概要

日本発TRPGで最大級のプレイヤー人口を誇るソード・ワールド2.5を最近始めた、またはこれから始めたい方向けにキャラクター作成の指針について解説します。


今回は、ドラゴンの姿をしていて、ファイターなどの前衛適性が高いリルドラケンについて解説します。


目次

1 リルドラケンについて

2 リルドラケンの能力値

3 リルドラケンの種族特性

4 リルドラケンの技能適性(戦士系技能)

5 リルドラケンの技能適性(魔法使い系技能)

6 リルドラケンの技能適性(その他系技能)

7 リルドラケンのビルド例


1 リルドラケンについて

二足歩行する小型のドラゴンです。身長は約2m30cmです。


ドラゴンの姿をしていますが、人族に分類されます。


筋力・生命力が高く、その他の能力値4つが低めです。


リルドラケンは種族特性[剣の加護/風の翼]を使用すると、空を飛ぶことができます。


また、尻尾を武器として扱うことができ、鱗によって何も装備しなくても防護点があります。


能力値、種族特性ともに、戦士系技能向けです。


リルドラケンの寿命は300年ほどです。これは人間の3倍で、成人は約30歳(3回目の脱皮)と遅いです。

※未成年のPCを作成すると、酒場等で聞き込み不可の扱いを受けることがあります


人間やエルフ、ドワーフと同様、リルドラケン生まれのナイトメアも存在します。


一見すると恐ろしい見た目をしていますが、社交的で交易商人となる者も多いです。


リルドラケンのキャラクターは、初期作成でドラゴン語の会話を習得しています。

※ドラゴン語は文字を持たない言語です


筆者の参加する卓では人気の種族です。


2  リルドラケンの能力値

 能力値(期待値)の合計

91(高い)

※ルールブックⅠ~Ⅲ掲載12種族中4位

※最高97(グラスランナー、ティエンス)、最低81.5(タビット)


 能力値決定ダイス

1d:器用度、知力

2d:敏捷度、筋力、精神力

2d+6:生命力


生まれによる能力値は「体」が高くなります。


器:かなり低い

敏:やや低い

筋:かなり高い

生:かなり高い

知:かなり低い

精:やや低い


筋力・生命力が高く、ファイターに非常に高い適性があります。

※期待値で比較すると、基本ルールブック収録12種族中筋力・生命力ともにトップとなります


種族特性[鱗の皮膚]の効果を踏まえて、ファイターを推奨したいです。


その他は、グラップラーのリルドラケンも何度か見たことがあります。前衛なら、鉄板の種族です。


3 リルドラケンの種族特性

[剣の加護/風の翼]レベル1

→1日に6ラウンド(1分間)まで、飛行できる。飛行中、近接攻撃の命中・回避力判定に+1のボーナス修正を得る。

[鱗の皮膚]

→防護点+1

[尻尾が武器]

→<尻尾>を武器として扱える


[剣の加護/風の翼]レベル6

→[剣の加護/風の翼]を使用中に全力移動が可能になる


[剣の加護/風の翼]レベル11

→[剣の加護/風の翼]が1日に12ラウンド使用可能になる


[鱗の皮膚]は防護点を+1します。


リルドラケンは[剣の加護/風の翼]を使用すると、飛行状態となります。また、近接攻撃の命中・回避力が上昇します。

※遠隔攻撃は対象外です


跳躍系のシナリオギミックで活躍するほか、戦闘では命中・回避力+1が強力です。


特に、他に手段がない序盤ほど活躍しやすいです。


リルドラケンは尻尾が武器になりますが、威力が低く実際に使われることは少ない印象です。


11レベル以上は、1日に6ラウンドの制限が12ラウンドに増えて、気軽に使えるようになります。


4 リルドラケンの技能適性(戦士系技能)

リルドラケンは能力値、種族特性ともに前衛の適性が高く、戦士系技能に適性があります。

※シューターを除く


[剣の加護/風の翼]の効果は近接攻撃の命中・回避力+1です。


器用度が低いリルドラケンですが、この効果中は案外なんとかなります。

※ただ、種族特性込みでようやく他種族並みの命中力、という話はあります。メイスを装備しましょう。


ファイター以外なら、意外?にもグラップラーで活躍できる傾向があります。


グラップラーは防護点が低く、当たると大ダメージを受けます。したがって、HPを上げることで耐久を確保することになります。


回復の負担が重いため、グラップラーは長期戦には不向きです。したがって、短期決戦で活躍しやすい技能です。


短期決戦では、被弾回数が少ないため、リルドラケンは他種族と比較してHPが高く、安定性があります。


器用度・敏捷度は高い方ではありませんが、種族特性で誤魔化します。

※さらに、パンチを強化する武器は命中力補正がプラスです


 戦士系技能の代表例

ファイター、グラップラー


5 リルドラケンの技能適性(魔法使い系技能)

リルドラケンは能力値、種族特性ともに魔法向けではありません。


ただし、魔法戦士なら候補となります。


《マルチアクション》を宣言し自己回復しながら近接攻撃を行う神官戦士は、鉄板のビルドです。


ルールブックⅠ〜Ⅲに掲載されている魔法使い系技能は5系統あります。


神聖魔法は、鎧による行使判定へのペナルティ修正がありません。その他の魔法は、


真語魔法:金属鎧、必筋10以上の非金属鎧

操霊魔法:金属鎧、必筋10以上の非金属鎧

妖精魔法:金属鎧

神聖魔法:制限なし

魔動機術:制限なし


のように、鎧によって行使判定にペナルティを受ける魔法も多いです。


リルドラケンは高い筋力を生かして、防護点の高い鎧を着用するのが一般的です。


神官戦士は、鎧による魔法行使判定のペナルティ修正を受けません。


神官戦士はリルドラケンのタンク能力を高めることができる点で有力候補です。


 魔法使い系技能の代表例

プリースト(神官戦士)


6 リルドラケンの技能適性(その他系技能)

 スカウト、レンジャー、セージ

能力値からいえば、


器用度が高ければレンジャー

敏捷度が高ければスカウト

知力が高ければセージ


を担当するのが理想です。

※最終的にはパーティ内で相談です

※かつて筆者が参加した3人卓で、残り2人がレンジャーで泣く泣く一人でスカウト&セージを担当しました…このような悲劇を絶対に繰り返してはいけません!


この中ではスカウト適性があります。レンジャーを担当することもできます。


セージ知識判定は必ず知力を参照します。後衛に担当してもらいましょう。


高レベル帯の作成なら


ファイター+スカウト+レンジャー

グラップラー+スカウト+レンジャー


が分かりやすい組み合わせです。


スカウトは5レベルで《トレジャーハント》、7レベルで《ファストアクション》、9レベルで《影走り》を自動習得します。

一方で、レンジャーは5レベルで《サバイバビリティ》、7レベルで《不屈》、9レベルで《ポーションマスター》を自動習得します。

自動習得する特技は、スカウトは全般的に攻撃寄り、レンジャーは防御寄りです。

したがって、純戦士のスカウト+レンジャーの組み合わせは攻守のバランスが良くなります


 上記以外

エンハンサー、アルケミストを習得します。ライダーも有力候補です。


7 リルドラケンのビルド例

リルドラケンのビルド例を紹介します。


 神官戦士【作成レギュレーション5-6】

ファイター5

プリースト5

レンジャー2

アルケミスト1


01《防具習熟A/金属鎧》

03《ブロッキング

05《マルチアクション》


※【バークメイル】


リルドラケンの神官戦士です。


前衛1人+後衛2人のような、前衛が1人だけのパーティを前提とした構成です。


《ブロッキング》を習得することで、移動妨害の効率が2倍になります。


上級戦闘において、1人で4人(部位)までの敵対的なキャラクターを食い止めることができます。


《マルチアクション》が使いやすいので、個人的には神官戦士をするならレベル5以上の作成をお勧めしたいです。


ファイターは防護点が重要です。Aランクの〈金属鎧〉を着用することで、防護点を上げています。


また、神官戦士は長期戦になるほど、メリットが出てくるビルドです。


なるべく、長期戦になりやすい卓で使うのが望ましいです。


※筆者のよく参加する卓がいくつかあるのですが、短期決戦と長期戦で見事に分かれている印象です。ある卓で活躍するビルドが、別の卓で全然活躍できないということもあります。

※筆者の参加する卓は、クライマックス戦闘の7〜8割は3ラウンド以内に終了します。神官戦士のビルドは最低でも3ラウンドは続く戦闘で使いたいです。短期決戦か長期戦かを決める要因として、GMの魔物の編成次第な点は否定できません。


短期決戦が中心なら、魔法を習得したメリットが薄くなり、スカウトやレンジャーを習得した方がよかったということになってくるかもしれません。


卓の傾向として短期戦が予想されるなら《全力攻撃》《斬り返し》《薙ぎ払い》等を採用した純戦士のビルドも検討してみましょう。


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