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2017年03月07日(火)

キクチ

テーマ:イチゴな日々

カバンを無くして3ヶ月

 

一向に進展を見せない捜査状況に痺れを切らした私は

 

被害のあったお店にその後の様子を尋ねた。

 

 

そこで常連客が再度

 

そのお店を訪ねてきた、と言う

 

これ以上ない進捗状況を聞かされる事となった。

 

 

 

 

第1話 ⇒ 【 10度目の春

 

第2話 ⇒ 【 銀座の夜で  】

 

第3話 ⇒ 【 与えられた試練  】

 

第4話 ⇒ 【 裏切るのが期待  】

 

第5話 ⇒ 【 ようやく出てきたカバン  】

 

 

 

 

 

**************

 

『カバンを持って行った男性

 

また、お店に来たんですよ。

 

警察の方に聞いてませんか?』

 

 

 

お店の方からの思いもよらない情報。

 

もちろん、そんな情報を

 

聞いてる訳が無かった。

 

 

 

『カバンを持っていった方が来店された際に

 

こちらで名刺を頂きまして

 

それも警察の方に提出しております』

 

 

 

捜査状況の進捗状況を尋ねると決まって

 

『未だ、裏付け捜査が進んでおりませんので』

 

そう答えていた菊池刑事

 

 

お店の方が機転を利かせて手に入れてくれた名刺

 

 

 

これ以上の裏付けある?

 

 

 

ようやく被疑者の特定が出来た嬉しさ

 

それよりも、その状況から2週間

 

ほったらかしにされた怒りが勝った私は

 

直ぐに菊池刑事に電話をした。

 

 

 

『今、お店の方に聞きましたけど

 

カバンを持って行った方、またお店に来てて

 

更に、名刺迄手に入ってるのに連絡無いって

 

一体、どうゆう事ですか!?』

 

 

口調こそ丁寧だったが

 

私の語気はかなり強くなっていた。

 

 

 

『申し訳ないです。

 

只今、色々と立て込んでおりまして・・・』

 

 

 

事件が起きたのが2月中旬

 

それから3ヶ月近くが経過をして

 

もう5月に差し掛かっていた。

 

 

 

『色々と立て込んでるって

 

一体、いつになったら動いてくれるんですか!?』

 

 

更に語気を強めた私の問いに対して

 

申し訳なさそうに菊池刑事は答えた。

 

 

 

『申し訳ございません・・・

 

只今サミットで忙しくて・・・』

 

 

 

そうか、そうか

 

今は伊勢湾サミットで忙しくて・・・

 

 

 

て、ここ港区だよな?

 

 

 

 

サミットやってるの三重県だよね!?

 

港区の警察が証拠が揃ってる事件をそっちのけで

 

てんやわんやしちゃうの!?

 

 

 

世の中には溢れる程犯罪は起きている

 

それに比べたら、私の事件なんて

 

とても軽微な物だ。

 

 

だからと言って、ここまで解決の糸口が揃っているのに

 

この対応はあんまりだ。

 

 

 

ようやく私は、このままだと事件が解決しない事を悟った。

 

 

 

 

**************

 

『吉田さんの携帯番号で宜しいですか??

 

私、佐々木弁護士事務所の

 

佐々木(仮称)と言う者ですが・・・』

 

 

 

このままだと事件が解決しない事を悟った私は

 

この事件を弁護士に相談をした。

 

 

カバンを常連客に持って行かれた事

 

その様子が防犯カメラに残っている事

 

その常連客の連絡先を警察が入手している事

 

それなのに事件が解決しない事

 

その理由がサミットで忙しいと言う事

 

 

 

真っ先に電話をくれた佐々木弁護士

 

電話口で呆れた様に答えた。

 

 

 

『メールに書いてある事が事実であれば

 

これは飛んでもない事です。

 

この事件ですが、直ぐに解決出来ますよ!』

 

 

最後の一言が、とても心強かったのを

 

今でも覚えている。

 

 

 

翌日に佐々木弁護士から連絡が入った。

 

 

『吉田さん、今回の件ですが私が代理する旨と

 

事件の進展が無い旨、担当刑事にお伝え致しました。

 

特に捜査状況についてはかなり強く伝えましたので

 

直ぐに進展があると思いますよ』

 

 

 

佐々木弁護士の言う通り

 

その数日後に菊池刑事から連絡が入った。

 

 

この事件が起きてから4ヶ月

 

思えば菊池刑事から連絡を貰うのは

 

事件が起きた日を除けば

 

これが初めての事だ。

 

 

 

『弁護士先生からご連絡を頂いた件ですが

 

その後、被疑者の方にも警察に来て頂いて

 

後は被疑者の方と弁護士先生の方で

 

お話をまとめて頂けるかと思いますので・・・』

 

 

 

 

あんなにも動いてくれなかったのに

 

弁護士が介入するだけで

 

ビックリするぐらいに事が運んだ。

 

 

 

 

数日後。

 

 

 

佐々木弁護士から連絡が入った。

 

 

 

 

『あれから被疑者の方と面談を致しまして・・・

 

今回の件ですが、かなり泥酔をされてたみたいで

 

全然覚えてなかったみたいです』

 

 

 

今回の犯人とされる常連客。

 

どうやら私のカバンを持って行ったのは

 

故意ではなかった様だ。

※その後、お店に普通に行ってる時点で大体察しはついていたが

 

 

 

『警察の方に防犯カメラ等を見せられて

 

今回の事件に関しては

 

誠心誠意を持って謝罪をさせて頂く

 

と言っておりますので』

 

 

 

故意では無いにしろ

 

酔ってカバンを持って行った事は許されない事実だ。

 

しかし、それに対してしっかりと謝罪が出来る

 

そんな方が犯人で逆に安心した私に

 

佐々木弁護士はこう告げた。

 

 

 

『ただ、被疑者の方も言ってました・・・

 

 

何で、今なんだ?

 

 

と』

 

 

 

揃った状況証拠から

 

自分の特定は難しくなかっただろう。

 

事件発生直後なら、あぁあの時そんな事やらかしてしまった

 

そうなったのに、何で4ヶ月も経った今なんだと。

 

 

 

その被疑者の方の言葉を聞いて

 

この方もある意味、被害者なんだな

 

そんな事を私は感じた。

 

 

 

 

**************

 

『こんな事があったんですよ

 

ありえないですよね!?』

 

 

 

この長かったカバン事件を

 

私はいきつけの美容院で担当の方と話していた。

 

 

この担当の方との付き合いは10年以上になり

 

大阪転勤時代の2年近くの間も

 

出張の度にカットをして貰っていた。

 

 

お店が都内から川越に移った際も

 

当初は後任の方にカットをして貰っていたが

 

しっくりこなかった私は2時間近く掛けて

 

川越まで通い、カットをして貰っている。

 

 

 

『しかし、その菊池刑事

 

とんでもないですねぇ・・・

 

同じ菊池として申し訳ないです』

 

 

奇しくも、私の担当の方の名前も菊池だった為

 

菊池さんは笑いながらそう答えた。

 

MANITA LUXUCE

マニタ ラグス

埼玉県川越市脇田町17-25 畑中ビル2F

JR埼京線/東武東上線『川越駅』東口より徒歩3分

 

 

『でも、解決して良かったですよね

 

財布とかお金はどうなったんですか??』

 

 

心配そうに菊池さんは聞いてくれた。

 

 

『お蔭様で、全部弁償して頂いた上に

 

とても大きな額の慰謝料まで払って頂きました』

 

 

お蔭で私は長年買いたかった

 

財布とキーケースまで買い揃える事が出来た。

 

 

 

 

 

 

カバンが無くなってから

 

仕事にプライベートにかなり支障をきたしたので

 

むしろ、安いぐらいと言う人も居た。

 

 

ただ、何よりも大事なカバンが返ってきた

 

それだけで私は充分だった。

 

 

『バレンタインデーに貰ったばっかりのカバンが

 

一週間後には無くなってしまったので

 

それだけ戻ってきて何よりでしたよ』

 

 

その話を聞いて、菊池さん

 

思いだし笑いをしながら答えた。

 

 

『しっかし、菊池刑事のカバンのやり取り

 

ほんっと、笑えますよね!

 

ネイビーって言ってるのに灰色って応えて

 

紺色って言ったら、そっちの?

 

って、コントですよね 笑』

 

 

あの時は切羽詰まっていて笑えなかったが

 

今となっては、かなり笑えるだよなぁ・・・

 

と、同時に私はある事を思い出した。

 

 

 

『そう言えば戻ってきた私のカバン・・・』

 

 

 

『カバンがどうしたんですか??』

 

 

菊池さんが不思議そうに尋ねた。

 

 

 

 

 

TAKEO KIKUCHIでした』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2017年02月10日(金)

ようやく出て来たカバン

テーマ:イチゴな日々

全てが詰まったカバンを


不意に奪われてしまった。




その時の残った数々の証拠のお蔭で


事件は早期解決するかに見えた・・・




しかし、あまりにも消極的な担当刑事の対応は


その僅かな希望すらを簡単に奪っていった。




無くなったカバンが出て来た


と、言う連絡を貰うまでは・・・。







第1話 ⇒ 【 10度目の春



第2話 ⇒ 【 銀座の夜で  】



第3話 ⇒ 【 与えられた試練  】



第4話 ⇒ 【 裏切るのが期待  】





**************


事件から4日経った日


早朝に私の携帯が鳴った。



『こんな朝早くに誰だよ・・・』




そんな電話の主は


被害届を出した警察だった。



要件は、無くしたカバンが届けられた


と、いう事。




その待ちに待った発言を受け


眠気が吹き飛んだ私は


すぐさま、警察に駆け込んだ。





待ちに待ったカバンとの対面



の、はずだった。




しかし、そこには


無情な現実も


一緒に待っていた。





事件のあったお店近くの路地裏に


捨てられていた私のカバン




財布や定期、携帯の充電器、等


仕事道具以外の物は一切なかった。




約10年間、私と色々な思い出を供にしてきた財布


様々なお店でコツコツと貯めてきたポイントカード


立て替えた分も含めると10万以上の現金




その全てが、奪い去られた事を


改めて実感した瞬間だった。




『何が何でも


犯人を捕まえて償わせてやる』



やり場のない怒りが



当たり前の様に犯人へと向けられた


瞬間でもあった。






**************


私の確固たる気持ちとは裏腹に


捜査は一向に進む気配を見せなかった。




そんな私を見兼ねてか


友人が私を飲みに誘ってくれた。




場所は事件のあった新橋界隈。





『遅れて行くから


先に飲んで待ってて!』




その友人の連絡を受けて


いつも、独り飲みをする焼き鳥屋に足を運ぶ。




カバン事件の幕開けとなった


元上司と一緒に来た以来だった。




『あ、吉田さんすみません!


今日、いっぱいなんですよー』




そう、そんな事言われるのも珍しくない


人気店だったよね、ここは。




仕方なく、その焼き鳥屋を後にして


独りで時間を潰せるお店を探す。




『困ったな・・・


あそこぐらいしか一人で行く様なお店


知らないんだよな・・・』




そう、思いながら新橋の街を歩いてると


男性から不意に声を掛けられた。




『すみません!


ちょっと良いですか!?』




夜の繁華街を歩いていると


いわゆる客引きに声を掛けられる事は珍しくない。



新橋のそれは私が知り得る繁華街の中でも


かなりの数で声を掛けてくる。




(・・・うっとおしいな)




大抵、目線も合さず無視をしていれば


引き下がってくれるのだが・・・




この日、声を掛けてきた男性は


やけにしつこかった。




『すみません!


ちょっとで良いんでお話だけでも良いですか!?』





(・・・しつこいな)




視界の端に映るスーツ姿らしき男性に


目線すら合せず無視をしようとした時


その男性の顔が私の視界に飛び込んできた。











え?







その顔を見て


私は思わず声が出た。






『・・・澤部さんですよね?』





そう、私に声を掛けてきた男性


それはお笑い芸人


ハライチの澤部さんだったのだ。







『すみません


今、テレビの取材をしてまして・・・


少しだけお時間を頂いても良いですか??』




突然の要求で状況が呑み込めなかったが


お店すら決まっていなく時間を持て余していた私は


その要求を快諾した。




『別に大丈夫ですけど・・・』




その私の発言と共に


一斉に私の周りに集まるスッタフ


そしてカメ向けられるカメラに照明




『ただいま、新橋にいらっしゃるサラリーマンの方に


お話を伺っておりまして・・・』



そう、切り出す澤部さん


その後、やたらと私の持ち物を褒めだした。




『ネクタイもすごく素敵ですね、どこのブランドですか??


時計も高そうで・・・』



あまりの褒めように気持ちが悪くなった私は




『え?


ホントは何が聞きたいんですか??』



と質問返しをした。




『今回の番組ですが


【聞きにくい事を聞いてみた】と、言う番組でして


新橋のサラリーマンの方に


聞きにくい事を聞いておりまして・・・』




私も何度か見た事がある番組だった。



(聞きにくい事ってなんだろう・・・)



そう思った矢先に澤部さんから


本題の質問が飛んできた。




『ずばり、財布の中身には


幾ら入ってますか??』




確かに、聞きにくい質問だったが


それ以上に私はその質問に対して


答え辛い状況だった。




『すみません、先日


カバンを盗難されまして


財布が無いんですよ』




先日の事件が解決するまでは


新しい財布を買わないと決めた私は


財布が無い状態だった。




『またまたぁ~


そんな事言わずに教えて下さいよ~』



私が財布を出し渋っているかと思い


食い下がらない澤部さん




『本当なんですって!


この前、すし三昧でカバンごと盗られちゃって


財布が無いんですって!』




私の必死の訴えを見て


ようやく、その出来事が本当だと悟った澤部さん




『え?


じゃあ、今現金はどうしてるんですか??』





『今ですか??



銀行の封筒に入れてます』



そう、この時の私の財布代わりは


銀行の封筒だったのだ。





『そんな、いくらなんでもそれは無いですよね?笑』



そう笑いながら応える澤部さんを尻目に



私のカバンから三井住友銀行の封筒が出て来た際に



澤部さんを含めて、スタッフ一同から爆笑が湧きあがった。





『本当だったんですね!!』




その後、何度かやり取りを交えて


私に対しての取材が終わった。




『本日はありがとうございました』



そう沢辺さんに御礼を言われた後に


ディレクターらしき男性が私にこう告げた。




『すみません、先程の


すし三昧でカバンを盗られちゃったって言うくだりですが・・・



お店の名前が出ると色々とまずいので



すし三昧ってところを



お寿司屋さんに変えて


もっかいやって貰って良いですか??』












え?





ちょっと待って







ただの素人だよ??





そんな、素人に


なに、さらっと高度な要求してるのよ!?




そんな、何事も無かったかのように


もう一回、出来る訳・・・




『それでは財布を見せて貰って良いですか??』





おい、澤部





なに、さらっと進めてるんだよ!!


やらなきゃいけない流れになってるじゃないか!!





『・・えっと、財布ですが


この前、カバン盗られちゃって無いんですよ・・・



・・・お寿司屋さんで







私の苦労が詰まった今回のやり取り


私は親しい友人達にのみ放送日を伝えておいた。




『それ、絶対放送されるよ!


そんな面白い出来事ないもの!!』




話を聞いた友人たちは


口を揃えてこの出来事を絶賛してくれた。





そして迎えた放送日。




仕事で会議だった為


OAを観る事が出来なかった私に


放送直前に次々と連絡が入った。




『そろそろ始まるね!』



『録画スタンバイしてるよ!!』




そして、私は長い会議に入り


放送時間、1時間後に再び携帯を見た。





そこには放送を観てくれた皆からの


連絡で埋め尽くされていた。




『放送観たけど・・・



直君、映ってなかったみたいだね・・・』







待って




あんな高度な要求させておいて





カットされたの?






おい!



おい!!!



カットするんだったら






あんなクダリ


要求するなよ!




酷いにも程があるぞ!!!






カバンが盗られた事により


思わぬところにも影響が出ていた。







**************



事件から3ヶ月経ったが


未だに警察から事件の進展を継げる連絡は


入らなかった。




私から担当の刑事さんに定期的に連絡をするも


『未だ裏付け捜査が取れていなくて・・・』



相変わらずな返事しか貰えなかった。





業を煮やした私は


再度、事件のあったお店に連絡をした。



カバンを持っていった常連客が


あれからお店に来ていないかを確認する為だった。




担当の副店長に繋いでもらい


様子を伺う。




すると、驚いた様子で副店長


私に告げた。




『吉田さん、警察の方に聞いてませんか??



例の常連客、この前お店に来られたので


私が名刺を頂いて、既に警察の方に提出してますよ』








え?








『それ・・・


いつの出来事ですか??』






『えっと・・・



2週間ぐらい前です』







つづく

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2016年07月05日(火)

裏切るのが期待

テーマ:イチゴな日々

全てが詰まってたカバンを


お店の常連と言う人物に持って行かれてしまった。




常連と言うだけあって


顔と名前は良く知られてはいるものの・・・


それ以外の情報は誰も知らない。




しかし、持って行った際の一部始終が


お店の防犯カメラに映っていたのだ。




確たる証拠を持って


事態を解決すべく


警察に連絡したのだが・・・。







第1話 ⇒ 【 10度目の春



第2話 ⇒ 【 銀座の夜で  】



第3話 ⇒ 【 与えられた試練  】







**************



警察署に電話をして


被害届を出したい旨を伝えると


刑事課に電話を回された。




刑事課と名乗る男性に


私は今までの事件の経緯を


事細かく説明をした。





『・・・と言う訳なんです。



お店に確認したところ


持って行った方は常連らしく


防犯カメラにカバンを持って行くところが


バッチリ映っているとの事です』





これ以上ない証拠



だから被害届出せば


直ぐに解決するよね??




口には出していないが


そう言わんばかりの私の期待を


あざ笑うかのように刑事は答えた。




『まずねぇ、被害届を出したからと言って


必ず犯人が捕まるとは思わないで下さいね』















え?






え?


ここまで証拠揃っても


捕まらないって前置きされちゃうの??




なに、その塩対応!?


え?そんなもんなの!?


警察ってこんなもんなの!?





その疑問が噴出した私は


刑事に食って掛かった。




『え?


これまでにも何度か来てる常連


しかも防犯カメラにも


バッチリその姿映ってるんですよ?



それでも人物って


特定出来ないんですか??』




湧き上がる質問を切り捨てるかのように


刑事は答えた。





『映像に残ってると言っても


何千人の中からその人物を特定する事は


とても困難な事ですから』









なに、この・・・






消極的の極みは?




刑事じゃない、刑事じゃないの?


当たり前だけどね♪


ってうっさいわ!





被害届はなかなか受理してくれない



噂で聞いた事はあるけど・・・




その噂を体感した瞬間だった。




しかし、そんな対応をされても


私は食い下がる訳にはいかなかった。




全てが詰まったカバン


何としてもでもそれを取り戻したかったから


その気持ちが全てだった。





『それでも良いので・・・


とりあえず被害届を出したいので


どうすれば良いですか?』





『じゃあ・・・先ずは警察署まで


お越し頂けますか??



調書を取るのに時間が掛かるので


時間に余裕がある時で』




そう答える刑事に私は


即座に答えた。




『本日・・・


これからでも宜しいですか??


20時頃には伺えると思います』




どんな消極的な対応をされても


直ぐにでも事態を前進させたかった私は


そう刑事に伝えた。




『分かりました。


では20時にお待ちしております。



あ、申し遅れましたが


私は刑事課の菊池と申しますので


私宛にお越しください』




『分かりました。


念の為、連絡先とお名前を


伝えておきます・・・。』




現時点でこんな消極的な対応をする方が


ちゃんと話を聞いてくれるのだろうか・・・。




そんな不安を隠しきれない私は


会社を後にして警察署に向かった。









**************




『すみません・・・。


20時に被害届を出す約束で伺った


吉田という者ですが・・・』




受付らしき警官に話しかける私。



普段、なかなか訪れる機会のない警察署


初めての内容で来た私は


若干緊張していた。




『刑事課の菊池さんを訪ねる様


言われたのですが・・・』




そう、受付の方に答える。


夜だからなのか署内を見渡す限り


その受付の方ぐらいしか居ない様だ。





『あ、はい


只今、刑事課に確認しますね』




そう言うと


受付けの方は裏へ行き


内線で確認をしてくれた。




静けさだけが辺りを包む署内


私は椅子に座って待っていた。





『あ、吉田さん』



静かな署内に


受付の方の私を呼ぶ声が響いた。




『あの・・・


大変申し訳ないのですが・・・』





え?



予期せぬ言葉の始まりに


私は一瞬驚いた。





『先程、事件が起きまして・・・



刑事課の者が


全て出払ってまして・・・













え?






『本日、戻りが未定の様でして・・・


申し訳ないのですが


改めてお越し頂いても宜しいでしょうか??』








おい、菊池




お前が20時に来いって言うから来たのに


居ないとかどうゆう事だよ!



こんな事があった時の為に


連絡先伝えたじゃねえかよ!



幾ら緊急とは言え


居なくなるなら居なくなるって


連絡の一つぐらい寄こせよ!





全財産が限られた俺にとっては



ここに来る迄の交通費だって


緊急事態なんだよ!!


※家から会社⇒会社から警察署でこの時の手持ちは500円を切っていた





電話の時に感じた嫌な予感


頼むからこんな時に的中しないでよ・・・。








**************



次の日、私は再度警察署を訪れていた。

刑事課の人間が居る事を確認してから来たのは


言うまでもない。





ぱっと見渡す限り


普通の会社と変わらない


刑事課の部屋に通された私に


一人の男が近づいて来た。




『昨日は大変申し訳ございませんでした。


只今、この件の担当が不在なので


私が代わりに調書を取らせて頂きます』




齋藤と名乗る刑事が


昨日の件を謝罪をしながら


私の話を聞いてくれた。




『それでは、細かくお話を


聞かせて頂けますでしょうか??』






何だろう、この安心感。



当たり前の事を言われてるだけなのだが


昨日の消極的な対応から感じた不安のせいか



齋藤と名乗る刑事と話してる時間は


不思議と私に安心感を与えてくれた。




『それで、無くなったカバンは


どんなカバンですか??』




『革製で・・・


色はネイビーですね』








『それで、財布の中身は


どれぐらい入っていましたか??』





『お金は2万円ぐらいだったと思いますが・・・



領収証が10万分近く入ってまして・・・


これが無いと私が立て替えないといけないんです』





そう、何よりもこれが1番のダメージだった。




仕事のお付き合いが多い私は


会食の費用等は全て私が立て替えてる。



この領収書が無いと


全て自腹になってしまうのだ。





『それは結構な金額ですね・・・』





そんなやり取りを


齋藤さんとしている時だった。









お前


どこに居るんだよ!!








突然、刑事課の事務所内に


怒号が響き渡った。




『・・・は?



家に居る??





お前・・・



東戸塚に行くって


言ってただろ!!






どうやら先輩刑事


後輩刑事を電話で叱っている様だった。




(刑事って言っても


なんか普通の会社と変わらないんだな)





(しかも後輩刑事、家帰ってるとか


外回り行くって言って、さぼってるのがばれた


ダメリーマンみたいw)





そんなやり取りがどこか可笑しくなってきた私は


怒号が響くなか、斎藤さんとのやり取りを進めた。





『これ、お前の案件だろうがよ!


防犯カメラは回収したのかよ!?』





そのフレーズを聞いて


安心感から薄れていたカバンに対しての


執着心を思い出した。






(刑事によっては


こうやって直ぐには動いてくれない事もあるんだ・・・)




そんな不安を思い出しながら


齋藤さんとのやり取りは終わりを迎えようとしていた。




その時だった。




『あ、吉田さん


すみません』




それは、さっきの怒号の張本人と思われる


刑事さんだった。



声の迫力に負けないぐらいに


見た目も迫力のある刑事に不意に声を掛けられた私は


一瞬、たじろいだ。




『は、はい?』





『すみません


この事件を担当する刑事ですが・・・


只今、不在でして・・・



明日、朝一に防犯カメラを回収させて


直ぐに被害届を受理致しますので』






・・・え





・・・ちょっと待って





俺の事件を担当するのって・・・





今、電話でクソ怒られてた





ダメ刑事さん?





え、やだやだやだ!


聞いてた限り、東戸塚行くって言って


家に帰ってたのがバレて怒られてた刑事だよ!?




事件を解決出来るビジョンが


全く見えやしないよ!?




そんな刑事さんが担当なんて


絶対にやだよ!!!





そんな私の心の声を無視するかのように


迫力のある刑事は続けた。





『明日、この刑事から


連絡をさせますので・・・』





そう差し出された紙には


担当刑事の携帯番号


そして、その刑事の名前が書かれていた。











刑事課 菊池



090-〇〇××-△△□□











ねえ!


ねえったら!!




これ、最初の電話で消極の極み乙な対応してた








あの菊池だよね?






来いとか言って来たら


連絡も寄こさないで居なくなった・・・








あの菊池だよね??







いやだ、嫌すぎる!!




そんな不安の渦にのみ込まれた私を悟ったのか


齋藤刑事が私に声を掛けてくれた。




『ここまで証拠も揃ってますし


ある程度人物の目星もついてますから


直ぐに犯人は特定出来ると思いますので・・・』







『は、はぁ・・・』






仕方が無いけど


腐っても国家権力




齋藤刑事のこの言葉を


信じるしかないのか・・・





そう、観念した私は


身分証で提出した私の名刺を指して




『こちらの番号は会社の携帯になりますので


連絡を頂く時は今から書く


プライベート携帯


連絡をお願いします』






そう伝えて


のしかかる不安と共に帰宅をした。







**************

前進した話とは裏腹に


かなりの不安を残した次の日



お昼前の銀行で


私はキャッシュカードの再発行


待ちに待った全財産の補充を行っていた。



ようやく手持ちが増えて


安心感に満たされた私は


待ち時間を携帯のゲームで時間を潰してた。




その時


私の携帯が鳴った。





『はい、吉田です?』






仕事用の携帯電話だった



且つ、登録されてない番号だった為


探り探りの対応で電話に出た。





『吉田さんの携帯ですか??



この度は色々とすみません。


私、刑事の菊池ですが』





初めての消極的な対応とは


売って変わって丁寧な口調の菊池刑事




他の刑事の方が


何か言ってくれたのかな??




てか、その前に・・・







菊池・・・









プライベート携帯


に掛けろって




言ったよな?









そうゆうとこだぞ、菊池


そうゆうとこが俺を不安にさせてんだぞ!菊池!!




そんな心の怒りを知る由もなく


菊池は続けた。





『今回の事件ですが・・・



まず、無くなったカバンは


どんなカバンですか??』







遺失物届け


先日の調書




カバンの特徴を言うの・・・






これで3回目だぞ?






引き継ぎとかどうなってんだよ!?


そんな大きな特徴すらも


把握できないもんなの!?







不安の波に溺れた私の頭を


さらに抑えつけて押し込められるぐらいに


話せば話す程に不安になってくる・・・。




本当は発狂したくなるぐらいの状況だったが


この状況で私が熱くなっても何も得はない・・・



そう思い


私は冷静に答えた。





『カバンですが・・・


革製で色はネイビーです』






『ネイビーって事は・・・



灰色ですか?』











うそでしょ?





ねえ、うそでしょ!?



どこをどう聞き間違えたら・・・






ネイビーが


灰色になるんだよ?







(・・・冷静に・・・冷静に)



とっくのとうに心は乱れていたが


何とか乱れる心を落ち着かせながら


私は冷静に答えた。






『ネイビーなので・・・


紺色ですね』





『あ、そっちの?』







どっちのだよ






無理!無理無理!!!!



この人、俺の理解を超え過ぎ!!!





使える使えない以前に




会話が


出来ないんですけど?








よりによって何でこの人が担当なんだろう・・・。



本当にこの人で事件が解決するんだろうか・・・。





そんな不安をよそに



『防犯カメラを回収した後に


被害届を受理します



その際にまたお越し頂く事になりますので


その際はご連絡致します』




と、菊池刑事は電話を切った。






『今日の朝一で


回収するんじゃなかったのかよ・・・』




もう突っ込む気力すら無くなっていた。









その3日後




事件のあったお店付近のゴミ捨て場で



私のカバンが発見されたと



警察署から連絡が入った。







つづく

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