11月4日(金) Main Session
小池都知事も公約で掲げた殺処分ゼロ。
空前のペットブームの今、
考えるべきこととは何か?
【スタジオゲスト】
ジャーナリストの駅義則さん
【電話出演】
成城大学教授の打越綾子さん
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番組、音声ありのページは、こちら。
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聞きながらツイートしてたので、それをペタペタ貼ります。(最初から20分過ぎまで)
今日はこれを聞いて、寝よう
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
【音声配信】小池都知事も公約で掲げた殺処分ゼロ。ペットブームの今、考えるべきこととは何か?▼駅義則さん、打越綾子さん▼11月4日(金)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」平日22時~) https://t.co/5FccvGtghb
以下、書き起こし
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
荻上チキさん
さて小池都知事が殺処分ゼロを公約に掲げているんですが、まずこの殺処分がどういったものなのかを教えてください。
駅義則さん
殺処分て言うんですけど、正確には致死処分て言うんですよ。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
全国集計する上では殺処分と呼ばれてるんですけど、たとえば収容する過程で、死に至る(殺されちゃう場合も含めて)が全部で816匹。犬猫合わせて。
それ以外に規定では兎とか鶏とかアヒルとかも対象になってるんですが、2015年はゼロです。
全部犬と猫、実質203匹というのは
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
全部犬と猫、実質203匹というのは…
チキさん
東京都内で?
駅さん
東京都内で。
816匹致死処分というのは収容するときに、たとえば子猫なんかは体が弱いから死んじゃったりとか、交通事故にあってて、こりゃもう助からない、これ以上収容してると苦痛を味あわせると判断して
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
そういうものを含めて816なんですよ。
これでもかなり少なくなったほうで、ピーク時には(816匹のレベルと比較して)1983年度に5万6千匹以上いたんですよね。
チキさん
ほう、ほうほう…
南部広美さん
5万6千・・・東京都で?
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
東京都で。
全国ではその当時100万匹くらい死んでたと思うんですけど。
203匹というのは、内訳で言うと犬が10匹で、猫が193匹。
203匹が具体的に、どういう子達なのかというと、まず引き取っていて、なんとか育てられないことはないんだけども収容しきれない。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
どいうことかと言うと、あまりにも年を取りすぎていて貰い手が無さそうだとか。あと、こっちが物凄く多いのですけど、まだお母さんから乳離れしていな子猫が多いんですよ。
僕も経験してますが、乳離れしてない子猫は24時間体制で3時間に一回お乳をあげたりしないといけないんだけども
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
行政の施設って24時間体制じゃないですよね。
チキさん
そうですよね。
駅さん
だから、収容しきれないから彼らはやむ無く殺しちゃうと言うんだけれども、それが193匹のうちの大半です。
そして犬が10匹と。
そういう仕組みになってるんですよ。
チキさん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
そういう致死処分、つまり具体的に意図的に殺すものではないもの、ということになるので、そう言った用語を使ってるということになるんですね。
駅さん
そうです。
チキさん
そういった致死処分に至る前に、そもそも保護や収容の対象になるのはどういった動物なんでしょうか。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
保護の対象になるのは、犬猫合わせて兎、鶏、アヒルも加えてということですね。でも兎、鶏、アヒルというのは、ここ数年ほとんどなくて、2015年度はゼロでしたね。
チキさん
ゼロ。それは逃げ出した、捨てられた?
駅さん
まぁ捨てられたみたいですね。ほとんどゼロになってるんで
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
あまり意識はしないけど制度としてはあるという仕組みになってるだけであって、実質的には存在していません。
チキさん
なるほど
駅さん
犬と猫だけです。
チキさん
東京都の致死処分203匹というのは、全国の中ではどういった割合になってるのでしょうか。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
(東京都の致死処分は)非常に少ないですね。
全国で2015年、致死処分のレベルで見ると合計で8万匹くらいですよね。内訳見ると犬が1万6千で、猫が6万7千。合計8万3千なんですけど、そのうちの816匹ですから、まぁ人口比で考えても相当少ないとみなしても間違いないと思います
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
所謂さっき言った、実質的な殺処分て全国統計まだ出てないんですよ。
おそらく来年以降出て行くと思うんですけどね。
チキさん
来年以降出てくるというのは、そういう方針があるということですか?
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
そうです。
環境省がそういう方針で、それまでいわゆる「致死処分」だったんだけれども、実際に殺してるわけではない部分もあるから、明確に規定しなさいという指示を出してるみたいなんですよ。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
で、東京が真っ先に数字を出してきたと。
816分の203だから4分の1ですよね。
チキさん
なるほど。
駅さん
それを出してきてる他のところもあるけど出揃ってないのが実情です。
チキさん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
そうした中で東京都は力を入れてると言いますか、随分と殺処分という点では進んでるということなんですけど、そもそも、そういった犬猫というのは、どういった仕方で自治体の方に回収されるようになっているんでしょうか?
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
動物愛護の観点もあって、これ裏もあるんだけれども、あんまり引き取らないようにはなりつつあるんですよ。
チキさん
引き取らない…
駅さん
そう。
引き取らないというか、昔ほどには大々的には引き取らなくて
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
例えば東京都の動物愛護センターの人に話を聞いたんだけれども、引き取ってくださいと来た時に、何とかしてくださいよと安直にしちゃうと下手すると殺さないといけなくなるので、やむを得ないという状況であれば引き取ると変わってきてるんですよね。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
だから非常に門戸が狭くなってきてる部分はありますし、だいたい飼ってる人が高齢者、あるいは飼ってる人が亡くなったとかね。そういうのが多いですね今は
安直に飽きたから…連れてくるとき飽きたからとは言わないんだけど、そのへん事情を詳しく聞き、やむを得ない場合引き受けるように
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
変わってきてるんですよ
チキさん
じゃあその面接みたいな形で話をする中で、窓口か何かで話をする中で、たとえば「飼えないんですけど、どうしてですか?」「うーん、あの…」みたいな明確に答えられないであるとか、何かちょっと飼えるんじゃないかという時は、行けるんじゃないですかと
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
そうですね。あとは極力ボランティアの人と協力して、引き取ってくださいとやるんですよね。
ただ子猫とかは可愛いですからね。
僕も新しい飼い主を探すとかいう活動をやってて分かるんですけど、貰い手がいそうな子はボランティアが引き取って飼い主探してくれるんですよ。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
そういうボランティア団体が東京都で48団体あって、けっこう熱心に引き取っていってくれるってのはあるんですよね。
チキさん
さっき言った、ほんとうにお乳が必要な赤ちゃん猫が、けっこう割合としては殺されるのが多いって話がありましたけれど
チキさん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
その段階で引き取って譲渡するボランティアさんていらっしゃるんですか?
駅さん
んー。
なんか、おっつかないのかもしれない。
東京以外の地域で、どこか忘れたので申し訳ないんだけど、離乳するまでの間ボランティアに1ヶ月くらい引き取ってもらって
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
24時間体制じゃなくなったら、また施設に戻すってことをやってる自治体もあります。
チキさん
ふーむ。
駅さん
だからこの203匹をゼロにしていこうと思ったら、そういう制度をとらないと無理じゃないかなと考えますけども、出来ないことはないんじゃないかと思いますね。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
もちろん、その分ボランティアさんの負担も大きくなっちゃいますしね。それに行政もどう対処していくかっていうのは、これからの課題になると思いますけれどもね。
チキさん
なるほど。
そうした中で殺処分数、減ってるということにはなるんですけど、どうして減少してるんでしょうか
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
そうですね…全国的に見て、ほとんど犬だったんですよ。
だけれども1974年度から、法律の関係で自治体が引き受けなさいって義務付けされたんですよね。
それで当初、初年度の致死処分数は犬が116万匹で猫が6万3千。
当時は狂犬病の観点もあって犬の方がメインだったんですよ。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
いま116万対6万て言ったんですけど、どんどんどん犬に対する意識が進んで、管理もされて飼い犬登録もきっちりされるようになってきたんで、犬がバンバンバンバン減ってきた。
それで2000年度になると犬猫が逆転するんですよね。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
そして、そのあと愛護意識の高まりとか、いろんな背景があって、どんどん減ってきてるってのはありますね。
チキさん
なるほど。
その愛護意識の高まりというのは、啓発活動などによって進んでいったということなんでしょうか。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
それもあるし、ペットというか…それまでは役に立つから犬を飼っていた。
チキさん
番犬みたいな
駅さん
番犬みたいな感じなんだけれど、やっぱり番ができなくても家族じゃないのという感じで意識が変わってきた。あとは少子高齢化もあって、犬や猫を大切に思う気持ちも高まってきた
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
という部分もあるんじゃないかと思います。
チキさん
そうした様々な意識の向上もあるなかで、愛護団体やNGOなどの努力活躍というのも、こうした減少に繋がっているのもあると思うんですけど。
駅さん
そうです。メインは、やはりボランティアの人たちの努力ですね。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
それは感じる。
チキさん
どういった取り組みをされているんですか?
駅さん
さっき言った様に、施設に引き取られたら、極力引き受けようとしたり。
里親を探したりするんですよ。
あと意識としてペットショップで買うだけじゃなくて
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
不幸な子を引き受けて家族にしようとする人が増えているのも事実だと思います。
私自身、猫を保護して、里親会って言うんですけど連れて行くんですよ。
それで子猫だけじゃなくて、大人猫でも相性が合って貰われていったってケースがあるんですよね。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
ああいう光景を見てると努力が繋がっていったのと、あとひとつは金で買うんじゃなくて、ちゃんと家族として飼うという意識が高まっているのが大きな要因だと思いますよ。
チキさん
なるほど。
ペットショップで買われなくて、飼い主が見つからなくて売れ残ったケースはどうなんでしょう?
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
真相は闇の中なので分からないんですけど…引取り屋ってケースがあって、生かさず殺さずじゃないけど、純血種の犬や猫だったら子供を産ませ続ける。それも頻度を高めて子供を産ませ続けて何度か売って採算を取るとか。
あるいはちゃんとケアしないとか。いうケースはある、みたい、ですね。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
ただ正直、行政の殺処分の数字みたいに公式統計として、そういう数字はなかなか出てこないし、そもそも、そういうことをしている人たちが名乗り出るわけもないので、そのへんは分からないのが実情ですね。
もちろん、そういうところから引き取られる子もいるから一概には言えない。それに
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
ブリーダーが全て悪質というわけじゃないですから、そこは勘違いしてはいけないと思います。ちゃんと育ててる人もいるし、ペットショップの人がみんな、血も涙もないとなるのは、おかしな話だと思います。
完全な白ではないが、完全なブラックでもないと個人的には思います
チキさん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
店舗や引き取ってくれる方によって異なると。
駅さん
ペットショップでも里親探ししてくれるケース、ありますからね。
チキさん
先ほど少し歴史の話も伺いましたけど。
殺処分、国が動き始めて行政が対応するという状況が始まったのは、いつからでしたっけ。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
これ経緯があって1973年に、今の動物愛護法の前進になるのは「動物の保護および管理に関する法律」て法律が議員立法で成立したんですよ。
これは動物愛護の先進国と言われるイギリスのね、エリザベス女王が訪日するということに合わせて、日本としても捕鯨とか、
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
あと動物愛護でも遅れてるんじゃないかって世論があって出来た法律なんですよ。それに沿って74年に、この法律が施行されてですね、自治体がとりあえず動物を収容しなさい、と。
それまでは野犬狩りなんかもそうだったんだけれども、ちゃんと管理しないでそのまま殺しちゃってた。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
その数も、統計が分かってないんですよ。
何故かというと、管理してないから。数がないでしょ。
前の東京オリンピック(1964)の前には、外国人がたくさんやってきて、まだ野犬がいるわけですよ。これじゃ見栄え的にマズイからって、どんどん捕まえてましたって話はあったみたいです
チキさん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
捕まえて殺して、ていう?
駅さん
そうそう。
ちゃんと管理しないで殺してたんですよね。
チキさん
じゃあその場で…
駅さん
その場で、ってわけじゃないけど、保健所に持って行って管理して里親を探してという発想が無いですから…殺しちゃったというのはあると思うんですよ。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
その当時の教訓から考えると、当時制度として収容してないから数字とってないわけですよね。逆に殺処分ゼロがもし達成されたとしても、数字が把握できなくなる可能性もあるんですよね。
チキさん
数字の取り方として、行政を経由しないで…ということですよね。
駅さん
そうそう。
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
殺処分ゼロ、すなわち「行政による殺処分ゼロ」。
数字のうえの殺処分がゼロになるからといって、その地域で死んでいく犬や猫の数がゼロになるということは絶対にないということは覚えておいたほうがいい。
ただ、ちょっと面倒なのは水面下に潜るというか、分かんなくなっちゃうから
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
逆に都市伝説的に、あそこであんなことが起きてると、大騒ぎになっちゃうとマズイんじゃないかと思いますけどね。
チキさん
行政が一度預かって、ボランティアなどと連携して、そのサイクルが上手く回って殺処分になるペットが最低のラインまで減っていくというのが望ましいわけですけど
チキさん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
そうではなくて数字上だけでゼロになると、行政が関与しないから受け取るのがゼロになるというのは、ブラックジョークじゃないけど本末転倒ですよね。
駅さん
そうですね。だからゴールじゃないんですよ。そのあとも見なきゃいけないし、実際殺処分ゼロを達成した自治体もあるんだけども
駅さん
— ふぇりっくす (@dantarou) 2016年11月23日
殺処分ゼロになりましたと言って継続してるかといえば、それは「?」というところもあるんですよね。
チキさん
継続できるシステムを作らなきゃいけないということになりますね。
駅さん
そうだと思います。