終着駅 トルストイ最後の旅 (2009) | 心を湛(しずか)にゆるがせて

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2011/5/3観  於小倉昭和館 (※『瞳の奥の秘密』と二本立て)
The Last Station                       ─ 終着駅 ─
 2009年  イギリス×ドイツ×ロシア合作  112分
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 監督/マイケル・ホフマン(『ダルク家の三姉妹(1988)』『恋の闇愛の光(1995)』)
 EP./アンドレイ・コンチャロフスキー×フィル・ロバートソン×ジュディ・トッセル× ロビー・リトル
  製作/クリス・カーリング×イエンス・モイラー×ボニー・アーノルド
  撮影/セバスティアン・エドシュミット
 編集/パトリシア・ロンメル
 美術/パトリツィア・フォン・ブランデンスタイン
 衣装/モニカ・ジェイコブズ
 音楽/セルゲイ・イェフトシェンコ
 【キャスト】
 レフ・トルストイ/クリストファー・プラマー
 ソフィア・トルスタヤ/ヘレン・ミレン
 ワレンチン/ジェームズ・マカヴォイ
 サーシャ/アンヌ=マリー・ダフ
 チェルトコフ/ポール・ジアマッティ
 マーシャ/ケリー・コンドン
 ダシャン医師/ジョン・セッションズ
 セルゲイエンコ/パトリック・ケネディ
 
1910年、ロシアを代表する文豪トルストイは、チェルトコフをはじめ多くの信奉者達と「トルストイ主義」を掲げ、著作権を放棄し、民衆の為に私有財産を捧げようとする。トルストイを支え、執筆に協力してきた妻ソフィアは、それに反対し財産を守る為に時にヒステリックな言動を取り、夫婦の仲は冷めきっていた。そんな時、トルストイを尊敬する青年ワレンチンが、チェルトコフの勧めでトルストイ邸を訪れる・・・。
 

 
さて感想を。
ソフィア・トルスタヤと言えば、「世界三大悪妻」の一人とまで言われた女性。
だが近年の研究で、それが必ずしも適した見解でないとも言われている。
 
夫婦喧嘩は犬も喰わないと、よく言うが、若い頃ケンカばかりしてたけどジジババになっても一緒に居る
・・・というなら微笑ましいが、最晩年に最悪の関係となり修復不可能、よぼよぼの夫が家出するなんて
なんという気の毒な話だろうか。
 
実はこの映画、例によっておらが村では都会よりかなり遅れての劇場公開であり、
鑑賞前にTV放送されたトルストイのドキュメンタリー番組を観た。
伯爵であり世界的作家であったトルストイは、今日で言うパパラッチの評的だったようで、
実写フィルムが残っている。
そこには、頑なに妻と会う事を拒む夫の様子を、窓の外からそわそわと覗くソフィアの姿が残っており
見ていて胸をしめつけられた。「会ってあげなよ!」と爺ぃに言ってやりたい。
 
現代では、財産は夫婦共有(然もソフィアも原稿の清書など手伝ってるし)と認識されているものが、
20世紀初頭では厳然たる男性社会、「俺の物は俺の物」的な感覚のトルストイに少々ムカつく。
が、しかし、その辺を踏まえつつも、事あるごとにキーキー言われると顔も観たくなくなって当然と思う。
夫婦の問題は他人には分からないし、きっとお互い様だろうし、どうしようもないんだよね・・・。
 
 
夫の良きパートナーたり得なくなり、エキセントリックな行動に走るソフィアをヘレン・ミレンが好演。
『クイーン』の理性的で表情を崩さない様子とは180度変わり、感情的に喚くわ泣くわ、それでいてとても
可愛い雰囲気を持ったソフィアを表現していた。ミレンの演技でソフィアが嫌な女に見えない。
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本当は妻をとても愛しているんだけど、いつしか心はすれ違うばかり。
上手い文章は書けても、大切な人に最重要な想いを伝えるのが下手。全く男って・・・↓orz
そんなトルストイなり切りぶりがステキなクリストファー・プラマー メイクさんの腕前もあるけれど。
(下/本物のトルストイ伯爵。やっぱり俳優の方が男前ですな!ごめんね、伯爵♪)
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世紀の夫婦喧嘩の目撃者でもあるワレンチンを演じるマカヴォイ君
『つぐない』(演歌っぽくて好きじゃないなあ、小説の原題「贖罪」の方が良いのに!)が良かった。♪
次回作、R・レッドフォード監督作『The Conspirator』が楽しみ♪(下/本物のワレンチンとトルストイ)
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 トルストイ夫妻の娘サーシャを演じたアンヌ=マリー・ダフ(左)は、マカヴォイ君とは本物の夫婦♪
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チェルトコフを演じるのはポール・ジアマッティ(左)。トルストイを崇拝するあまり聖者に祀り上げる。
夫婦にとってはとんだお邪魔虫的存在だが、実際のトルストイとチェルトコフはゲイ友だったとのこと。
ううむ・・・お邪魔だったのは若しかしてソフィア?人の恋愛は何ともし難い、てか爺ぃ!不倫じゃんむかっ
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ワレンチンとトルストイ主義者の若い女性マーシャの恋が、破滅へ向かう老夫婦と対照的に描かれ、
新しい時代の若者を象徴しているかのようだった(TOPポスター参照)。
「僕たちは、ああいう風にならないようにしようね♪」とか話していそうだな。(^^A
 
 
老夫婦にも、もう一度若い頃を思い出す時間があれば、いや、老境にあって時間が無いからこそ自我の
主張が激しかったのかも知れない。本当はとても素敵なカップルだったのに・・・。
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「生まれ変わっても一緒になりましょう」 「いや・・・わしは・・・遠慮しとく」 「ぬあんですって!むかっ
・・・という会話が聴こえてきそうですな。(こらあっ!) パートナーは大事にしましょう♪
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