概要
日本発TRPGで最大級のプレイヤー人口を誇るソード・ワールド2.5を最近始めた、またはこれから始めたい方向けにキャラクター作成の指針について解説します。
今回は、草原を放浪する陽気で能天気な小さな人族でフェンサーなど回避盾の適性が高いグラスランナーについて解説します。
目次
1 グラスランナーについて
2 グラスランナーの能力値
3 グラスランナーの種族特性
4 グラスランナーの技能適性(戦士系技能)
5 グラスランナーの技能適性(魔法使い系技能)
6 グラスランナーの技能適性(その他系技能)
7 グラスランナーのビルド例
1 グラスランナーについて
成人しても人間の子どもと見間違えるような、小柄な人族です。
筋力がかなり低いですが、器用度・敏捷度・精神力がかなり高めです。
グラスランナーは種族特性[マナ不干渉]によって、MPを持ちません。
通常、魔法使い系技能を習得することはありません。
ですが、魔法に対して強力な耐性を持ちます。
グラスランナーの寿命は200年ほどです。これは人間の2倍で、15歳で肉体的な成熟を迎えます。
※未成年のPCを作成すると、酒場等で聞き込み不可の扱いを受けることがあります
筆者の参加する卓では、たまに見かける程度ですが、リプレイ等で根強い人気を誇る種族です。
2 グラスランナーの能力値
能力値(期待値)の合計
97(かなり高い)
※ルールブックⅠ~Ⅲ掲載12種族中1位
※最高97(グラスランナー、ティエンス)、最低81.5(タビット)
能力値決定ダイス
1d:筋力、知力
2d:器用度、敏捷度
2d+6:生命力、精神力
生まれによる能力値は「技」「心」が高くなります。
器:かなり高い
敏:かなり高い
筋:かなり低い
生:やや低い
知:やや低い
精:かなり高い
敏捷度がかなり高く、回避盾フェンサーに非常に高い適性があります。
※期待値で比較すると、基本ルールブック収録12種族中、器用度・敏捷度・精神力がトップとなります。なお、筋力は最下位です。
また、精神力が高いため、前衛向け種族にも関わらず魔法への耐性が高いです。
種族特性[マナ不干渉]の効果も踏まえると、魔法に強い回避盾として活躍することができます。
3 グラスランナーの種族特性
[マナ不干渉]レベル1
→MPを持たず、あらゆる効果に対して精神抵抗力判定に成功すると「抵抗:消滅」と扱う
[虫や植物との意思疎通]
→虫や植物が感じていることをなんとなく理解できる(会話は不可)
[マナ不干渉]レベル6
→1日に1回「冒険者レベル+精神力ボーナス」を基準値として主動作で魔法の解除を試みることができる
[マナ不干渉]レベル11
→「知覚:魔法」のキャラクターに対して、隠密判定および命中・回避力判定に+1
[マナ不干渉]は、MPを持たない代わりに、敵対的なキャラクターの魔法に対して強力な耐性を持つ固有の種族特性です。
通常、ダメージを与える魔法は「抵抗:半減」です。抵抗に成功しても、半分は受けてしまいます。
しかし、グラスランナーは「抵抗:消滅」です。この時、魔法によるダメージを受けません。
※厳密には、精神抵抗力判定に成功すると、です。一部の森羅魔法など、生命抵抗力判定で比べあいを行う効果については注意が必要です。
[虫や植物との意思疎通]は、非戦闘パートでロールプレイに役立つことがあるでしょう。
6レベル以上の強化内容は、非戦闘パートで魔法の解除を試みる際にも役に立つ可能性があります。
たとえば、呪い属性の魔法は解除する手段が限られています。そのようなギミックに遭遇したとき、グラスランナーの種族特性が生きるかもしれません。
11レベル以上の強化内容は、回避タンクの能力をより高めるものです。
4 グラスランナーの技能適性(戦士系技能)
グラスランナーは、能力値、種族特性ともに回避盾に適性がありますが、筋力が低く、ファイターは不向きです。
※高レベル帯は例外です
恐らく、フェンサーをする人が多いと思います。
※グラスランナーでグラップラーをするのは筆者の参加する卓だけでしょうか??
その他の戦士系技能は、グラップラーも中~高レベル帯で候補となるでしょう。
※Sランクを解禁して【マッスルベアー】【ヴォーパルウェポン】を習得すれば、いい感じに火力が出ます
グラスランナーでダメージディーラーを担当するなら魔晶石やマテリアルカードを使用したいため、中〜高レベル帯の作成で採用する可能性が高いでしょう。
前衛やシューターのキャラクターはエンハンサー技能を習得することが多いです。グラスランナーは魔晶石が必須です。
相応の出費は必要経費です。
戦士系技能の代表例
グラップラー、フェンサー
5 グラスランナーの技能適性(魔法使い系技能)
グラスランナーは[マナ不干渉]の種族特性の効果でMPを持ちません。
魔法使い系技能を習得することはないでしょう。
※出費を覚悟するなら個々のMP消費が小さいマギテックシューターは候補ですが、廃人以外はお勧めしません
魔法使い系技能の代表例
なし
6 グラスランナーの技能適性(その他系技能)
スカウト、レンジャー、セージ
能力値からいえば、
器用度が高ければレンジャー
敏捷度が高ければスカウト
知力が高ければセージ
を担当するのが理想です。
※最終的にはパーティ内で相談です
※かつて筆者が参加した3人卓で、残り2人がレンジャーで泣く泣く一人でスカウト&セージを担当しました…このような悲劇を絶対に繰り返してはいけません!
スカウト、レンジャーに非常に高い適性があります。
セージ知識判定は、必ず知力を参照します。セージを担当することもできますが、できれば後衛に担当してもらいましょう。
高レベル帯の作成なら
グラップラー+スカウト+レンジャー
フェンサー+スカウト+レンジャー
が分かりやすい組み合わせです。
スカウトは5レベルで《トレジャーハント》、7レベルで《ファストアクション》、9レベルで《影走り》を自動習得します。
一方で、レンジャーは5レベルで《サバイバビリティ》、7レベルで《不屈》、9レベルで《ポーションマスター》を自動習得します。
自動習得する特技は、スカウトは全般的に攻撃寄り、レンジャーは防御寄りです。
したがって、純戦士のスカウト+レンジャーの組み合わせは攻守のバランスが良くなります。
上記以外
(お金さえあれば)エンハンサーを含むすべての技能に適性があります。
魔晶石を購入する前提でエンハンサー、アルケミストを習得します。ライダーも候補です。
精神力が高いため、バードにも適性があります。
7 グラスランナーのビルド例
グラスランナーのビルド例を紹介します。
挑発フェンサー【作成レギュレーション10-11】
フェンサー11
スカウト9
レンジャー9
エンハンサー2
アルケミスト2
01《防具習熟A/非金属鎧》
03《挑発攻撃Ⅱ》
05《防具習熟A/非金属鎧》
07《回避行動Ⅱ》
09《頑強》
11《防具の達人》
※【ガゼルフット】【ビートルスキン】
※【バークメイル】【ヒールスプレー】
グラスランナーの回避盾フェンサーです。
《挑発攻撃Ⅱ》を習得しているのがポイントです。
攻撃対象の知能が「人間並み」以下であれば、攻撃が命中した対象は、必ずグラスランナーのフェンサーを含めて攻撃しなければなりません。
また、知能が「高い」魔物も、グラスランナー以外のキャラクターを攻撃するなら、命中力・魔法行使判定に-2のペナルティ修正を受けます。
フェンサーは、回避力が重要です。このビルドは、SSランク<アストラルガード><ハーフムーン>を装備することを前提としています。
Bランク〈ソード〉である〈ウィークネスリビーラー〉を装備して攻撃を命中させれば、魔物知識判定の結果に関わらず、魔物の弱点が判明します。
《回避行動Ⅱ》と防具の回避力修正を合わせると、回避力修正+5となります。
※鎧に制限があるバトルダンサーにはない強みです
物理攻撃を回避で受け流し、魔法を「抵抗:消滅」で受けるため、唯一無二のタンク性能を誇ります。
このビルドの欠点は、自身の攻撃能力は皆無に等しいことです。また、複数体を攻撃できません。
《挑発攻撃》の仕様で、攻撃が当たらなければ挑発の効果を得られないことに注意が必要です。
補助動作で【ブリンク】を行使するソーサラーの敵がやや苦手かもしれません。
ですが、パーティの構成とマッチしていれば、強力な盾役として活躍が期待できます。
グラスランナーの回避フェンサーを使うなら、味方の火力が十分な時が望ましいでしょう。グラスランナーでダメージディーラーをするなら、レベル11の作成を踏まえるとグラップラーがお勧めです。
パーティ全体を俯瞰する視点が必要です。やや上級者向けな種族といえるでしょう。