中2男子から先日こんな質問を受けました。
「先生、模試ってどうやって受ければいいんですか?」
まだ中2なのに大変意識が高い。
模試の仕組みについてレクチャーしたのですが、そういえば、毎年この手の質問は確かに多い。模試は毎回受けた方が良いのか、いつから受ければ良いのか、などなど。
まだ分かっていない人も多いでしょうから模試について簡単に記しておきましょう。
すでに受験生という人は、これからの時期は積極的に受けて下さい。
まだ1度も受けたことがないという人はさすがにいないと思いますが、これまでの時期は出題範囲が限られているので、完全に本番と同様な模試にはなっていません。ですが、これからは全範囲が出てきますので、いよいよ本番に向けた、文字通りの模擬試験という捉えで受けましょう。志望校を最終的に決めるためにも重要な資料となります。
来年受験生という人もぜひその点は覚えておきましょう。
模試は受験学年の夏頃から毎月実施されています。
中には開催される全日程を受けようとする人もたくさんいます。
受けさせようとする講師・塾がたくさんあるということなのかもしれません。
ですが、ちょっと待ってください。
もちろん、受けたければ受ければいいのですが、きちんとやるべき勉強ができてもいないのに、模試ばかり受けても、そうそう結果は変わりません。
「当たり前じゃん」と思うかもしれませんが、なんか儀式のように毎度毎度律儀に模試を受ける人がいます。受験勉強も少し進んでくれば、ある程度自分で自分の実力や学習の進度が分かってきます。いや、分かってこないといけません。
だから、やたらめったら模試ばかり受けてもあまり意味はない。それだったら、模試は1日がかりですから、その日丸1日勉強時間に費やした方が、レベルアップを図れることもあります。要は、模試があるから受ける、とか、これをやりなさいと言われたからやる、とか、脊髄反射のように行動をせず、一度自分でかみ砕いて、理解してから行動をとりましょうよってことです。
さらに、模試に関していうと、結果が返却されたとき、トータルの点数とか「志望校判定」「偏差値」ばかりに注目している人が多い。定期試験や模試などテストの点数の見方が分かっていない人が多いのです。
点数だけを見て「上がった・下がった」と一喜一憂するだけの人、いますよね!?
あなたは違いますか?
「あいつに勝った」とか「負けた」とか、それも友達とのコミュニケーションという意味ではいいけど、学習という面では何の意味もありません。
勝ち負けを問題にするなら、昨日の自分に勝っているかどうか、でしょ!?
テストまでにどんな勉強をして、どこが成功したのか、失敗したのか、十分に習熟できたのか、訓練が不足していたのか、そこを問題1つ1つで検証しなければテストの意味がなくなってしまう。それこそ単なる儀式、行事の1つでしかなくなってしまいます。
これはテストする側にも問題がありますが、そこに文句を言ってもはじまりません。
自分の将来がかかっているのです。
自分の成長がかかっているのです。
自分が変わり、自分が正しい行動を取れるようになり、自分が正しく成果を出せるようになることの方が重要なのです。
だったら、点数が上がった、下がっただけを問題にしても何の意味もないことは明らかです。
分野毎の部分点や、各項目の得点に注目しなければいけません。
この後自分はどう行動すれば良いのかを分析しなければいけません。
そこまで出来て初めてテストは意味のあるものになるのです。
現在の定期テストでは、テストする側(学校・教員)も、受ける側(生徒・保護者)も、それが分かっていない人があまりにも多い気がします。だから、いつまでたっても変わらないのですよ。気を抜くと、どんどん点数が取れなくなり、成績は下降線を辿ってしまうのですよ。
だって当たり前でしょ。
ただ何となく勉強して、嫌々言いながらテストを受けて、ろくに振り返らず、また元通りの日常をくり返して、また次のテストの日がやってくる・・・
そんな日々を過ごして、良くなる方が不思議なわけです。
塾に行っている人も要注意。
塾に行っているから現状維持か、大きく下がらないというだけの人も多いです。
言われたことをきちんとやれているの!?
言われなくても自分の弱点を克服するための行動が取れているの!?
漠然であっても、次の目標を決めて、そのために妥協せずに訓練が積み重ねられている!?
自問自答してみてください。
そうした正しい行動ができていなければ、塾に行っているだけで何かが劇的に変わるなんてことを期待しても、残念ながらそれは奇跡のようなことだから、ほとんど起きないが現実です。
奇跡は死ぬほど努力した人にだけ、ご褒美のように降り注ぐものです。
しかも、万に一つの確率で。
塾の講師の一人として、そんな現実のために働いているわけではありません。日々神経すり減らして、次こそは、こうしたらもっと良くなるかな、何とか変わってほしいと強く願って働いているのです。
本気です。
真剣です。
主役であるあなたが本気に、真剣にならずして、何をなしとげられるのでしょうか。
こんなことをいうと、こういう反応が返ってきそうです。
「そんなこと誰も教えてくれなかった」
確かにそうですね。
そういう正しいことを教えてくれる人が「先生」と呼ばれる人の中でも少なくなってしまったということはあるでしょう。
いや、以前から少なかったのかもしれません。
だって、僕自身も、例えば「模試は何度も何度も受けなくてもいい」「模試に一日費やすくらいなら一日勉強時間に充てなさい」なんて言ってくれる大人は一人もいませんでしたよ。
自分で考えたんです。
自分にとって何が大切か、何を優先すべきか。
誰も教えてくれなくても、自分できちんと目標を定めて、そのための行動に思いを巡らせていれば、自分にとっての答えが出てきます。すぐに出てこなければ誰かに相談しても良いでしょう。現在であれば、インターネットで検索して、たくさんの人の意見を聞くこともできます。
ただ、自分の意識、思いがあるかないかだけで、取れる行動は全く違うものになるのです。
こんな風にいうと、きっとこういうリアクションをする人がいるでしょう。
「あぁ、先生は立派だったんですね。もともと優秀だったからできるんですよ」
「うちの子はダメです。とてもそんなことできやしません」
何度も、何十回も、いや何百回と聞いてきました、このセリフ。
では、お聞きします。
実際にやってはみましたか?
やらせてみるように工夫はしましたか?
たいていの人は「NO」と答えます。
あなたはどうですか?
やってみもしないで、やる前からネガティブな判断をする理由は何なのでしょう。
全知全能の神でもない限り、どうなるかなんてわからないでしょう。
いや、もしその結果が分かるほどに優れた見識があるか、分析力があるというのであれば、そもそもそんな考えのない行動を取ることはないと思うのですが・・・。
ただ、これはあなたが悪いというわけでは決してないのです。
学校や先生、塾の先生、教育に携わる大人の多くが、何か誤解をしていて、良く考えればナンセンスなことを「良かれと思って」やってしまっています。
先生という人種は、けっこうな数の人が、それぞれ独自の正義を振りかざしてきます。この場合も、その先生としては「良かれと思って」やっていることです。たまに、経済原理に負けて、単なる商売としてだけ進める場合もあります。模試などは特にそういう利害関係が大きいでしょう。
だから、やっぱり疑いようがないという人も多くいるのです。
でも、少なくともこれを読んでいるあなたはちょっと違う視点を持つきっかけができました。
僕の考えを真っ向から否定し、論破する程に強固な意見や立場をお持ちの方は、それはそれで良いでしょう。それだけの考えを持って自分の行動を選択できているのであれば、何もいうことはありません。自分の正義を貫けばいいのです。
そうではなく、単に「学校の先生が言っているから」「塾の先生が言っているから」というだけで、何でもかんでも自分の大切な行動、時間の使い方を決めてしまっている人は、危険だよってことです。ちょっと自覚的になろうよってことです。
何も先生のいうことは嘘だから否定しなさい、なんてことは言っていません。
むしろ、勉強に関しては、先生が言うことは一理あるし、正しい場合が多いものです。
先生に支持された課題ができない(宿題を忘れる)なんてことは、言語道断のナンセンスな行動です。
大事なのは、たとえ、実際に先生が言ったことと同じことをやるにしても、本当にそうかな、それって本当に自分に必要かなって考えるくせを付けておきましょうってことです。
そうやって自分でもう一回検証して(考えて・疑って)みることは、ものすごく大事なことなんです。
ぜひ、テストや模試もただの1つのイベントとして、受け終わったらそれで終わりではなく、しかも、トータルの得点が上がった、下がったなんて感想を抱いて終わるなんて愚かなことは絶対にしないでください。
だって、テストで点を取るため、成績を上げるため、入試で合格するために、勉強してるんでしょ!?
だったら、その目的を達成するために絶対外せないポイントの1つが、これです。
テストの結果をどう生かすか、ここを具体的に見ずして結果は出せません。
何度テストを模試を受けても、評価は変わりません。
理由はもうおわかりですね。
そうです。
行動の変化を起こせないからです。
ぜひ意識的に行動を変えましょう。
そのためにも、いま一度、何で勉強するのか、何のために勉強しているのか、しっかり考える時間を取っても良いですね。
その時々の、自分なりの、ひとまずの答えでも良い。
それがあるかないか、それだけでも行動に違いが生まれるでしょう。
がんばる人を応援するのが僕の仕事です。
どうか正しく応援させてください。

