映画/プルートで朝食を(2005) | 心を湛(しずか)にゆるがせて

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2022(16)2022/1/23観:WOWOW放送

『Breakfast on Pluto ─ 冥王星での朝ご飯』

2005年  アイルランド×イギリス合作  127分

原作・脚本/パトリック・マッケーブ

監督・脚本・製作/ニール・ジョーダン

製作/アラン・モロニー×スティーヴン・ウーリー

音楽/アンナ・ジョーダン

撮影/デクラン・クイン

編集/トニー・ローソン

プロダクション・デザイン/トム・コンロイ

【キャスト】

パトリック「キトゥン」/キリアン・マーフィー

リアム神父(パトリックの実父)/リーアム・ニーソン

チャーリー(パトリックの親友)/ルース・ネッガ

アーウィン(同上でチャーリーの恋人、IRA)/ローレンス・キンラン

ビリー(バンドのヴォーカル、IRA、パトリックと同棲)/ギャヴィン・フライデー

マジシャン(パトリックを利用する)/スティーヴン・レイ

ウォリス刑事(パトリックを逮捕、後に助力)/イアン・ハート

ジョン・ジョー(着ぐるみアクター)/ブレンダン・グリーソン

アイリー(パトリックの実母)/エヴァ・バーシッスル

バイク・ライダー/リーアム・カニンガム

ディスコの男/ドミニク・クーパー

【あらすじ】1960年代後半、アイルランドの小さな町。カトリックの神父リーアムとハウスキーパーのアイリーの間に生まれたパトリック。母は乳児の彼を教会の前に置いて姿を消し、近所の家に養子として引き取られたが、物心ついた頃から女子の様に行動し周囲から変人扱いされる。キトゥン(子猫)と名乗り夢想家で女装癖のある青年に成長した彼は、偏見が強く居心地の悪い生まれ故郷の町を去り、母親を捜す旅に出る。

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キリアン・マーフィーがヒロイン役というのに惹かれて観ましたら

まだアクションにあまり染まってないリーアム兄さんも登場。

ちょい役でドミニク・クーパーという顔ぶれでした。

キリアン・マーフィー、しっかりと女装した男性にしか見えませんでしたが

仕草や雰囲気は乙女そのもの。成り切った弾けた演技で女子に見えましたよ。

パイソン柄の衣装だって着こなします(TOP画像)。

でも歌は下手(に見せてたのかな?)。

 

時代背景としてIRAの過激テロなども登場しますが

全く深刻さは無く(ヒロインの先行きは深刻だけど)

「シリアスなんか大嫌い!」が口癖のポジティブ女子の物語でした。

また、閉鎖的なカトリック教国アイルランドのお国柄も

あくまでファンシーに近所の噂話を小鳥たちの会話で表現したり。

 

愛する人との出会いを夢見る乙女キトゥンは

実に惚れっぽく、従って騙され易い一面もあり

バンドのビリーは実は過激派だったり

マジシャンのおっさんには単にショーの助手欲しさだったり

ロンドンのディスコ(昔を感じる!)で踊ってたらテロに遭ったり

とうとう街娼に成ってしまいますけれどめげない。

自分は自分という軸がぶれない。何処でも自分らしさを通す。

その強さには感心すると同時に「あんたは間違いなく女だ!」と。

 

探し求めた実母との邂逅では結局名乗ることが出来ぬままだけど

神父の父とは親子として絆が生まれるのが心温まります。

未婚で妊娠した幼馴染のチャーリーと神父パパと3人で教会で暮らす。

神父を「父さん」と呼んで父も「娘」として受け容れます。

意外と普通にハッピーエンドか?と思ったら教会は放火されてしまう。

ヘイトクライムですね。理解しない人には絶対に許せない事なんでしょう。

 

神父のパパは別の教区に飛ばされますが

キトゥンとチャーリーは再びロンドンで生活をスタート。

アイルランドより自由でLGBTもシングルマザーも暮らし易いから。

チャーリーの赤ちゃんをベビーカーに乗せて颯爽と歩くキトゥン。

不思議と清々しいラストシーンでした。

 

タイトルは作中のバイク乗りがキトゥンに語る

「ケルトの偉人と旅をして、星を巡り火星に行って、冥王星で朝食をとる」

という台詞から取られています。