しろ 午前二時の月は三日月。 気温1度。冷気で研がれた白い切先が夜を穿つ。 酔いどれた僕はその切先を身に受けながら黒い坂道を歩くんだ。 十年先も、この三日月はある。 切先にやられた心臓が温かな血を流す。その血は冷たい側溝を伝って過去へ。 煎餅布団に辿り着き甘やかな眠りに引き摺り込まれた。 そうして今夜も酔生夢死。