ほぼ10年前の今頃に、今と全く同じスタジオで、東宝ミュージカルアカデミーの4期生として卒業公演の稽古場に居た。
その少し前から、卒業したらオリジナルを作るんだ本を書くんだ(ミュージカルではない)公演を打つんだと決意していたので、
目の前にある卒公はもちろん本気で参加していたけれど、役者人生という名のついた望遠鏡は半分シャッターをおろした感覚で稽古にでていた。
当時の卒公演目といえば例のアレ。『レ・ミゼラブル』。
1832年のパリの6月暴動事件、あと神とか罪とかラブとかアガペーとか神とか神とかパン盗んだおじさんとか銭形警部みたいなとっつぁんとか神とかのミュージカルだ。(←私見だ。)
因みに私よりも遥かに手練れの皆様には常識なのであろうか、
あのミュージカルの2幕のメインイベントの暴動はたった一夜の物語であることを。
私は卒公の稽古で知った。
えっ1幕のパンおじさんの数十年は十数分で巻き巻きだったのに2幕でめちゃくちゃ時間かけた革命シーンは一夜なの?
時間配分!
そんな一方的な混乱もありつつ稽古が進み、そのうち稽古場に本物の小道具が運ばれてくる。
そういや衣裳も本公演で使われていたものだった。
私と相棒役の子に支給されたクラヴァットにはそれぞれ「岡幸二郎」「坂元健児」というタグがついたままになっており、ふたりして「ひょえええ」となったものだ。
これは舞台人あるあるのひょえええではないでしょうか。
閑話休題、私は少年役だったので(ぽいだろう?)、革命に参加して弾薬箱を運んだりする動きがついている。
無意識のうちに、怪我しないように気を付けてその長方形の木箱を運んでいた。
けれど実際に箱に触れて意外な事実におどろいた。
どこもかしこも面取りされていた。ツルツル。どこをさわっても絶対に怪我をしないようになっていた。
前述したように、半分おろした役者シャッターの、残りの半分はスタッフに傾いていたので、
まだ全然知らないスタッフワークのロマンにときめいた瞬間かもしれない。
いま思い付く言葉としては、それは「役者ファースト」に集約される精神なのかもしれない。
勿論それだけがスタッフの極意でもないけれど、自分がいまスタッフ業をする時に根底にあるもののひとつではある。
そんなことを、
あれからぴったり10年経ったいま、
一緒に演助してる仲間がつくってくれた小道具にごしごしヤスリをかけて役者さんが怪我しないか自分であちこち触れて確かめながら、
自己満ではあるけれど今これPay it forwardだなと、思ったのだった。
Pay it forward(邦題「ペイ・フォワード」)は小学生だか中学生だかの男の子が「自分が受けた善意や思いやりを、その相手に返すのではなく別の3人に渡す」という社会科の課題をどーたらこーたらする20年前の映画なのですが素敵な作品なので良かったら観てみてください笑
【翻訳・訳詞】
オフブロードウェイミュージカル『bare』
2020.1.30(Thu)-2.9(Sun)
草月ホール
【翻訳・訳詞・演出】
ブロードウェイミュージカル『第25回パットナム郡スペリング大会』
2020.5.6(Wed)-10(Sun)
六行会ホール