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Le ciel d'azur~藤倉梓blog

脚本,作曲,演出,出演,訳詞,ピアノ弾き and so on...

なんだかんだで3日かかってしまった、最終回。

お誘い頂いた動画企画のはなし。
『30秒チャレンジ!俳優・スタッフ修行!自宅トレーニングのコツを未来の俳優/スタッフに共有しませんか?』 

このチャレンジで私が語らせて頂いたのは「日本語詞訳のマイルール(Rules of translation)」です。

前々回は自分の喋った内容を文字起こししました。
前回はその解説の前半を書きました。
今日は解説の後半です。
動画は30秒なのに解説には72時間もかけてしまいました、はい。 

まず、動画はこちらです。

では後半いきますね、長いです。

③(語順)日本語と英語は文法が違うのですが、もし英語で大事なドラマが起きる単語があったら、同じ所に日本語を入れないと戯曲の構造が崩れてしまう※9ので、大事な単語は同じ場所に入れる。 

※9 いい例が見つからないので、うまく説明できるかわかんないんですけどね…
歌詞から少し離れて台詞に置き換えます。
例文は、
I have a pen.
でいきましょう。
日本で英語を習ったならば、ふつう、訳はこうなると思います。
「私はペンを持っている。」
英語の試験だったらこの和訳でマルがもらえるでしょう。
でももしこれが演劇的に重大な台詞だとしたら。
わかんないけど例えば「〇〇殺人事件」っていう舞台をやっていて、このペンが大事な証拠品だとします。(すごい適当)
ペンの存在が超大事だとします。
そしたらオリジナル原語の俳優Aは、その戯曲の構造に従って「ペン」を協調する言い方をするとします。
I have a pen.
で、その台詞が、次に台詞をいう俳優Bの心に引っ掛かるとします。
Aが発した「ペン」がフックとなってBに譲渡され、物語は進むのです。
ここで、もし翻訳が
「私はペンを持っている。」
だとしたら。
日本語文章の中盤にある「ペン」が、本来の戯曲では語尾にあって、それが俳優Bにとっての"フック"になっているので、俳優の心理としては「ペン」を聞いた瞬間にフックに引っ掛かって心が動くはず。
となるとAの日本語台詞の最後の「持っている」を聞き終わるまでリアクションが待てない筈です。
(例文が短くて実感薄いかもですが、これが2行くらいの台詞だったり、8小節分のメロディだったら?と想像してみてください。)
ましてや仮にそれが日本語役者により
持っている。
が協調されると、どっちが正しいフックなのかがぼやけてしまいます。
こまかっ!
でもそういうフックの掛け違いが積み重なると、いつのまにか戯曲の読み込みのミスリードを呼んでしまうというか、演じてて「腑に落ちない」「やりにくい」を感じてしまう恐れがある。
って、おもうのよ。
だから。この場合、このあんまりうまくない例文の場合、オリジナル原語と同じフックを用意するためには、訳はこうなればいいかもしれない、あくまで例だけど、
「私が持ってるのはペンだ。」
これでとりあえずは「オリジナルに極力寄り添う」をクリアできるんじゃないでしょうか。
歌詞も同じことがいえます。

なので私は、翻訳ものをやるときは楽譜に書いてある原語は残したまま、その下に日本語を書きます。いつでも原語と比較できるように。
原語はどうなっていて、どの単語が自分や周りへのフックになっているのか。
ほんとはどういうノリで書かれているのか。

これが、③(語順)日本語と英語は文法が違うのですが、もし英語で大事なドラマが起きる単語があったら、同じ所に日本語を入れないと戯曲の構造が崩れてしまう※9ので、大事な単語は同じ場所に入れる。
の解説です。 

ちなみにこの先には、「ペンなんだよ」にするのか「ペンだ」にするのかでまた演出的な視点を見極めなきゃ問題が待ってますがね、
あー考えることいっぱい。 

さて、まとめに入る前にごめんなさい、蛇足コーナーです。

【動画に入れるのを断念したTip 1】
台詞は原文と極力同じ長さの日本語におさめることも、マイルールのひとつ。
理由はおもに2つ。
ひとつは、前回書いた※4の母音や※5~7のリズム・テンポ問題とも遠く繋がっていて、とくにコメディなんかテンポが命。
2秒で言い終わる原語なら2秒で言い終われる日本語を選びたいと思っています。
日本語の都合でテンポや流れをかえるわけにはまいりません。 

ふたつめは、とくにミュージカルの場合、ヴァンプといって、BGMが流れている間や、イントロ(前奏)や、間奏や、アウトロ(後奏)のうちに台詞を収めなきゃいかん場合が多々あります。
そういう時、オリジナル台本と同じ長さに台詞を収めないと、嫌な間が出来ちゃったり、急いで言わなきゃいけなくなってなんか心に違和感が起きてしまう恐れがあります。
私は英語で喋ってみて、次に日本語で喋ってみて、大体同じ感じで言えるか確認したりします。

【動画に入れるのを断念したTip 2】
Twitterで水野貴以さんが「そういえば」とリプ下さったのでこれも挙げときます。
私は楽譜に書く歌詞は、漢字変換できるものは出来るだけ漢字で書いています。
日本語のイメージを俳優さんと共有したいので。
”歌詞”である前に”ことば”だと思ってるからかも知れません。 

で、動画解説にもどります。
④というのを踏まえた上での、違和感なく読める、または耳に入ってくる日本語※10を目指しております。日々精進。 

※10 全体的なこだわりの根底には、
「台詞として読んだ時に照れないで読める、カタコトじゃなく読める」
があります。
まるで翻訳物でないかのように。あくまで日本語を成立させたい。
なので、ここまでこれだけ云っておいて身も蓋もないことを云いますが、
今まで挙げてきたtipsがしかし日本語として成立できそうになかったら、潔くあきらめます
母音とか語順とか、そればっかり躍起になって、頭にパッとはいってこない日本語になってしまったら元も子もありません。
ということで今後、藤倉が訳した作品があって、母音そろってないじゃんとか、語順寄り添ってないじゃんとか、リズムがのっぺりしてんなって箇所があったら、
「ああ、あいつ、あきらめたんだな。」
とおもんぱかって、ぬるい目で見てやって下さい。 

日々精進。一生勉強。
これからもよりよいマイルールをさがしてまいります。

以上、30秒チャレンジを解説するネバーエンディングストーリーでした。
お付き合いありがとうございました。

きのうの続きです。

 

『30秒チャレンジ!俳優・スタッフ修行!自宅トレーニングのコツを未来の俳優/スタッフに共有しませんか?』

 

このチャレンジで私が語らせて頂いたのは「日本語詞訳のマイルール(Rules of translation)」

です。

きのう、自分の喋った内容を文字起こししたので、

きょうはその解説、前半です。

めっちゃ長くなっちゃったので2回に分けることにしました。

 

動画はこちらです。


では解説です。


①海外ミュージカルに日本語詞をはめる時のマイルールは「極力オリジナルの原語に寄り添う※1ということ、

たとえば「母音」、

ロングトーン※2ハイトーン※3などの聴かせどころで母音を揃えてあげると表情や感情がオリジナルに寄り添える※4と思います。

 

※1  我、いまも修行中ですが、ざっくり全体的な目標としては「オリジナル版を観てるみたい」にきこえる歌詞・台詞です。「ザ翻訳ミュージカル」ぽくない聞こえ方を目指しています。


※2 ロングトーンとは、長く伸ばして歌う音です。


※3 ハイトーンとは、高い音です。つまり声の出し方が繊細になる領域です。


※4 ※2※3のどちらも、母音が原語オリジナルと同じになるように極力がんばる理由は、そうでないと響きが変わってしまい、物語やキャラクターの印象まで変わってしまうからです。


5月に公演される予定だったミュージカルのタイトルは『The 25th Annual Putnam County Spelling Bee(第25回パットナム郡スペリング大会)』です。

この作品の1曲目はまさに「The 25th Annual Putnam County Spelling Bee」という名前がついています。

つまり語尾は「Bee」なので母音は「イー」です。

歌ってみると口が横に広がります。

「これからスペリング大会なんだ!」という期待もしくは不安が顔と声に乗せやすい発音です。

これがもし仮に、日本語訳の母音が「イー」でなく「オー」だとしたら?

上記の表情や声色になりにくくなる気がしませんか?

ま、気のせいといえばそれまでなんですがね。

 

②(ことば感)バラードだったらゆったりした日本語※5、アップテンポだったらせわしない日本語※6をわざと詰め込んで、オリジナルの曲が持つリズム感をキープ※7

(韻は踏んどく)韻は面白いからとりあえず踏んどく主義※8

 

※5 英語の歌には1音に1単語くらい入ります(入らないことも勿論沢山ある)。

かたや日本語の歌には1音に1文字やそこらしか入りません。

ゆえにオリジナル原語の1/5?くらいしかニュアンスが入りません。

でもバラード(一般的にはゆっくりな歌という解釈)なんかとくにメロディをこわしちゃいけないので、どうにかやわらかい日本語をごく少なめに吟味して引き出します。


※6 逆にアップテンポ(速い曲)の歌は、オリジナル原語を聴いてると、言葉だらけでせわしないです。

なのに日本語を各音符に1文字しか入れなかったら、どうしてものっぺりしてしまうので、オリジナルの英単語の数くらい日本語も入れちゃいます。

また、その英単語に使われている子音が多ければ、同じように日本語も子音を多めに詰め込んでみたりします。

なんとなくですけど、歌の言葉数だけでも役者の感情が大いに左右されると思います。

イライラしながら喋ってるうちに自分でヒートアップしちゃって最後は激おこ、って事象ないですか?笑

自分の言葉にマジックが掛かって感情が揺さぶられるんですよね。そんなかんじ。


※7 それに、言葉のリズムがメロディと呼応しているのがミュージカル楽曲。

日本語を駆使してうまくリズムをつくらないと、メロディがオリジナルと違った物にきこえてしまう恐れがあると思うんです。

その解消法のひとつに、Gotta2発祥で、藤倉カンパニー内でも知名度の高い「ミスチル方式」というのがあります。これもオリジナル原語に近い響きに聞こえるように工夫された歌唱法?です。


※8 日本語は英語とまったく別物なので、英語ほど韻はうまく踏めません。

でも踏んどいた方が、※5~7と同じで、メロディのリズムが損なわれない。

また、歌詞によっては、単に言葉遊びがしたいだけでそこまで物語に意味を及ぼしていない歌詞もあります。

そういう歌詞を律儀に直訳したら意味わかんないことになっちゃうので、そういうときは意味より音の響きを選択しちゃいます。

もちろん、意味までオリジナル原語に沿えたらなおラッキー。


今日はここまでにします。

続きがこれまた長いので、また次回。

アカデミー後輩にして今やプロフェッショナルのスタッフさんとしてご活躍中の永井誠さんからお誘い頂き、企画に参加しました。

 

その企画とは。永井先生のお言葉を以下にちょこちょこお借りします。

『30秒チャレンジ!俳優・スタッフ修行!自宅トレーニングのコツを未来の俳優/スタッフに共有しませんか?』

 

★現在家で俳優/スタッフを目指している卵達を応援したい★

現在ミュージカルや演劇の大学や研修所に通っているが自粛を余儀なくされている子たちに、少しでも舞台への希望をもってくれたら劇場の灯火も燃え続けるのではないかと思いました。

小さな30秒が1本のレッスン動画になったら素晴らしいし、

それがきっかけでオンラインプライベートレッスンとかに繋げられたら尚よし!
こんな些細なことでも、舞台業界のためにリモート貢献したい!

「内容はこれはおそらく自分しか知らないコツ、オススメの訓練方法」。

 

とはいえ私、役者は殆どやっていないし、演出も誰かに習ったわけではないし、どう参加したら良いんだろうと思っていたのですが、

「訳詞でもいいかも?」と思ってその方向でいかせて頂きました。

コツだなんてえらそうなこと云えないので、あくまで「マイルール」とさせて頂いています。

 

が、しかし!

言いたいこと詰め込みすぎて30秒におさまらず、若干早回し加工して頂いて動画が出ました。

ただでさえものすごい早口なのに、それはもう、かまいたちかよってレベルの速さになってしまいました。(かまいたちには遭遇したことはありません。)

 

ということで自己責任をとって、

自分で喋ったことを自分で文字起こしするので、全然わかんね、と思ったけどゆっくり咀嚼してみたい方は、良かったら読んで下さい。

 

長くなると面倒なので今日は文字起こしだけにします。

次回、その解説を少しします。

①海外ミュージカルに日本語詞をはめる時のマイルールは「極力オリジナルの原語に寄り添うということ、

たとえば「母音」、

ロングトーンやハイトーンなどの聴かせどころで母音を揃えてあげると表情や感情がオリジナルに寄り添えると思います。

 

②(ことば感)バラードだったらゆったりした日本語、アップテンポだったらせわしない日本語をわざと詰め込んで、オリジナルの曲が持つリズム感をキープ。

(韻は踏んどく)韻は面白いからとりあえず踏んどく主義。

 

③(語順)日本語と英語は文法が違うのですが、もし英語で大事なドラマが起きる単語があったら、同じ所に日本語を入れないと戯曲の構造が崩れてしまうので、大事な単語は同じ場所に入れる。

 

④というのを踏まえた上での、違和感なく読める、または耳に入ってくる日本語を目指しております。日々精進。

 

以上、文字起こしでした。

動画はこちら。


解説はまた次回。