半導体メーカー中堅のイサハヤ電子(長崎県諫早市、井崎春生会長兼社長)は風力発電や太陽光発電などの電力制御に使う新型のパワー半導体を開発した。大出力の発電装置を安定的に稼働させるため大電流に耐えられるようにしたのが特徴で、今年秋に量産を始める。半導体は家電向けの需要落ち込みが激しい。成長を見込める新エネルギー関連の需要を取り込み、パワー半導体関連の売上高を現在の10億円から5年後に20億円に倍増させる。
開発したパワー半導体は「ゲートドライバー」と呼ばれる電子部品で、電気の周波数変換やモーターの制御に使う。同社は同製品の国内供給をほぼ一手に担うメーカーだが、これまでは1400アンペアまでの電流を調整する製品しかなかった。大電流の制御が容易になるよう新たに1800アンペア対応と2500アンペア対応の2つの製品を開発した。
2製品とも価格は1万円前後を想定。秋から月間500~1000個体制で量産し、段階的に増産する計画だ。国内だけではなく、海外にも売り込んでいく。
風力などの新エネルギーのほか、工作機械やハイブリッド車、電気自動車関連の需要も見込む。今後、品ぞろえを充実させていく方針だ。
大電流を制御できるようになり、ユーザーはパワー半導体の使用点数を減らせる。例えば、出力500キロワットの太陽光発電装置では従来、1400アンペア対応品が12個必要だった。2500アンペア対応品を使えば、6個で済むという。パワー半導体は発電装置が大型化するのに伴って使用点数が増えるため、同社ではシステムの簡素化に役立つとみている。
同社は「アナログ半導体」と呼ばれる特殊な半導体製品が主力。メモリーなどのデジタル半導体が市況悪化に苦しむなか、アナログ半導体は電力や車載関連の需要が増えているという。「東日本大震災の景気への悪影響が薄れ、電機向けを除いて今年度下期から需要が本格的に回復する」(井崎会長兼社長)とみており、新製品の投入で攻勢をかける。
同社の2012年3月期の売上高は前の期比横ばいの110億円、税引き利益は4倍の2億円程度になったもよう。
出典:日本経済新聞