前回の記事で紹介した禁止級のうち,今回はEランク,つまり「弱い」と言われる禁止級伝説について解説する。個人的評価が低い順に一体ずつ紹介する。
前回の記事はこちら
ミュウツー
タイプ エスパー
特性 プレッシャー(自分に使う技PPを2減らす)/緊張感(きのみを食べさせない)
種族値 H106 A110 B90 C154 D90 S130 T680
専用技 サイコブレイク(威力100命中100PP10,相手の防御でダメージ計算)
最強ミュウツーという肩書きを背負ってレイドバトルに襲来したのが記憶に新しい,最も有名な禁止級伝説ポケモン。
しかし,その肩書きとレイドでの強さとは裏腹に,対戦での評価は「禁止級最弱」と言って差し支えない。その理由は4つある。
①元タイプと特性が弱い
・耐久の低いミュウツーと噛み合わないプレッシャーか,効果自体はそこそこ有用だが生きる場面が少なく,発動タイミングの都合上素早さ判定ができない緊張感のどちらかしかなく,実質特性なしに近い
・エスパー単タイプが耐性面,攻撃面ともに弱い
②環境が大逆風
・パオジアンやハバタクカミ等の超高速一般ポケモンに上から倒される
・ディンルー等高耐久一般ポケモンを殆ど削れず殴り負けてしまう
・禁伝においても黒バドやコライドン,ミライドンに上から一撃で倒されてしまい,まともに行動できない
③技は器用だが中途半端
・攻撃技の範囲は広いが,不一致故火力は微妙
・サポート技は電磁波や鬼火,叩き落とす等そこそこ豊富だが絶妙に物足りない
・積み技も耐久の低さを考えると使いにくく,他に適任がいる
④より数値が高い黒バドレックスの存在
・テラバーストの登場で技範囲による差別化点を完全に奪われてしまう
・サポート技もアンコールを覚える黒バドの方が圧倒的に優秀であり,黒バドに完全に立場を潰される
総じて,今作のミュウツーは何もかもが中途半端で突出した強みがないため,使う理由が一切ないのが現状である。
型サンプル
襷サポート型
陽気H204 A36 B4 D12 S252 悪テラス
叩き落とす,鬼火,電磁波,挑発
電磁波や叩き落とすは黒バドとの差別化になる。しかし,吹き飛ばしやステロを覚えないためサポートとしてはイマイチ。
耐久はステロ込みで特化水ウーラオスのテラス水流連打をほぼ耐える調整。耐久に振る意味も薄いが攻撃に振る意味もほぼないため耐久寄りに。
ソルガレオ
タイプ エスパー,鋼
特性 メタルプロテクト(型破り持ちを含め,相手に能力を下げられない。)
種族値 H137 A137 B107 C113 D89 S97 T680
専用技 メテオドライブ(威力100命中100PP5,特性貫通,ただしファントムガード等は貫通不可)
7世代のパッケージ伝説。DLCで解禁。
このポケモンも,火力,素早さ,技が全て中途半端。
・火力はA137と禁伝ではかなり低い。技範囲は広いがコライドンと被ってしまう上に,物理火力を上げる積み技がない
・素早さも97とウーラオスと同じでパッとしない
・特殊の積み技なら瞑想はあるが,一般ポケモンのテツノカシラの劣化
・コスモパワーと炎の渦の嵌め戦術は使える…ムゲンダイナで良くね?
・今作では電磁波を没収され,サポート性能が著しく低下。一応我武者羅やメタルバースト等珍しい技は覚えるが,ソルガレオとは全く噛み合わない
・同じタイプで特性や技が更に優秀な日食ネクロズマを差し置いて使う理由がない
・環境的にも強い悪や地面が多く大逆風
・日食にない強みとして,ランドミミッキュ等を抜ける中速である点や特性で能力を下げられない点があるが,それらを全て活かそうとすると必然的に最速ASベースになり,耐久火力ともに中途半端
総じてミュウツーに匹敵する最弱筆頭候補。特性やタイプがミュウツーより強い分,まだアタッカーとして通しやすくはあるが…。
型サンプル
スカーフ型
陽気AS 氷テラス
メテオドライブ,テラバースト,@2(地震,フレアドライブ,サイコファング,叩き落とす等)
威嚇無効+氷テラバで初手ランドロスを破壊する型。禁伝PTはランドを強く呼ぶため刺さりやすい。ソルガレオにテラス権を切らざるを得ないため実用性は…。
パルキア
タイプ 水,ドラゴン
特性 プレッシャー/テレパシー(味方からの攻撃を受けない,ダブル専用)
種族値
通常:H90 A120 B100 C150 D120 S100 T680
オリジン:H90 A100 B100 C150 D120 S120 T680
オリジンフォルムは持ち物が大白玉固定(水ドラゴン技の威力1.2倍)
専用技 亜空切断(威力100命中95PP5,急所率+1)
4世代のパッケージ伝説。今作で素早さが高めなオリジンフォルムが解禁された。
カイオーガ受けに適した伝説として有名。
しかし,このポケモンも現環境では数値不足であり,環境における強みが少ない。
◯通常フォルム
・今作でトリックを覚えたが,覚えて尚元の数値が環境についていけていない
・ハバタクカミやテツノツツミ等上から倒される天敵の増加,スカーフでもエナジー持ちには上が取れず,そもそも火力不足に悩まされる
◯オリジンフォルム
・上がった素早さラインを活かせていない。オリジンになったことで上が取れる相手はオーガポンくらいであり,ハバタクカミ等には上を取られる。
・水技が使いにくい。波乗りでは火力が全く足りず,命中不安のハイドロポンプに頼ることになり,常に技外しによる負け筋を抱えている
・カイオーガの水技を1/4で受けられる禁伝としてより性能が高いコライドンが登場したのが非常に痛く,パルキアの採用理由を潰された。ついでにそのコライドンにも上から一撃で倒される
・特殊ドラゴンとしてもより高火力のミライドンに立場を奪われている。ちなみにミライドンなら珠流星群でテラスなしでオーガポンを倒せる
環境に多い地面にはそれなりに強く,新規取得の凍える風でタイマン性能が上がるなど多少評価できるポイントはある。しかし,それらの評価点も他のポケモンで代用できてしまい,わざわざパルキアを使う理由はない。残念ながら両フォルム共に採用価値は低い。
型サンプル(通常)
チョッキ型
臆病CS 鋼テラス
ハイドロポンプ,亜空切断,雷,ヘビーボンバー
鋼テラスヘビーボンバーで殆どのハバタクカミを一撃で倒せる。それだけ。
チョッキで一応カイオーガには強く出られるようにしている。
オリジンはこちらを参照
以上がEランクの解説である。
この3匹は,多くの伝説厨から最弱候補と評価されやすい傾向にある。彼らを活躍させるには相当な介護が必要となるだろう(介護しても尚スペック不足だが)。
また,ギラティナや月食ネクロズマが入っていないことに違和感を持つプレイヤーは多いだろう。しかし,今作ではテラスタルとの噛み合いが良く,積みアタッカーとして十分な活躍が見込めるのだ。彼らについては次回以降解説していこうと思う。