大河・世界史(12)王妃マルゴ(1994) ♪20世紀・思い出の映画鑑賞♪ | 心を湛(しずか)にゆるがせて

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前頁の「マスケティアーズ・国王の母」つながりの物語を紹介します。

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La reine Margot ─ 王妃マルゴ

1994年  フランス×ドイツ×イタリア合作  162分
監督・脚本/パトリス・シュロー
脚本/ダニエル・トンプソン
原作/アレクサンドル・デュマ・ペール
製作/クロード・ベリ
撮影/フィリップ・ルスロ
編集/フワンソワ・ジェディジエ×ヘレン・ヴィナール
美術/リシャール・ペドウッツィ×オリビエ・ラド
音楽/ゴラン・ブレゴヴィッチ
衣装/モイデル・ビッケル
【キャスト】
マルグリット(ヴァロワ家の王女、愛称マルゴで呼ばれる)/イザベル・アジャーニ
アンリ・ド・ナヴァール(マルゴの夫)/ダニエル・オートゥイユ
シャルル9世(フランス王、マルゴの次兄)/ジャン・ユーグ・アングラード
ラ・モール(マルゴの愛人)/ヴァンサン・ペレーズ
アンリエット(マルゴの侍女で親友)/ドミニク・ブラン
アンジュー公アンリ(マルゴの三兄)/パスカル・グレゴリー
アランソン公フランソワ(マルゴの弟)/ジュリアン・ラッサム
カトリーヌ・ド・メディシス(マルゴたちの実母)/ヴィルナ・リージ
ココナス(カトリックの貴族)/クラウディオ・アメンドラ
ギーズ公アンリ(マルゴの愛人)/ミゲル・ボゼ
コリニー提督(シャルルの信任篤い臣下)/ジャン・クロード・ブリアリ
コンデ公(シャルルの臣下、プロテスタント)/ジャン・フィリップ・エコフェ
アルマニャック(ナヴァルのアンリの側近)/ブルーノ・トデスキーニ
マリー・トゥシェ(シャルルの内妻)/ドルテ・リゼウスキ
ナンセー(警護隊長)/トーマス・クレッチマン


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マルグリット・ド・ヴァロワ(1553~1615) フランス王アンリ2世と王妃カトリーヌ・ド・メディシスの娘、フランソワ2世、シャルル9世、アンリ3世の3人のフランス王の妹。美貌だけでなく語学、哲学に通じた才女。1572年、19歳でナヴァール王アンリ(18歳)と政略結婚させられる。その婚礼の6日後、カトリック教徒によるプロテスタント教徒大量殺戮、サン・バルテルミの虐殺が起こる。ナヴァールのアンリとは幼馴染でまた従兄弟同士だったが、マルゴの意中の人はギーズ公アンリだった為 最初から夫婦仲は上手くいかず、長い別居の末 1599年に正式に離婚したが二人は茶飲み友達として良好な関係を続けた。子女は無かったが、62歳で若い愛人に看取られ永眠。波乱万丈ながらラッキー・ハッピーな人生だったと想像(笑)。

『三銃士』の物語よりも80年近く前に誕生したフランス史に名を残すヒロイン、それが王妃マルゴの愛称で知られるマルグリット・ド・ヴァロワです。

「マスケティアーズ・国王の母」に何処が繋がってるかと言いますと、ルイ13世の父王アンリ4世(アンリ・ド・ナヴァール)の前妻だったことです。アンリはマルゴと離婚してマリー・ド・メディシスを後妻に迎え、ルイが生まれました。

夫婦としてのマルゴとアンリは上手く行きませんでしたが、元々幼馴染でしたし離婚後は友人として仲良く付き合い続け、ルイ13世の事を可愛がってたそうですよ。アンリが崩御(暗殺)し、マリー・ド・メディシスとルイ13世が激しい母子喧嘩をしていた時はマルゴの晩年、どういう思いで見てたのでしょう。自身の壮大な家族喧嘩で慣れてた?


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さて、小説『三銃士』と同じくデュマ・ペールの原作による小説『王妃マルゴ』が映画の元ネタですが、何せ小説なので扇情的、スキャンダラスなイメージのマルゴが描かれています。

そういった妖艶な側面で多くの男性(実の兄弟まで!)を虜にしたと同時に、清しい美しさで抜きん出た様は、イザベル・アジャーニのルックスで雰囲気充分です。改めて観直しても、やはりアジャーニの綺麗さには見惚れました。それと、ブロンドの長髪をなびかせるトーマス・クレッチマンを確認できたのも目の保養でしたわ~ラブ

1572年のアンリとマルゴの婚礼から映画は始まり、じわじわとサン・バルテルミの虐殺に向かい、一気に血も凍る殺戮シーンへとなだれ込みますが、歴史物の常として「話知ってるよね?」という作り方なので、誰が誰やらごちゃごちゃして分かり難いという難点も否めません。改めて観ても昔のフィルムのままの画面で薄暗く俳優の顔が観辛く、シアター鑑賞向きであると実感しました。

大虐殺後の死体の山シーンは、殆どが衣服も切り裂かれた全裸状態の惨状を表したかったのでしょう。でも誰も彼も見事なプロポーションの死体達で、どれだけ大勢の男女モデルをエキストラに動員したのかと目を見張ります(そこか!爆!)。映画は、愛人のプロテスタント教徒ラ・モールが処刑された後、彼の首を胸に抱いて亡命した夫の後を追う所で終わる為かなり中途半端感が残ります。件のシーンは絵画の様に美しい♪
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長い映画なのに何週間かの出来事みたいに描かれているんですけど、虐殺事件からナヴァールのアンリが亡命に成功する迄は実は4年も経っており、マルゴが夫の元に行けたのは更にもっと後でした。史上ではその後も政情は治まらず壮大な宗教戦争(家族喧嘩)は続き、ヴァロア王家は終焉を迎えます。その後アンリがフランス王として君臨し、ブルボン家の血筋だったので大革命でマリー・アントワネットが処刑されるまでブルボン王家が続きました。

と、いう訳で、ドラマ『マスケティアーズ』に登場するフランス王ルイ13世はブルボンさんちの子なのです。パパの前妻だったマルゴおばちゃんが可愛がってくれて美しい思い出だったでしょうね♪(実母のマリー・ド・メディシスがアレですからね。爆!)