映画『サマータイムマシン・ブルース』 | 新・法水堂

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『サマータイムマシン・ブルース』

2005年日本映画
監督・プロデュース:本広克行   原作・脚本:上田誠(ヨーロッパ企画)
出演:瑛太(甲本拓馬)、上野樹里(柴田春華)、与座嘉秋(新見優)、川岡大次郎(小泉俊介)、ムロツヨシ(石松大悟)、永野宗典(曽我淳)、本多力(田村明)、真木よう子(伊藤唯)、佐々木蔵之介(保積光太郎)、升毅(神様)、三上市朗(映画館主人)、楠見薫(銭湯の番台)、川下大洋(大学の管理人)、伊藤紘介、石田剛太、酒井善史、諏訪雅、中川晴樹(以上、2030年のSF研究会)

当ブログでも何度となく紹介しているヨーロッパ企画の舞台を元に映画化。
私は初演(2001年)、再演(2003年)と観ているが、本広監督はその再演『サマータイムマシン・ブルース2003』の東京公演を観に行って、映画化を決めたとのこと。初プロデュース作品ということで力も入っている。撮影は昨年夏で、『交渉人真下正義』よりもこっちの方が先。
今回の映画化にあたっては上田君が自ら脚本を担当し、ヨーロッパ企画の面々も本広監督を交えて話し合いをしたらしい。曽我役の永野君、田村役の本多君は舞台版と同じ役で出演。その他のメンバーもチョイ役で出演している。
ちなみに劇中、瑛太くんが映画のチケットを買いに行くシーンで、『ところで、君はUFOを見たか?』という作品の看板がかかっているが、これはヨーロッパ企画(当時はまだこの名前はなかった)第1回公演のタイトル。大学の学園祭で教室を借りて上演された。今となってはこれを観たことはちょっと自慢になるかも?(笑)

期待半分不安半分であったが、よく出来ていたと思う。
脚本は舞台版をほぼそのまま踏襲。基本設定としてはカメラ部の男性部員が1人いなくなっていたところが違うぐらい。あと、舞台版のタイムマシンは思いっきり『ドラえもん』に出てくるそれの形をしていたが、さすがに著作権の問題とかあったのか、映画版ではデザインは変えてある。
身内びいきかも知れないが、周りの反応もよかったし、帰りにも「面白かった」という声が聞こえていた。
今回この映画で初めてこの作品を観る人には新鮮に映ったことだろう。
監督も言っていたが、2回、3回観ると、より楽しめるかも。

ただ、瑛太ファン、上野樹里ファンにとってはやや消化不良かもしれない。
なぜかというと、ヨーロッパ企画の芝居というのは基本的に誰が主役、というのがない。
もちろん、他の出演者に比べれば出番はやや多いし、最後の方にそれなりの見せ場はあるんだけど。
真木よう子さんは『パッチギ!』とはうって変わって眼鏡姿がキュート。
心配していた永野君、本多君もまぁOKでしょう。
また、佐々木三上(大学の先輩でもある)、楠美川下(お、『姫ダニ』に続いてのご登場)といった関西を中心に活躍している(た)小劇場演劇の大先輩が脇を固めているのも嬉しいところ。特に升さんの扱いはそんなんでいいのか!?というほど。


上映後のトークショーには本広監督川岡大次郎さん、ムロツヨシさんがゲスト出演。
クランクイン前に出演者がテントで合宿し、自炊などもしたことや、元々ヨーロッパ企画の存在は佐々木蔵之介さんに教えてもらったとか、川岡大次郎さんが耳を出すと佐藤藍子さんにそっくりとか(これは前から思っていた)、監督は『踊る』の時は自分が宣伝をしなくても亀Pが全部やってくれるけど、この作品は自分でやらないととか、そんな話。
12日(こちら参照)とは違って司会がプロのパーソナリティの方だったので安心して見ていられた。

9月4日より全国公開されますんでよろしく。
あ、舞台版の『サマータイムマシン・ブルース2005』も上演しております。