概要
日本発TRPGで最大級のプレイヤー人口を誇るソード・ワールド2.5を最近始めた、またはこれから始めたい方向けにキャラクター作成の指針について解説します。
今回は、アルケミストの考察です。アルケミストは、マテリアルカードを消費して戦闘に有利な効果を得るための技能です。少ない経験点で、強力な効果を得ることができる技能です。
目次
アルケミストの評価
アルケミストの種族
アルケミストの特技
賦術
ビルド例
アルケミストの評価
★★★★★(迷ったらこれ、戦士系技能の評価)
★★★★☆(定番、魔法使い系技能の評価)
アルケミストは、賦術を使用するための技能です。
賦術とは、マテリアルカードを消費して特定の効果を得るための技能です。
賦術を使用するには、アルケミーキットまたはカードシューターの装備が必要です。
また、賦術を習得している者を錬金術師と呼びます。また、賦術は魔動機文明時代に発達した技術であり、アルケミスト技能を習得したキャラクターは、魔動機文明語の会話と読文を習得します。
ゲーム的にはマテリアルカードの消費(購入)は所持金の消費を意味します。高ランクのマテリアルカードほど強力ですが、費用は重くなります。
Bランク:20G
Aランク:200G
Sランク:2000G
SSランク:20000G
レベル1から習得可能な賦術は強力なものも多く、サブ技能としてお勧めです。
主軸となる戦士系技能または魔法使い系技能レベルがもっとも高くなるように作成し、アルケミスト技能は低レベルに留めるのが一般的です。
まず、賦術は主動作または補助動作で使用できます。賦術判定(基準値:アルケミスト技能レベル+知力B)は、主動作で使用した場合のみ行い、補助動作の場合は省略します。
主動作で行う場合に限って、一度に複数を対象として賦術を使用できます。このとき、マテリアルカードは対象の数だけ消費する必要があります。
※「射程:接触」の賦術を除く
賦術は原則として1手番に1回のみ使用できます。補助動作で賦術を使用したなら、主動作で賦術を使用することはできません。その逆もまた然りです。
この制限は《ファストアクション》等の効果で主動作が増えている場合も例外ではありません。
《連続賦術》を習得しているキャラクターは、例外的に1度の主動作に2回連続で賦術を使用できます。
賦術を使用すると、マテリアルカードを消費します。
消費するマテリアルカードの数と種類(色)は、賦術ごとに定められています。
賦術を使用するには、専用の装備品が必要です。
〈アルケミーキット〉は部位〈右手〉〈左手〉〈腰〉〈その他〉のいずれかに装備します。
〈アルケミーキット〉は〈カードシューター〉で代用も可能です。〈カードシューター〉は「用法:1H」のアイテムです。
後衛のキャラクタなら、少なくとも片手は空いている可能性が高いため、〈カードシューター〉が便利かもしれません。
アルケミスト技能はその他系技能です。必要経験点の少ない経験点テーブルBに属します。
アルケミスト技能を1レベル習得するたび、リストから賦術を1つ選んで獲得します。
アルケミスト技能3レベルなら、3つまでの異なる賦術を獲得できます。
賦術は主動作、補助動作のいずれかで使用しますが、多くは補助動作で使用することになるでしょう。
賦術を主動作で使用するには、解決すべき課題が複数あります。
一方、補助動作で使用する場合は非常に手軽で、強力です。
エンハンサー技能で習得する練技とは異なり、1手番に使用できる賦術は原則として1種類です。
※主動作かつ《連続賦術》を習得している場合を除く
したがって、毎ラウンド使用する賦術を習得するときは、より計画的に選ぶべきです。
少ない経験点で、手軽に自己強化が可能です。経験点が余っているなら取るべき技能です。
アルケミストの種族
アルケミスト技能は種族を問わず習得することが可能です。
基本的には種族に関係なくビルドに合わせて習得する技能となります。
強力な賦術は武器攻撃と組み合わせるケースも多く、戦士系技能のキャラクターの方がアルケミスト技能を習得する可能性が高いです。
ですが【ヒールスプレー】等誰が習得しても役に立つ賦術も数多く存在し、後衛のキャラクターが習得することも珍しくありません。
アルケミストの特技
アルケミストに関連する特技を紹介します。
○常時特技
《鷹の目》
《ターゲッティング》
《賦術強化Ⅱ》
《賦術全遠隔化》
《連続賦術》
○宣言特技
《カード軽減》
アルケミストに直接関係する選択習得の特技は少ないです。上記の特技は、補助動作で賦術を使用する場合は適用されないものもあります。
《鷹の目》《ターゲッティング》は、魔法使い系技能を習得するキャラクターが習得することが多いです。
選択習得の特技は、主動作で賦術を使用するケースを除き、習得する可能性は低いです。
少し長くなりますが、なぜ主動作で賦術を使用するビルドが一般的でないのか、について考察します。
まず、主動作で使用するメリットは
① 1手番に複数の敵または味方を対象に賦術を使用できる
② レベル5以上の作成なら《連続賦術》で1手番に2回賦術を使用できる
③ 敵に抵抗の意思がある場合、補助動作なら「達成値0」として扱うため確実に抵抗されるが、主動作なら比べあいを行うため、敵が抵抗に失敗すれば多くの効果を得られる
などが挙げられます。ただし、これらの要素はデメリットと表裏一体です。
①、②については、出費が数倍になることを意味しています。4人パーティ全員に2回ずつ賦術を使用するなら、消費するマテリアルカードは最低8枚となります。
これは、1人で負担し切れない出費です。したがって、マテリアルカードの負担はパーティで相談となる可能性が高いです。
③については、ほとんどの賦術は「抵抗:短縮」です。つまり、対象が必ず抵抗成功する補助動作で使用しても、1ラウンドは必ずデバフ効果を発揮するということです。
③は、長期戦ほどメリットを発揮するということになりますが、基本的にアルケミスト技能は出費がかさむため、長期戦と相性が悪い傾向があります。
人数が少なく手数が足りないパーティは特にダメージディーラーが不足してしまうため、サポート特化したPCを抱える余裕がないことも多いです。
これらの理由から、大半のケースにおいて賦術は補助動作で使用されることになります。
アルケミストの賦術
賦術を紹介します。※レベル5以上は一部
レベル1~
○【インスタントウェポン】1分間(6ラウンド)白
○【ヴォーパルウェポン】3分間(18ラウンド)赤
○【クラッシュファング】1分間(6ラウンド)赤
※戦闘準備で使用可
○【クリティカルレイ】10秒間(1ラウンド)金
○【バークメイル】1分間(6ラウンド)緑
※戦闘準備で使用可
○【パラライズミスト】1分間(6ラウンド)緑
○【ヒールスプレー】緑×2
○【ポイズンニードル】1分間(6ラウンド)黒
○【ミラージュデイズ】1分間(6ラウンド)緑
※戦闘準備で使用可
個人的に【ヴォーパルウェポン】と【バークメイル】が一番お勧めの賦術です。
これらは18ラウンド継続し、とても経済的です。
【バークメイル】は戦闘準備で使用可能な賦術です。
戦闘準備で【バークメイル】を使用し、1ラウンド目に【ヴォーパルウェポン】を使用するのが典型的な進行例です。
毎ラウンド使用する必要がないことは、単に経済的なだけでなく、2ラウンド目以降に別の賦術を使用可能になることを意味します。
先攻1ラウンド目に【ヴォーパルウェポン】を使用して魔物を攻撃し、後攻1ラウンド目に魔物から大ダメージを受けてしまいました。こんなとき、先攻2ラウンド目に【ヒールスプレー】を使用できると理想的です。
【クリティカルレイ】は《必殺攻撃》型フェンサーに人気の賦術です。
続いて、《パラライズミスト》《ポイズンニードル》《ミラージュデイズ》は、主に魔物に対してデバフを与えるための賦術です。
基本的には、魔物はこれらの効果に対し抵抗を試みるはずです。
補助動作で賦術を使用するなら「抵抗:短縮」として扱われます。
※補助動作で賦術を使用する場合、賦術判定は不要です。自動失敗することはありませんが達成値は0となります。したがって、抵抗する意思のある対象(魔物など)に賦術を使用するなら、自動的に抵抗成功として扱います。
なお、主動作でこれらの賦術を使用するなら、魔物は精神抵抗力判定を試みることになります。
精神抵抗力判定に失敗したら、これらの賦術の効果は6ラウンドの間、発揮されることになります。
レベル5~
○【イニシアチブブースト】赤×2
※戦闘準備で使用可
○【エンサイクロペディア】白×2
※戦闘準備で使用可
○【リーンフォース】3分間(18ラウンド)赤×2
【イニシアチブブースト】は、レベル5から習得可能なで最も人気な賦術です。
【エンサイクロペディア】は魔物知識判定版になった【イニシアチブブースト】です。
魔物知識判定の達成値は装飾品でボーナス修正を得ることが容易なため、採用優先度は少し落ちます。
【リーンフォース】は【ヴォーパルウェポン】の魔法版ですが、習得時期がレベル5以降と遅いです。
また、Bランクでは使用できず、Aランクは効果が+1と【ヴォーパルウェポン】よりも小さくなります。消費も2枚と倍増しています。
【ヴォーパルウェポン】と比較すると採用される可能性は低いですが、魔法は抵抗されても装飾品等による追加ダメージがそのまま乗ることに加え、ソーサラーやフェアリーテイマーは、範囲攻撃が主な役割となることを踏まえると、効率のいいダメージソースであると言えます。
レベル10~
特になし
アルケミスト技能を10レベルまで上げる機会は、そう多くはないと思います。
近年TRPGのビルドは役割が強く意識されると言われることがあります。遊び心のあるビルドを作りたい人にとっては、向かい風の環境かもしれません。
ビルド例
アルケミストはテーブルB技能です。自動習得する特技はありません。
グラップラー(作成レギュレーション5-6)
01《武器習熟A/格闘》
03《両手利き》
05《二刀流》
グラップラー6
レンジャー3
エンハンサー3
アルケミスト2
練技
【キャッツアイ】
【マッスルベアー】
【ガゼルフット】
賦術
【ヴォーパルウェポン】
【バークメイル】
《両手利き》《二刀流》を習得して、3回攻撃を可能としたグラップラーのビルドです。
攻撃回数が多いグラップラーは防護点の低い相手には無類の強さを誇ります。反面、防護点の高い敵が苦手です。
解決策はとてもシンプルです。防護点が高いならその分固定ダメージを盛りましょう。
火力こそパワー!
練技【マッスルベアー】と【ヴォーパルウェポン】で与えるダメージは攻撃1回あたり+5、3回で+15です。
※〈熊の爪〉で+1、マテリアルカード赤Aランク1枚使用で+2
1ラウンドでこれだけダメージが変わるのなら、戦況は大きく変化するでしょう。
武器のダメージが低い手数型の前衛にとっては、固定ダメージを稼ぐことが非常に重要です。
ファイター(作成レギュレーション9-10)
01《武器習熟A/メイス》
03《薙ぎ払いⅡ》
05《武器習熟S/メイス》
07《頑強》
09《超頑強》
ファイター10
スカウト9
エンハンサー4
アルケミスト2
練技
【キャッツアイ】
【マッスルベアー】
【ビートルスキン】
【ガゼルフット】
賦術
【バークメイル】
【ヴォーパルウェポン】
このビルドは、筋力23以上のキャラクターで、魔法の武器〈カーメンキャッパー〉を装備することを前提としています。
メイスSランクの〈カーメンキャッパー〉は追加効果が強力です。「抵抗:必中」で、攻撃が命中した対象の魔力を-2することができます。
前衛は、タンクの役割が大事です。武器の特殊効果で魔法を対策しながら、練技【ビートルスキン】や賦術【バークメイル】で防護点を上げることで物理・魔法ダメージの両方を対策します。
《薙ぎ払いⅡ》を採用することで、同じ座標(または、乱戦エリア)の魔物を5体まで、同時に攻撃できます。スカウト9レベルで自動習得する《影走り》の効果で、移動妨害を受けなくなるのも重要な点です。
また、練技【マッスルベアー】と、賦術【ヴォーパルウェポン】で固定ダメージを稼ぐことで、攻撃能力も確保しています。
《武器習熟》型の構成ですが、防護点は2桁に到達するため、Bランクの鎧でも意外と硬くなります。
ファイター7レベルで自動習得する《タフネス》に加え《頑強》《超頑強》を選択習得することで、HPを+45しています。HPは3桁に到達するでしょう。
継戦能力を高めたいなら【ヴォーパルウェポン】の枠は【ヒールスプレー】も候補です。
次回
(準備中)