目次
マギテックシューターの特徴
考察の前提
ダメージ期待値(ファイター)
ダメージ期待値(グラップラー)
ダメージ期待値(マギテックシューター)
ダメージ期待値(ドルイド)
まとめ
マギテックシューターの特徴
命中力判定で魔法ダメージを与えることができる技能です。
前衛が苦手な防護点の高い敵に対して強く、低レベル帯ならボルグヘビーアーム等の敵が出てくると活躍が期待できます。
※レベル5で脅威の防護点8、グラップラーが苦戦する相手です
マギテック、シューターの2系統の技能が必要なため、必要経験点が多い難点があるものの、低クリティカル値で高火力を出しやすく、筆者の知人の間では一、二を争うレベルの人気技能です。
※過去にX(旧Twitter)で公表された富士見ドラゴンブックのsw2.5人気技能アンケートでは、フェアリーテイマーが1位でマギテックやシューターは圏外でした
※上記についてマギテックやシューターが圏外なのは2系統の技能が必要なので票が割れてしまった等の理由が考えられますが、筆者の周囲はマギテックシューターとコンジャラーの2つが圧倒的に人気で上記の結果は意外でした。筆者はフェアリーテイマーが好きですが、この技能が好きな人は周囲では皆無です。
ソード・ワールドはファンタジー系TRPGと言われますが、魔動機術はむしろ現代やSFに近い世界観と言えるでしょう。
今回は、人気のマギテックシューターのダメージ期待値について、実際に計算してみました。
考察の前提
能力値が高く、あらゆる技能に適性のあるナイトメアを前提に考察します。
レベルは、比較的人気のあるレベル4-5(10000点)の作成レギュレーションとします。
※ルールブックⅢ72頁参照
比較するのは、以下の技能です。
※検証が複雑になるため対象外としましたが、デーモンルーラーも高火力技能候補です
※魔法は威力30の【ブラスト】が最高火力ですが「射程:接触」のため対象外としました
※30m離れていれば【アストラルバーン】が最高火力ですが、条件が特殊なため対象外としました
1 ファイター
2 グラップラー
3 ドルイド
習得している宣言特技は、以下の通りです。
1《全力攻撃Ⅰ》
2《鎧貫きⅠ》
3《バイオレントキャストⅠ》
ファイター、グラップラーが使用する武器は、以下の通りです。
シェルブレイカー(威力38、命中力修正+1)
エッジドアーム(威力20、命中力修正+1)
武器や魔法のダメージ期待値は、クリティカルを考慮したものです。
クリティカルを考慮しないダメージ期待値は、以下の計算式で概算できます。
(威力+10)/6
威力20なら、クリティカルを考慮しない場合期待値は5です。
クリティカルを考慮する場合は、無限等比級数の和を計算します。
クリティカル値10なら、期待値は1.2倍となります。
ファイター、グラップラーの筋力ボーナスは3です。
戦士系技能の命中力は、すべて10です。
※器用度ボーナス3
※マギテックは【ターゲット・サイト】行使で命中力+1
※〈シェルブレイカー〉〈エッジドアーム〉の命中力修正+1
※【キャッツアイ】で命中力+1
レベル6の魔物の回避力は7程度です。約75%の確率で命中します。
ダメージ期待値(ファイター)
ファイター5
スカウト3
エンハンサー1
《武器習熟A/メイス》
《全力攻撃Ⅰ》
《武器習熟S/メイス》
〈シェルブレイカー〉のダメージ期待値は約8です。
※(38+10)/6/(1-1/36)=約8.2
魔物レベル=防護点が一つの目安です。防護点を6点とすると、
適用ダメージは17点です。
※追加ダメージ8、特技のダメージ+3
※《全力攻撃Ⅰ》で+4
ダメージ期待値(グラップラー)
グラップラー5
スカウト3
エンハンサー1
《武器習熟A/格闘》
《鎧貫きⅠ》
《武器習熟S/格闘》
〈エッジドアーム〉の2回の攻撃のダメージ期待値は、合計で約11です。
※(20+10)/6/(1-1/36)=約5.1(1回目)
※(20+10)/6/(1-3/36)=約5.5(2回目)
「魔物レベル=防護点」が一つの目安です。防護点を6点とすると、
適用ダメージは24点です。
※追加ダメージ8、特技のダメージ+3
※《鎧貫きⅠ》で1回目の攻撃の防護点半減(3点)
ダメージ期待値(マギテックシューター)
技能レベルは、以下の通りです。
シューター5
マギテック3
エンハンサー1
アルケミスト1
2Hと両手利きに分けて考察します。
2Hマギテックシューター
《ターゲッティング》
《武器習熟A/ガン》
《武器習熟S/ガン》
追加ダメージは〈ロングバレル〉が優秀です。
ただし、装填数が少ないため、今回は候補にならないでしょう。【クイック・ローダー】の習得は、レベル4です。
※最大装填数1
代わりに、装填数の多い〈テンペスト〉でダメージを計算します。
※最大装填数6
ダメージ期待値を計算すると17です。
※追加ダメージ+2、C11
※魔力6、特技のダメージ+3
※【クリティカル・バレット】の期待値6
これは《全力攻撃Ⅰ》ファイターと同じダメージ期待値です。
両手利きマギテックシューター
《ターゲッティング》
《両手利き》
《二刀流》
「用法:1H」の〈ガン〉を右手と左手に装備し、2回の攻撃を行います。
ダメージ期待値を計算すると24です。
※魔力6
※【クリティカル・バレット】の期待値6
これは《鎧貫きⅠ》グラップラーと同じダメージ期待値です。
ダメージ期待値(ドルイド)
《ターゲッティング》
《バイオレントキャストⅠ》
《MP軽減/ドルイド》
レベル4で習得する【フリージングブレス】は、威力20です。
※ソーサラーやフェアリーテイマーの最大火力と同じ威力です
追加ダメージとなる魔力は9です。
※知力ボーナス4
【フリージングブレス】のダメージ期待値は6です。
※(20+10)/6/(1-6/36)=6
抵抗突破時のダメージ期待値は
9+6=15
魔法行使判定の達成値は2d+11です。
※《バイオレントキャストⅠ》宣言
レベル6の魔物の生命・精神抵抗力は8前後です。
剣のかけらが6個入っていると、抵抗力判定の達成値は2d+10です。
抵抗を突破する確率は約55%です。
※かけら0個なら約75%
抵抗を考慮したダメージ期待値は約11.4です。
※かけら0個なら約13
まとめ
24:グラップラー
24:マギテックシューター(両手利き)
17:ファイター
17:マギテックシューター(2H)
15:ドルイド
意外にも、マギテックシューターのダメージ期待値は前衛と変わらない結果となりました。
マギテックシューターはマギテック先行とシューター先行の2パターンがあります。
今回、考察したのはシューター先行です。
シューター先行を考察に選んだのは、前衛と命中力を揃えるためです。
マギテック先行なら、魔力が上昇して適用ダメージも増加します。
ただ、攻撃を外しやすくなります。
高レベル帯ほど自力で命中を補う手段は増えますが、基本的にマギテック先行は工夫が必要です。
味方にコンジャラーがいれば【ファナティシズム】で命中力を+2できます。
これは、シューター技能2レベル分の効果です。
代償として回避力を-2しますが、後衛のシューターは実質リスクがありません。
他にはウォーリーダーの【怒涛の攻陣Ⅱ・旋風】も軍師を除く味方全体の命中力を上げることができます。
※メイガスアーツ収録技能
味方からのサポートを得られるなら、マギテック先行は強力な選択肢です。
比較対象となるグラップラーは、【マッスルベアー】【ヴォーパルウエポン】等で火力を底上げすることができます。
相対的にマギテックが必ず高火力になるといい切れる訳ではありません。
グラップラーは攻撃能力に優れている一方、防護点が低く、回避力判定に失敗すると致命傷を負ってしまう難点を抱えています。
これは、経験点が重いマギテックシューターとは別の課題を抱えていることを意味します。
高火力・低命中力のマギテック先行型はパーティ全体で見て命中力を補う手段があれば、活躍しやすくなるでしょう。
ちなみに、グラップラーについて言えば、ドルイドが味方にいると回避力を上げる手段が豊富なため、格段に被ダメージが減少します。
※モンストラスロア収録技能
筆者のPCはいつもエルフで、プリースト、フェアリーテイマー、ドルイドをよく使います。
短期決戦が得意なドルイドは、同じく「やられる前にやる」スタイルのグラップラーと相性がよく、ベストな組み合わせの一つだと考えています。
マギテックが活躍しやすいのは、全般的に探索が得意なパーティです。
※卓の環境にもよりますが、公式シナリオ等で探索パートの経過が芳しくないと戦闘で不利益を被るのはよくある話です
マギテック先行型なら、味方に命中力を上げる手段が豊富なことが望ましいです。
さらにビルド考察を深めるには、パーティ全体を俯瞰する視点が必要です。
技能間で相性のいい組み合わせは存在します。
レベル帯によっても評価は変動します。《両手利き》型は武器習熟を習得するとダメージが上昇します。
中~高レベル帯の2Hマギテックシューターは〈ロングバレル〉が有力候補です。追加ダメージが上昇して、使いやすいはずです。
好みではないのでマギテックを使ったことは一度だけしかありませんが、考察する分には面白い技能です。