江戸川大学社会学部ライフデザイン学科2年 相澤真一
はじめに
2008年11月13日に行われた第62回ローカルデザイン研究会では、NPO法人 銀座ミツバチプロジェクト副理事長兼紙パルプ会館常務取締役の田中淳夫さんをゲストに招き、“銀座で農業がおもしろい!ミツバチの視線で見た銀座のまち”をテーマに、銀座で行われた農業の全貌とその可能性について講演して頂いた。
銀座ミツバチプロジェクト
『銀座ミツバチプロジェクトとは、食についてのシンポジウムを開催してきた“銀座食学塾”と、銀座の街の歴史や文化を学んできた“銀座の街研究会”の有志たちを中心に集まり、銀座3丁目紙パルプ会館屋上でミツバチを期間限定で飼っている特定非営利活動法人である。』 (銀座ミツバチプロジェクトHPから引用)
ミツバチの飼育を通じて、銀座の環境と生態系、自然と都会の共生を感じることを目的としたこの組織の活動は、銀座でミツバチが採れるという珍しさも相俟って、各種メディアからも注目を集めている。
ミツバチについて
ミツバチは環境指標動物と言われ、人間に影響のない程度の微量の農薬でさえも、弱ったり死んだりしてしまうとてもデリケートな生物だ。ミツバチを銀座で育てるという行為は、銀座の自然環境を豊かにする事と直結する。また、植物の一部は、虫に蜜を提供する代わりに、虫を媒体にする事で受粉を行う。銀座周辺の植物にとって、ミツバチはその媒体の役割を見事に果たしているのである。
安全性も気になるところだが、ミツバチというのは非常におとなしい動物で、私たちがいたずらをしない限り、攻撃をしてくることはほとんどない。そのため、安全性の面でも銀座で飼育することが可能な動物である。
銀座でのミツバチ飼育は、銀座で新たな商品、価値を見出すだけでなく、自然環境の現状を明確に捉え、整備する事をも可能にする。そして、安全性もある程度保障されているというのだから、非常に合理的な発想だと言える。
無限の可能性
ミツバチ飼育による可能性は無限に広がっている。
・ 銀座で取れたハチミツを使ったスイーツ等の販売による新たな名産品の開発。消費の町銀座での地産地消の実践。
・ ミツバチプロジェクトをきっかけにした“ファームエイド銀座”と呼ばれる里山や奥山の食の情報発信イベントが企画された事よる新たなコミュニティの構築。
・ “銀座グリーンプロジェクト”と呼ばれる、ミツバチが受粉媒体となる事で可能となった屋上菜園。
銀座でのミツバチ飼育から派生して様々な活動が行われるようになったのである。
感想
銀座でのミツバチ飼育の一番の強みは、その話題性だ。銀座でミツバチ、このインパクトの強さが周囲の注目を集め、消費の町銀座を見つめ直し、新たな銀座を発見していくことに繋がっている。そこから派生して、新たなコミュニティが形成される、こうした活動が各地域に広がっていく。話題性があるだけに銀座が地産地消のモデル地域として認知され、情報の発信源となっている。
今後も銀座ミツバチプロジェクトの発展を心から祈りたい。ありがとうございました。