『イノセント・ボイス 12歳の戦場』
VOCES INOCENTES2004年メキシコ映画 112分
脚本・監督・製作:ルイス・マンドーキ 原案・脚本:オスカー・トレス
出演:カルロス・パディジャ(チャバ)、レオノア・バレラ(母・ケラ)、クスーナ・プリムス(クリスティナ・マリア)、グスタボ・ムニョス(アンチャ)、ホセ・マリア・ヤスピク(ベト叔父さん)、オフェリア・メディナ(祖母・ママトーヤ)、ダニエル・ヒメネス=カチョ(司祭)、ヘスス・オチョア(バスの運転手)
1980年、エルサルバドルの小さな町・クスカタンシンゴ。
政府軍と反政府組織FMLNとの激しい内戦下、11歳の少年・チャバは、家族を捨ててアメリカへと旅立った父に代わり、一家の大黒柱として母親からも頼られていた。少年たちは12歳になると徴兵されるため、12歳の誕生日が来るのを恐れるチャバだったが、学校では友達と楽しく過ごし、クリスティナ・マリアという女の子にほのかな恋心を寄せていた。
ある晩、母親が仕事で留守にしているとき、表で銃撃戦が起こる。それ以来、母はミシンを買って自宅で仕事をするようになり、外出禁止時刻になってもチャバが帰ってこないと激しく叱責した。チャバは少しでも家計を助けるため、バスの運転手に取り入ってアナウンスの仕事を始める。
そんなある日、学校に政府軍が乗り込み、12歳になる少年たちを強制的に連れ去ってしまう。その中には友人・アントニオらの姿もあった。
今では反政府ゲリラの一員となっていたペド叔父がやってきた晩、またしても銃撃戦が起き、近所の女の子が亡くなる。悲しみに沈むチャバたちに、叔父はギターを弾いて「ダンボールの家」という歌を口ずさむ。それ以来、チャバは叔父にもらったラジオで放送禁止の音楽を聴くようになった。
やがて内戦は激化の一途をたどり、学校も無期閉鎖。12歳を迎えたチャバは一つの選択を迫られる。
もう、言葉はいらない。
というか言葉にならない。
政府軍と反政府組織FMLNとの激しい内戦下、11歳の少年・チャバは、家族を捨ててアメリカへと旅立った父に代わり、一家の大黒柱として母親からも頼られていた。少年たちは12歳になると徴兵されるため、12歳の誕生日が来るのを恐れるチャバだったが、学校では友達と楽しく過ごし、クリスティナ・マリアという女の子にほのかな恋心を寄せていた。
ある晩、母親が仕事で留守にしているとき、表で銃撃戦が起こる。それ以来、母はミシンを買って自宅で仕事をするようになり、外出禁止時刻になってもチャバが帰ってこないと激しく叱責した。チャバは少しでも家計を助けるため、バスの運転手に取り入ってアナウンスの仕事を始める。
そんなある日、学校に政府軍が乗り込み、12歳になる少年たちを強制的に連れ去ってしまう。その中には友人・アントニオらの姿もあった。
今では反政府ゲリラの一員となっていたペド叔父がやってきた晩、またしても銃撃戦が起き、近所の女の子が亡くなる。悲しみに沈むチャバたちに、叔父はギターを弾いて「ダンボールの家」という歌を口ずさむ。それ以来、チャバは叔父にもらったラジオで放送禁止の音楽を聴くようになった。
やがて内戦は激化の一途をたどり、学校も無期閉鎖。12歳を迎えたチャバは一つの選択を迫られる。
もう、言葉はいらない。
というか言葉にならない。
俳優のオスカー・トレスが自らの体験を基に書いた脚本を、『男が女を愛するとき』のルイス・マンドーキ監督が久々に故郷に帰って映画化。
時代や国は違うが、昨年度個人的ベスト1『亀も空を飛ぶ』と同じく、戦時下の子供たちを描く。
しかもかの地ではわずか12歳で徴兵されてしまうのだと言う。
学校に政府軍が押し入り、子供たちを連れて行くシーン。怯える子供たちに胸が痛くなる。
爆撃シーンも非常にリアルで、恐怖感が生々しく伝わってくる。
『亀も~』でも感じたことだが、実際にあんな情景や爆撃を目の当たりにした子供たちはどのように育っていくのだろうか。
時代や国は違うが、昨年度個人的ベスト1『亀も空を飛ぶ』と同じく、戦時下の子供たちを描く。
しかもかの地ではわずか12歳で徴兵されてしまうのだと言う。
学校に政府軍が押し入り、子供たちを連れて行くシーン。怯える子供たちに胸が痛くなる。
爆撃シーンも非常にリアルで、恐怖感が生々しく伝わってくる。
『亀も~』でも感じたことだが、実際にあんな情景や爆撃を目の当たりにした子供たちはどのように育っていくのだろうか。
政府軍に連れ去られたアントニオが、かつての級友たちに誇らしげに軍の制服を見せるシーンでは、『僕を愛したふたつの国 ヨーロッパ・ヨーロッパ』を思い出した。この作品も実話を基にしているのだが、ユダヤ人であることを隠して、ナチス青少年団に入った主人公が、ナチスの制服に身を包んで鏡の前でナチス式の敬礼をするシーンがある。
子供たちは判断力に乏しく、感化されやすい。こういうところにも戦争の恐ろしさを感じる。
そんな年端もいかない年齢で、政府軍につくか、ゲリラに身を投じるかの決断を迫られる──。
何ともいたたまれない。
子供たちは判断力に乏しく、感化されやすい。こういうところにも戦争の恐ろしさを感じる。
そんな年端もいかない年齢で、政府軍につくか、ゲリラに身を投じるかの決断を迫られる──。
何ともいたたまれない。
主人公・チャバ役のカルロス・パディジャくんが素晴らしい。
ちょっとやそっとの素晴らしさではない。
その瞳はまさにイノセントで、過酷な状況にありながら、汚れを知ることがない美しさに心が洗われる。
ちょっとやそっとの素晴らしさではない。
その瞳はまさにイノセントで、過酷な状況にありながら、汚れを知ることがない美しさに心が洗われる。