現在、当塾の「基礎講座」では、
夏休みの課題の対応も視野に入れ、
作文をテーマとして授業を行っています。
そんな中、ある中学生が「意見文」を書こうとしています。
テーマがなかなか決まらないというので、
いくつかそれらしいテーマを提案しました。
…が、なかなかピンと来ていない様子。
3年生だし、社会科では公民分野の学習が始まっているので、
最近の「安保法制」や「憲法改正」はどうだろうか。
初めはピンと来ていない様子でしたが、
その後「あれっどうなの?」「それってどういうこと?」
などなど質問を通して、少しずつ興味を持ち始めたようです。
なかなか難しいテーマではありますが、
せっかく公民の勉強もしているのですから、
いろいろ情報を集めてしっかり考えてみてほしいと、
見守り続けています。
ただ、そんなやり取りをしている中で、
別の中学生から、
「集団的自衛権反対」
とか、
「安保法制なんて廃案になればいい」
といった反対派の声が聞こえてきました。
「なんでそう思うの?」
って聞いてみると、
「だって戦争することになるんでしょ!?」
って。
「え?なんでこの法案が通ると戦争になるの!?」
「え、だってアメリカの戦争にまきこまれるんでしょ!?」
ビックリしました。
キレイに反対派の主張が落とし込まれている。
学校で先生がそう言っているのでしょうか。
ご家庭で親御さんがそう語っているのでしょうか。
もちろん「反対」の立場を取るのは良いでしょう。
それぞれの価値観のもと、意見を表明すればいいのですから。
しかし、反対派の多くは、「安保法制」や「憲法(9条)改正」などを、
「戦争をする国にする」とか「徴兵制」とか「違憲」などといって
反対しています。
これは、ちょっと国民のミスリードもいいところ、
自らの主張の論理性のなさ、矛盾を露呈しているようにしか見えない。
冷静に聞いて、情報を整理して、考えていけば矛盾だらけなのに、
でもキレイな理想を不安をあおるように、安保法=戦争というレッテル張りで
押し通されると、幼気な少年、少女たちは、あれ?そうなの?じゃあ反対!ってなりますよ。
だから、彼・彼女のためにもきちんとした議論をしてほしいと思います。
せっかく論理的な思考やメディアリテラシーなどをテーマに学習していても、
やっぱりこうしたレッテル張りをされた報道が連日なされていては、
「君たちが戦争に行くんだぞ」
「若者が血を流すことになる」
なーんて言われたらやっぱり不安になるでしょう。
きちんと考えさせ、何が正しいのか、
どう国というもの、社会というものを捉えていくのか、
その機会を奪わないでほしい。
そもそも「自衛隊」は「違憲」とされてきました。
それならきちんと法律で規定するのが筋でしょう。
しかも、そうせずに現状のまま「自衛隊」には目をつぶり、
自衛隊の廃止には全然踏み込まないというのは、
その考え自体が私にはよく分かりません。
そもそも「日米安全保障条約」は「集団的自衛権」の具体例ともいうべきもの。
在日米軍基地や国連の活動だって国際法の観点からすれば立派な集団的自衛権の行使。
私たちはすでに日々集団的自衛権を行使しています。
その点をどのように説明するのでしょうか。
そうなると米軍基地はいらない、自衛隊だって究極はいらないというのでしょうか。
その時、国の、国民の安全は誰がどう保障するのでしょうか。
スイスのようにいざという時、全国民で立ち上がるという覚悟があるのでしょうか。
(まぁ永世中立国を詠うスイスにも軍がありますけど)
自衛隊の廃止まで訴え、この国から完全に軍事力を排除し、
他国に侵略されても構わないというのであれば、主張としては理解できます。
もちろん賛成はできませんが。
でも残念ながらそうではないようなんですね。
さらに言えば、集団的であろうが個別的であろうが、
自衛権というのは自然権とされる部類のもの。
本来的に、当然のごとく有するものです。
どうやらそれらは当たり前すぎて憲法に明記されていない国もあるようです。
だってある時ならず者にいきなり襲われて、
その時ただ無抵抗に蹂躙されるのでしょうか。
そうはしないでしょう。
もし、仮にそうだというのであれば、
そして、それが国民の大多数の意志であれば、
そういう国家をつくればいいんです。
それがルールですから。
でも、それってどうなんでしょう。
反対派の人たちは、さらに、彼らのレッテル張りで本当に考えなければいけない部分を隠された状態で何となくのイメージや雰囲気で「反対」と言っている人は、自分が、自分の家族が襲われた時に、無抵抗にやられることを真に望んでいるのでしょうか。
いやいやそんなわけないというのであれば、自衛隊をきちんと法整備し、日米同盟・安保条約のもと、集団的自衛権を正当に行使し(すでにしていますが)、自衛隊が無駄な血を流さずに、意義のあるオペレーションを遂行できるようにするのが自然な流れでしょう。
いやいや、米軍に頼るな、米軍基地をなくせ、というのであれば、現在米軍が担っている防衛力を自国だけで持てばいい。
かなり非現実的な選択肢ですが、なくはない。
そうなれば防衛予算が現在の何倍、何十倍も必要であることは、具体的な数字を出すまでもなく火を見るよりも明らかなこと。
国民がそうした税金の使い方を良しとするかどうかという話になります。
この話題、そういう観点でみれば、大変シンプルな話だと思うのですが。。。
というか、そういう観点でこそ考えなければいけない話題のはずです。
「違憲」とか「戦争する国」とか、ましてや「徴兵制」なんて反論、少々筋違いです。
自衛隊の存在は認めて(黙認して)、さらに「個別的自衛権」は認めて、
集団的自衛権になると、戦争だ戦争だ、違憲だ違憲だといわれても、
まず大事なのはそこではなく、国の、国民の安全保障をどうするかって話なのに。
それを守れない憲法であれば、それは憲法の方がおかしいわけで、
憲法を改正すればよいのです。
憲法は決して変えてはいけないものではないわけですから。
世界的には憲法の改正は決してめずらしいことではない。
70年も改正がされていない方がめずらしいでしょう。
まぁ、とにかく幼気な中学生たちが何となく不安を煽られ、
冷静に議論を見渡せなくなっています。
それが残念でなりません。
普段から論拠を明確に、と授業内でもくり返し伝えていますが、
しかし、そこは中学生というべきか、
「大きな」声にはなかなか疑問をさしこんで、
リテラシーを発揮できないでいます。
大人であれば自分の責任で情報を吟味すべきでしょうが、
中学生は今まさに学んでいる最中の身ですから、
そこはちょっと気をつかってあげましょう。
くり返しますが、どうか子ども達がきちんと理性的にこの議論を追えるよう、イイオトナな大人が理性的に、論理的に話を進めてほしいですね。
私自身だって強行採決とか、乱暴に数の論理で押し切るべき話題ではないと思いますが、とはいえ野党を中心とした反論は、ちょっとズレてしまっているとしか言いようがなく、さらにネタもつきてしまっているようにお見受けします。
それなら、じゃあもう採決で良くね!?ってことになっても仕方ない。
大事なテーマだからこそ、与野党超えてきちんと議論すべきです。
だからこそ、その意味で野党頑張れって思いもあります。
でも、お願いですから、変なレッテル張りだけで終わらないでください。
イイオトナ、しかも税金使っている議員さんなんですから。
建設的な議論をお願いします。
子どもたちが観ています。