お祭りしかない街
スタッフやセキュリティともすっかり仲良くなったホテル、ル・ソレイユを後にした。
ビーチロードの中で最も賑やかなボートステーション・2から、東の方向のボートステーション・3へ。
全室コテージタイプのカサピラ (カサピラール) に宿を替えた。
ビーチロードの中心部から遠ざかってしまうので少し寂しい気もしたが、そんな事は単なる杞憂に過ぎなかった。
カサピラから東へ歩きビーチロードの終点を越えさらに進んでいくと、数軒のホテルと小さなビーチバーが点々とある、とってものどかなエリアが広がっていた。
見たところその辺りでのんびりと過ごしているのは、歳を重ね旅慣れた感が滲みでているようなヨーロピアンがほとんどだった。
これではシャイな物売りたちが近づくはずもない。
すっかりそのロケーションを気に入った僕達は、おばちゃんが昼間1人やっているレニーズバーという名の小さな店に毎日通い、日がな1日読書をしたり泳いだりして過ごした。
僕は予定していた通り、日本の歴史小説を読み漁りそのミスマッチを楽しんだ。
宿のほうもホットシャワーが無いとはいえ、敷地も広く清潔だ。
日が沈む前に水のシャワーを浴びてしまって夕日を見ながら身体を乾かす。
宿泊費はというと、BJSのディスカウントが効き1日あたり1350ペソ (約2700円) となり、前と比べて3分の1の値段にまで抑えることができた。
話はそれるが、フィリピンにバックパッカーがあまりやって来ない理由の1つに宿代の高さがあるという。
確かにバンコクのように1泊数百円という所はめったに見かけない。
他の物価に比べて宿代だけがなぜだか突出しているようだ。といっても充分リーズナブルだと思うんだけど。
・ ・ ・
週末にお隣の島、パナイ島のカリボで大きなお祭りがあるという。
カリボ出身のフィリピン人の友人2人にそれぞれ別口でそのお祭りに誘われた。
サマープレイスのバーテンダーのステッペンと
ル・ソレイユのセキュリティであるラフィーだ。
そのお祭り “アティアティハン” はフィリピン全土でも有名で毎年1月の3週目には国の内外を問わず多くのツーリストがカリボに押し寄せるという。
ステッペンはカリボの実家の1部屋を空けるから是非泊まって行けと僕達を誘った。
日本でも同じように、祭りは夜のほうが数段エキサイティングらしい。
彼の申し出にすっかりノリ気になっていた僕とは対照的に、カミさんはどういう訳だかその日の内にボラカイに帰ってきたいと言う。
何度か説得を試みたが、やはりどうにもイヤらしい。
まあ、1日で行って帰ってこれる距離ではあるのでカミさんの意向に従うことにした。
ステッペンの善意にもとずいた計らいを断る事に少し気が引けたが、僕は彼にワンデイトリップにすると伝えた。
予想通り、ステッペンはどうして?といった顔つきをし、とても残念がった。
人ががっかりする顔なんてなるべくだったら見たくない。
アティアティハンフェスティバルに行ってこようと思う、と顔なじみなったフィリピン人達に言うと、みんながみんな、
「それはいいチョイスだ、凄い祭りだぞ。だいたいカリボはアティアティハンのためだけにある街みたいなもんだ。」
そのような返事ばかりが返ってきた。
お祭りだけしか取柄のない街とそのためだけに生きてるような人々。
カリボっていったい・・・?
