3月は異動の時期 | 手術室発、日本の医療へ

手術室発、日本の医療へ

毎日の麻酔業務におけるミクロなことから始まり、そこから浮かんでくるマクロな日本の医療全体についてまで、感じること、考えることを書き残していきます。専門的なことも書きますが、一般の方にも読んでいただければと思います。

今年もまた3月が来た。

毎年研修生を迎えては送り出す私としては、毎年ながら、微妙な気持ちになる時期である。

今年の卒業生は、研修を満足してくれただろうか、実力が伸ばせただろうか。。。などなど。
もし、もう一年いてくれたら、もっといろいろなことを学んでもらえたのに・・・・という思いもあり、
非常に複雑な心境になる。

と、同時に、結局こちらがいくら、熱心にいろいろと指導しても、学ぶ姿勢がなければ、学ぶことはないだろうし、また自らの探究心が持続している人であれば、こちらに来なくても伸びていけるのかな、ということも考えてしまう。

指導ということを、突き詰めて考えてみると、結局は学習曲線を少々、早い時期に急峻に上昇させてあげることかなという気がする。ただ、それにより、到達できるレベルは、個人個人の資質で決められていて、そのプラトーレベルへ到達できる時間が早くなるか、少々時間がかかるかだけのように思われる。

人間教育によって変えられるなぞという、傲慢な考えは持っていないつもりだが、
自分の日々している仕事が、どれだけ、若い人たちの役に立っているかということを考えるとふと、寂しくなる季節でもある。

近頃読んだ本で、面白かったので一節を紹介する。
京セラの会長の稲盛さんの書かれた本で「生き方」という本がある。

生き方―人間として一番大切なこと/サンマーク出版
¥1,785
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そのなかで、
人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力
という一節があった。

指導者として一番影響をあたえることができるとすると、
考え方の部分かと思う。もちろん、熱意に火をつけることはできるかもしれないが、
これも、もともと本人のもっている資質によるところが多いような気がする。
熱い人間は元から熱いし、冷めている人間は、どうやっても熱くはならない。

本人の持って生まれた資質を最大限に活かせるよう、考え方の部分で、うまく良い方向に導いていければよしとする。

来年の研修生を迎える心の準備をするこのごろである。