)、吉田ゐさお(同)、安部恭治(同)、永田聡(同)、佐野啓(同)、加藤実(同)、マスコマサカズ(同)、坂本弘道(同)、伊藤麻実子、八月ちゃん(レコード会社社員)、カナミル(同)

 

 

両親が死んだ。悲しいはずなのに泣けなかった、4人の13歳。彼らはとびきりのバンドを組むと決めた。こころを取り戻すために—
出会いは偶然だった。よく晴れたある日、火葬場で出会った4人。ヒカリ、イシ、タケムラ、イクコ。みんな、両親を亡くしたばかりだった。ヒカリの両親はバス事故で事故死、イシの親はガス爆発で焼死、タケムラの親は借金苦で自殺、イクコの親は変質者に殺された。 なのにこれっぽっちも泣けなかった。まるで感情がないゾンビみたいに。
「つーか私たちゾンビだし、何やったっていいんだよね」 夢も未来も歩く気力もなくなった小さなゾンビたちはゴミ捨て場の片隅に集まって、バンドを結成する。その名も、“LITTLE ZOMBIES”。やがて社会現象になったバンドは、予想もしない運命に翻弄されていく。嵐のような日々を超えて、旅のエンディングで4人が見つけたものとは―【公式サイトより】

『そうして私たちはプールに金魚を、』 でサンダンス映画祭短篇部門グランプリを受賞した長久允監督、初の劇場用長篇映画。

 

東京ではいったん上映が終了している本作を、8月31日、夏休み最後の日ということで無料公開(今年は9月1日も休みだけどね。笑)。

 

LITTLE ZOMBIESというのは、それぞれの理由で両親を失った4人の13歳が組むことになるバンドの名前なわけだが、彼らは両親が死んでも泣けず、感情を失っているということで自らを「ゾンビ」と名乗る。

ヒカリは多忙な両親からほとんど愛情を得られず、学校ではいじめを受ける日々。タケムラの父親は仕事で借金を抱えて家庭内暴力、イクコはピアノ教師からのストーカー行為と両親が死ぬ前から何かしら感情を失うような要因があったわけだが、両親を一度に失うという分かりやすい悲劇があっても泣けなかったことでそのことを再認識する。

 

終盤、両親のバス事故現場に行きたいというヒカリが「また今度」と言うのに対し、イクコが「今でしょ」と言って親戚の住む福島へ向かうところだったヒカリを連れ出す。躍動的な彼らと違い、スマホの画面を見つめる人々で溢れる駅はZOMBI STATIONと化しているのが何とも不気味。

その後も、「今、今、今…」と呪文のように唱えるイクコだが、彼らの両親を突然の悲劇が襲ったように、人生は一瞬先ですら何が起こるか分からない。スマホの画面を見続けるだけの人生なんてまっぴらごめんとばかりに駆け抜ける彼らの姿は実に生き生きとしている。

人生はゲームと違い、リセットボタン一つでやり直せはしない。コンティニューするかしないかは自分次第だ。

 

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