すこし前に参加した「10 minutes musical」のお話、Episode 2。
稽古場へゆく道すがら、何か題材になるネタはないかとお互いの過去を無遠慮に暴いていった我々Aチームは会議室に到着。
あとから思えば他のやり方もあっただろうに、とにかくまず脚本またはメインの流れを作ろう、になっていた。
あとからきけば、シアターゲームやインプロ(即興)ワークショップをやって話をうみだしていったチームもあったらしい。そういう手もあったか。まあもう遅い。
その時はそこまでの危機感ないままネタ探しのインタビューが続く。
初対面の癖にずかずかとメンバーの赤裸々過去から恋愛遍歴まで暴き立てたというのに結局ピンと来ず、単なる暴露話で終わってゆくエピソード。
アイディアが決まらない。焦りが加わる。
10時半。決まらない。
10時50分。決まらない。やばい。
11時。かれこれ1時間、進展なし。
ふと思った。
これ、もし夜「できませんでした。えへへ。」っていってカメラの前に立ったらどうなるんだろう。
その未来予想図の闇が広がり始めた。あかん。出てって!あなたには頼らない!死神め!
ぽんこつ脚本家は無言でしばし天を仰ぐ。
ああ、今こそSend me a sign。いや、降りてこねえな。誰だ都合のいい歌詞書いたやつは。
この写真だけ見ると整然としていますが実際の頭の中の状態はもんじゃでした。
【11:00】
はい11時。もう、しのごの言ってられない。ゆっくりと浮上していたテーマ「忘れ物、傘」ですすめるべきか。でもまだピンと来ていない。
普段なら、ピンと来なければ話は単純、しばしネタづくりを忘れて数日あそぶのである。
あそびながらも脳裡には微かにその事が残っている。粒子のように浮遊するそれは、3日くらいあそんでいると段々集合してきて、気付いたらしゅんわり固体になっているから、そこから文字をじゅわーっと噴射して、ハコ書き(起承転結みたいなざっくり全体アウトライン)をつくるのだ。
だが今はそうはいかない。あそんだら負けだ、比喩でなく、マジで。もう抗うしかない。こういうときにむりやり引き出して創るものの質はよくないってのも経験上わかっているのに、創らねばならない。
思えばなんで、そんな瞬発力ないのにこんな即時性のイベントに参加するっていっちゃったんだろう。まあもう遅い。
しかたなく提案する。「傘でいいですか。」
Aチームの皆は、快く許してくれた。
【11:30】
執筆開始。書くとなったらざくざく書く。
これまた寛大なAチームに感謝だが、気付いたらト書きも台詞もなく、1行目から歌詞を書いていた。それはつまりこの作品には台詞がほぼ入らないという方向性を示していた。
なんのコンセンサスもなく、勝手に動いてゆく私の指のせいで、この作品はソングサイクルとなることが決まってしまった。ソングサイクルの知名度があがっていてよかった、それをチームに受け入れてもらえたのが救いだった。
特に演出の岡田さんのさらりとした解説が秀逸。「演者がストーリーや感情を繋げて観せるのが普通のミュージカル。お客様ご自身で繋げて観るのがソングサイクル。」
多分だいぶ違う言い方だったけど、初めましての人がそんなにもぴったりとさらりと言い表したことに感激した。梅酒で乾杯したい気分だった。嘘。
書くと決まればさっさと書き終えたM1を共有し、作曲家にバトンタッチとなる。
ここで我々は令和ならではの行動にうつる。
すなわちM1の歌詞を共有すべくLINEを交換してグループをつくった。出逢って3時間、Aチームの最大の収穫は互いの連絡先だ(合コンか)。
だがこの時点ですでに、全準備時間の3割もの時間を費やしてしまっていた。私のせいだああああ。
ここまでの時間を私は「地獄の暗黒空白時間」と呼び、自分史の「トラウマ」のフォルダに放り込んだ。
Episode 3へつづく。









