音楽始めた頃にV系を選んだ理由は、音楽的にV系は何でも出来る、と思ったからなのです。
昔から幅広く色々な音楽が好きだったので、V系なら全部やれんじゃね?とか思って。
僕が子供の頃聴いてたV系は音楽的にはメタル、パンク、ロック、ニューウェーブ、グランジ、オルタナ、ラウド、新旧のいわゆるV系っぽい音楽、等々、で僕は化粧してれば音楽は何でもやってもいーんだー!と思ったわけです。
でも、自分でバンド始めて、僕がV系フィールドで活動していた2000年代後期以降のV系はそうではなかった事に気付いたのですけども。
色々な音楽がやりたいからV系を、とか音楽の表現手段として化粧をする、という人は少ないように感じました。
理想の音楽を追求する、とか表現したい事がある、とゆーよりはV系がやりたくてバンド始めました!有名になりたい!みたいな人が多い様に感じましたね。あくまでも僕の主観ですが…。
GargoyleのKIBAさんはそのあたりをさして『自分達の時代は人と違う事をしたいから化粧をする、目立つために派手にする、音楽を表現する為の化粧だったけど、今はそうではなくてV系村に入りたいから、V系として扱われたいから化粧をする人が多いのでは?』と言ってたと記憶しております。
V系が1ジャンルとして確立されていく中で、V系の音楽が、V系のバンド達が、誰がどうみてもV系バンドだよね、って感じのV系の様式がキッチリ出来上がってきたため、そこから外れた事する人は受け入れてもらうのに時間がかかったり、実力的にかなりの力が必要になる、ってなっていったってことだと思います。
裏を返せば、ある程度V系の様式に沿ってバンドを作れば、誰でもV系村に入れる、って事なんですけどね。
ただ、どのジャンルでもそうですが、クオリティーってやつがありまして。
例えばメタルならある程度の演奏スキルが必要なので、
碌に練習もしてない楽器も上手くなろうと努力の跡が見えないバンドがいたとして、オレ達はメタルだ!メタルが好きだ!とか言われても、お客様や対バンの方々からしたらば、おととい来やがれ!みたいな感じで支持をされ難いわけです。
例外は有りますがそのあたりがメタルの様式なり基本理念だと思うのですが、V系にも同じような事がいえます。
衣装、メイク、メイクの種類が最低限誰が見てもV系に見える
V系特有のステージパフォーマンスや煽り方をある程度守る
V系特有のお約束や仕来たりをある程度守る
出来れば楽曲も何種類かあるV系の様式に則った曲が有ればなお良い。
といったあたりでしょーか。
メタルの人が演奏スキルの向上や楽曲制作に時間を使っている時に、V系の人達はステージングの練習やら衣装やらにコンセプト制作やらに時間を使っている、って感じでしょうか。
力を向ける方向が違うだけで、どちらが良い悪い、って事では無いんですけど。
演者がV系に愛を持っているか?
また仮に愛を持ってなくてもV系の様式に沿ったバンド作りをしているか?
見た目の作りにどれだけ気を遣っているか?
楽曲がいわゆるV系の様式か否か?
お客様はそーゆーところを敏感に感じ取って敵か味方か測ってるんだと思います。
V系は何年か周期で、いわゆるV系バンドのお約束外のアーティストや、逆にV系様式の中のスターバンドが現れて、V系様式自体のマイナー/メジャーチェンジが行われてる印象です。
大当たりしたバンドの様式に追従しよーとする演者が多いのがV系のジャンル的な特徴でも有りますが、このジャンルの歴史的にみて追従者の成功率は高くはないと言わざるを得ないかと。
勿論演奏技術の高いV系や、ステージングの上手いメタルバンドも存在しますし、大体そーゆーのは僕の好みなんですが。
メタルもV系も規模に違いはあるものの、精神性/ジャンル的にはマイノリティなので、似た部分を感じる事もままあるのですが、基本的なコンセプトがかなり違うのでなかなか両方こなせるバンドが多くは無いのが現状ですよね。