概要

日本発TRPGで最大級のプレイヤー人口を誇るソード・ワールド2.5を最近始めた、またはこれから始めたい方向けにキャラクター作成の指針について解説します。


今回は、エンハンサーの考察です。エンハンサーは、自己バフのための技能です。大半のレベル帯で前衛は必須となるサブ技能です。


目次

エンハンサーの評価

エンハンサーの種族

エンハンサーの特技

練技

ビルド例


エンハンサーの評価

★★★★★(迷ったらこれ、戦士系技能の評価)

★★★☆☆(候補、魔法使い系技能の評価)


エンハンサーは、練技を使用するための技能です。


練技とは、特殊な呼吸法によって身体を強化するものです。


練技の使用に発声の必要はありませんが、呼吸できることが条件となります。


また、練技を習得している者を練体士と呼びます。


ゲーム的には、キャラクターがMPを消費することで、自身にとって有利な特殊効果(バフ)を得ます。


レベル1から習得可能な練技は強力なものも多く、序盤からお勧めできる技能です。


基本的には、練技で攻撃することはありません。

※5レベルから習得可能となる【ファイアブレス】を除く


主軸となる戦士系技能または魔法使い系技能レベルがもっとも高くなるように作成し、エンハンサー技能は低レベルに留めるのが一般的です。


エンハンサー技能で習得する練技を使用すると、MPを3点(一律)消費します。このMPは、魔晶石で代用が可能です。

※MPを持たないグラスランナーも、魔晶石を消費すれば練技を使用できます


練技の使用で必須となるアイテムはなく、鎧の着用による制約等もありません。


エンハンサー技能はその他系技能です。必要経験点の少ない経験点テーブルBに属します。


エンハンサー技能を1レベル習得するたび、リストから練技を1つ選んで獲得します。


エンハンサー技能3レベルなら、3つまでの異なる練技を獲得できます。


また、アルケミスト技能で習得する賦術とは異なり、1手番に複数の練技を使用できます。


練技は各種判定にボーナス修正を得るか、ダメージを増加させる、あるいは被ダメージを減少させるものが中心です。


少ない経験点で、手軽に自己強化が可能です。戦士系技能なら必須技能といっても過言ではないでしょう。

エンハンサーの種族

エンハンサー技能は、基本ルールブックに収録されている種族であれば習得に制約はありません。

※アーケインレリック収録のフロウライトは呼吸をしないため練技を使用できません


MPを持たないグラスランナーは、魔晶石が必須となるため、低レベル帯の習得は現実的ではありませんが、基本的には種族に関係なくビルドに合わせて習得する技能となります。


練技は戦士系技能と組み合わせる前提のものが多く、戦士系技能を習得することが多い種族はエンハンサー技能を習得する可能性が高いでしょう。


エンハンサーの特技

エンハンサーに関連する特技を紹介します。


○常時特技

《キャパシティ》

《練体の極意》


エンハンサーに直接関係する選択習得の特技は少ないです。


《キャパシティ》は冒険者レベル11以上と習得時期が遅く、このレベル帯は魔晶石をふんだんに使用できるはずで、採用するメリットは薄いです。


《練体の極意》を習得できるのは、エンハンサー技能レベル5以上です。


そのレベル帯なら魔晶石でなんとかしましょう。


セージ技能レベル9以上で自動習得する《マナセーブ》は、練技も対象です。


このとき、消費MPは2となります。用意する魔晶石に注意しましょう。


エンハンサーの練技

重要な練技を紹介します。


 レベル1~

○【ガゼルフット】30秒間(3ラウンド)


○【キャッツアイ】30秒間(3ラウンド)


○【ストロングブラッド】30秒間(3ラウンド)


○【ビートルスキン】30秒間(3ラウンド)


○【マッスルベアー】30秒間(3ラウンド)


最も人気の練技は、命中力を上げる【キャッツアイ】でしょう。


ソード・ワールドは命中難になりやすく、命中力修正がプラスのメイスが使いやすいためメイス・ワールドと呼ばれることすらあるくらいです。


【マッスルベアー】は、攻撃回数の多いグラップラーや、複数を攻撃対象とする《薙ぎ払い》ファイターで優先度が高い練技です。


物理耐性を上げる練技に関しては、防護点が重要なファイターは【ビートルスキン】、回避力が重要なフェンサーやグラップラーは【ガゼルフット】の優先度が高いでしょう。


【ストロングブラッド】は、後衛の魔法使いで経験点が余ったときに採用される可能性があります。


後衛が被弾するのは、魔物が魔法を行使する時が多いです。


真語魔法を行使する魔物は多く、【ファイアボール】【ブリザード】のダメージを-5できて便利です。


 レベル5~

○【ケンタウロスレッグ】10秒間(1ラウンド)

 

○【ジャイアントアーム】10秒間(1ラウンド)

 

○【スフィンクスノレッジ】10秒間(1ラウンド)

 

○【デーモンフィンガー】10秒間(1ラウンド)


○【リカバリィ】一瞬


【ケンタウロスレッグ】は敏捷度を+6、【スフィンクスノレッジ】は知力を+6します。


特筆すべき点は、この2つは戦闘準備で使用可能なことでしょう。


つまり、先制判定や魔物知識判定でボーナス修正を得ることができます。


【ジャイアントアーム】の活用方法については、ビルド例で解説します。


特殊効果の内容だけなら【ガゼルフット】【マッスルベアー】【キャッツアイ】等の上位互換と言えるかもしれません。


欠点は、効果時間が1ラウンドと短いことです。魔晶石は十分に用意しましょう。


【リカバリィ】は、上記の練技と比べると優先順位はやや落ちますが、スマルティエの武道帯を装備すると使いやすくなります。


 レベル10~

○【ジィプロフェシー】1時間


先制判定、危険感知判定に+2のボーナス修正を得ます。


エンハンサー技能を10レベルまで上げる機会は現実的になかなかないと思います。


15レベルの作成でレベル25のエルダードラゴンと戦うセッションなら、使う可能性があるかもしれません。


ビルド例

エンハンサーはテーブルB技能です。自動習得する特技はありません。

 

 グラップラー(作成レギュレーション5-6)

01《武器習熟A/格闘》

03《両手利き》

05《二刀流》


グラップラー6

レンジャー3

エンハンサー3

アルケミスト2


練技

【キャッツアイ】

【マッスルベアー】

【ガゼルフット】

賦術

【ヴォーパルウェポン】

【バークメイル】


《両手利き》《二刀流》を習得して、3回攻撃を可能としたグラップラーのビルドです。


攻撃回数が多いグラップラーは防護点の低い相手には無類の強さを誇ります。反面、防護点の高い敵が苦手です。


解決策はとてもシンプルです。防護点が高いならその分固定ダメージを盛りましょう。


火力こそパワー!


【マッスルベアー】と賦術【ヴォーパルウェポン】で与えるダメージは攻撃1回あたり+5、3回で+15です。

※〈熊の爪〉で+1、マテリアルカード赤Aランク1枚使用で+2


1ラウンドでこれだけダメージが変わるのなら、戦況は大きく変化するでしょう。


武器のダメージが低い手数型の前衛にとっては、固定ダメージを稼ぐことが非常に重要です。


 ファイター(作成レギュレーション9-10)

01《武器習熟A/メイス》

03《薙ぎ払いⅡ》

05《武器習熟S/メイス》

07《頑強》

09《超頑強》


ファイター10

スカウト9

エンハンサー5


練技

【キャッツアイ】

【マッスルベアー】

【ビートルスキン】

【ガゼルフット】

【ジャイアントアーム】


ファイターは筋力がとにかく重要です。


筋力がなければ、必筋の高い高威力の武器を装備することができません。


ですが、筋力が足りなくても好きな種族でファイターをしたいこともあるでしょう。

たとえばエルフとか


しかし、低筋力の種族でも大剣を振り回すファイターになれる方法があります。


それは、練技【ジャイアントアーム】です。


練体士の筋力が1ラウンドの間、+12されます。


メイスSランクの〈カーメンキャッパー〉は追加効果が強力です。


必筋は23ですが【ジャイアントアーム】前提なら筋力は11で済みます。


固定ダメージが2増えるので、高レベルのグラップラーも【ジャイアントアーム】を習得したいです。


また、〈首切り刀〉はフェンサーの人気武器ですが、フェンサーの場合、装備するためには筋力が39も必要です。


このとき【ジャイアントアーム】があれば、作成段階で必要な筋力は27と現実的な数値になります。


そんな夢の練技!…と言いたいところですが、欠点は持続が1ラウンド(10秒間)と持続が短いことです。


なるべく、高火力な短期決戦のパーティを組む方向性で行きましょう。


このビルド例については、【ジャイアントアーム】が必須でなければエンハンサー4レベル、アルケミスト2レベルに変えた方が使いやすいです。


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