北朝鮮からミサイルは飛んでこなくなったが、トランプ氏のイラン政策は、アメリカが約束を守らないことを証明している。1789年頃のイランはトルクメン人のガージャール朝という王朝があり、オスマントルコからは独立していたが第一次世界大戦では中立を宣言したのにイギリス、ロシアの軍隊が駐留した。原油は1907年に発見され、イギリスは石油利権を独占し、イラン側の公表によると飢饉とイギリス軍の買い占めと、イラクやインドやアメリカからの食糧輸入を禁止したことによる飢餓により、2000万人の人口が1000万人にまで減少したとあった。これはナチスドイツのホロコーストの600万人を遥かに上回る。イランイラク戦争の死者数は両軍あわせて100万人らしいので半分だと50万人だが、当時イランロシア戦争によりトルコマンチャーイ条約という治外法権にあったので、1000万人死ぬという英国の政策に法的に対抗できなかった。日本は明治維新で不平等条約を撤廃させたが、あのまま何らかの理由で外国軍が日本に駐留することになっていたら、治外法権はそのように機能する。
イギリスの政策はドイツ側だったオスマントルコがイランに軍をすすめることを防衛するのが真の目的で、当時インドも英国領だった。その後王朝が交代し治外法権の不平等条約は撤廃されたが、第二次世界大戦でも中立でもイギリスとソ連に軍隊を送られている。当時の王朝がナチス寄りだった。彼らはアーリア人そのものでもある。日本は日露戦争に勝ち(相手は革命になったこともあるが)、ナチスドイツと同盟を組んでアメリカとも戦ったが、そのようにできたことも幸運だった面もある。
戦後イギリスはイランの石油を全部自国のものと考えていたようだ。民間の出光のタンカーがイランの石油を日本に運び、裁判でも勝利した。国がこれより劣るような政策をとることはないと思っています。
アメリカの政策はイギリスを引き継いでイランの石油やカーペット(絨毯)は全部アメリカのものなので勝手に売ってはいけないと言わんとしているように思える。トランプの言葉からは中傷するのが目的のようで真実が見えてこない。理由の一つは核合意によりイランとヨーロッパは経済圏を形勢しつつあるが、国交のないアメリカとは殆ど取引がない。
サウジアラビアにとってはイランが目の敵な面はある。東部にシーア派住民が15%ほどおり、そこは主な油田地帯でもある。王族は彼らを抑圧するために、イエメンのザイド派(シーア派一派)フーシへの武力攻撃を行っている。かつてササン朝時代にアラビア半島の周辺の海沿いがササン朝の領域で、中央の何もない砂漠に遊牧民が暮らしていたところは、第一次世界大戦でワッハーブ派(自称はムワッヒドゥーン、一神教徒)によりオスマントルコから独立してサウジとなった。当時原油は発見されておらずイギリスも支援したが、第二次世界大戦中の1933〜1938年にアメリカが設立したサウジの企業が原油を掘り当てた。サウジ王族はアメリカから武器を買い原油の供給元でもあり、サウジの利益を代行するとアメリカの言い分のようになるが、アルカイダとつながりがあり、民主的とも言い難い。カナダはシェールオイルがあるので、サウジに対しても発言することができる。ただ、サウジで原油増産は難しいと思う。労働者目線で、イランから買うかわりに生産量増やしてくれと言われても産油国はOPECなどで国ごとに割当量があり、採掘が現時点で目標割れしているから価格が割高なのである、休日返上とか従業員増やすとかでこれ以上増産してくれとか王族から言われてもできない相談だろう。
イラクは2000年に原油のドル建てをユーロ建てにして、2003年にイラク戦争となった。イランは2016年1月に経済制裁が解かれ、2016年2月頃からは原油のユーロ決済をしようとしていたようで、実際は原油はドルでなくてもユーロでも人民元でもルーブルでも日本円でもいいと思うが、2018年4月18日に外貨準備高などをドルからユーロに変更すると、トランプが2018年5月8日に核合意離脱して制裁再開と言い出した。
制裁内容はアメリカ有利のようでもあるが、トランプが焦っているようにしか見えない。世界全体の原油代金の決済通貨にドルが使われるのでドルの価格が維持されている。たとえばサウジアラビアへの原油代金を支払っていなかったとしても、通貨を刷って払えばいい。ドルが値下がりしアメリカも物価が上昇しインフレになるがドルが基軸通貨である限り、世界全体に波及する。原油をユーロや中東湾岸諸国の通貨で支払わなければならなくなると、アメリカが通貨を刷ると物価上昇はアメリカだけになる。アメリカは日本以上に借金大国なので、ドルが暴落した場合、借金が払えなくなるのだが、EU諸国はイランからユーロで買うと言っている。