次に、限定用法では、形容詞はどう変化するでしょう。
限定用法とは何か、については【文法】形容詞 - 叙述用法 〜その1〜にて。
ちょっとだけややこしいのが、スウェーデン語では、
a pretty girl (未知形)と the pretty girl(既知形)で
「pretty」(形容詞)の形が変わります。
形容詞がかかる名詞が、未知形か、既知形か、の違いです。
詳しくみていきましょう。
そもそもスウェーデン語では、
形容詞の変化するルールに応じて「強変化」と「弱変化」を区別しています。
強変化は、叙述用法の基本ルールと同じものですが、これが適用されるのは
「未知形の名詞」というのが限定用法では大事なポイントです。
- 強変化:未知形の名詞の場合
- en名詞が単数未知形の場合、形容詞は原形のまま(無変化)
- ett名詞が単数未知形の場合、形容詞の末尾に-tをつける
- en名詞もett名詞も、複数未知形の場合、形容詞の末尾にに-aをつける。
- 弱変化 :既知形の名詞の場合
en名詞もett名詞も、既知形の名詞では、全て形容詞の末尾に-aをつける。
単数・複数は問わない。
表にまとめました。
「stor(大きい)」という形容詞の変化に注目してください。
少し脱線しますが、
the big bear = den stora björnen
のように、形容詞がついた名詞を既知形にする場合は、
den/ det/ de + 形容詞 + 名詞 という書き方をします。
なので、the big bearは、stora björnenではなくて、den stora björnen に。
形容詞がen名詞にかかるならdenを、ett名詞ならdetを、名詞の複数形ならdeとなります。
ちなみに、叙述用法と同じく、例外的な変化をする形容詞もあります。
「vacker(美しい)」でみていきましょう。
叙述用法の時の変化はこちら。
・単数
a beautiful flower → en vacker blomma (無変化)
the beautiful flower → den vackra blomman (複数形の変化の時と同じ!)
・複数
beautiful flowers → vackra blommor(複数形の変化)
the beautiful flowers → de vackra blommorna(複数形の変化)
単数既知形の時の変化が、複数形の時の変化と同じなのがポイントです。
その他のイレギュラー変化をする形容詞も、
単数既知形の時は、複数形の時と同じ変化をします。
the simple house → det enkla huset
the red house → det röda huset
the painted house → det målade huset
the old house → det gamla huset
以上が、限定用法です。
最後に、復習がてら、叙述用法と比較してみましょう。
・単数
A bear is big. → En björn är stor.(無変化)
The bear is big. → Björnen är stor.(無変化)
※未知形も既知形も区別しない!
・複数
Bears are big. → Björnar är stora.
The bears are big. → Björnarna är stora.
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余談ですが、強変化と弱変化について調べていたら・・・
ゲルマン語形容詞変化の歴史的発達(1) : ゴート語、ドイツ語、北ゲルマン語
なる論文を見つけました。
形容詞の変化(強変化・弱変化)の歴史的発達について
それはもう詳細に書かれています。
おまけ。