目次
ビルド考察の前提
《薙ぎ払い》とは
《魔法制御》とは
《薙ぎ払い》ダメージ考察
《魔法制御》ダメージ考察
まとめ
ビルド考察の前提
多くの公式シナリオの決戦では、複数の敵と戦うことになります。
典型的な布陣は、PC3~5人に対し、2~4体の取り巻きと、1体のボスです。
3~5体の敵のうち、少なくとも半分(2~3体)は前衛に配置されるでしょう。
少数の強敵を配置するのを好むGMもいれば、レベルが低めで多数の敵を配置するGMもいますが、極端な例は避け、公式シナリオの布陣に近い編成を考えます。
初期作成の冒険者は、単体攻撃が基本です。
しかし、レベルが上がると、一部の技能は複数の敵を同時に攻撃することができます。
前衛は、ファイターやバトルダンサーが《薙ぎ払い》を選択習得すると、同じエリア(座標)の敵を同時に攻撃することができます。
後衛は、《魔法拡大/数》を宣言して「対象:1体」の魔法を複数に行使するか、「対象:1エリア」の魔法を行使して、複数の敵を同時に攻撃できます。
※後者は2Hマギテックシューターも可能です
「対象:1エリア」の魔法の行使に特化したビルドは、《魔法制御》を習得します。
ただ、筆者の知人には《薙ぎ払い》や《魔法制御》を習得しない(したがらない)人が多いです。
これらの宣言特技の詳細と評価について、掘り下げてみようと思います。
《薙ぎ払い》とは
《薙ぎ払いⅠ》はファイターおよびバトルダンサー技能レベル3以上で習得できます。
「用法:2H」の武器限定です。3体までに近接攻撃を行い、それぞれのダメージが「-3」されます。
※原則として命中力判定は一括、威力決定は個別に行います
レベル9で《薙ぎ払いⅡ》に置き換えが発生します。
対象は5体までに増え、ダメージの減少もありません。
高レベル帯では「複数部位・攻撃障害あり」の魔物が増えることもあり、有力な選択肢です。
ただ、筆者の参加する卓でファイターが《薙ぎ払い》を習得することは稀です。
理由はいくつかありますが、一つは習得レベルの問題です。
初期作成スタートのキャンペーンなら、知人の多くはファイターなら《全力攻撃Ⅰ》《かばうⅠ》等の宣言特技を習得します。
宣言特技は1手番に1回と考えると、レベル3以降で習得するのは常時特技です。
そのため《薙ぎ払い》が選択肢に上がりません。
もう一つは、単なるイメージの問題です。
《全力攻撃》や《かばう》はキャラクターの雰囲気を想像しやすいからだと思います。
《魔法制御》とは
範囲から任意の対象を除外して、魔法を行使することができます。
代表的な使い方は、敵と味方が入り乱れる乱戦エリアに、後衛から味方を除外してエリア内の敵全体に攻撃を行うものです。
前提として《ターゲッティング》《魔法収束》の習得が必須です。
《ターゲッティング》は、ソーサラーや、フェアリーテイマー、マギテックシューターがほぼ必ず習得する特技です。
《魔法収束》《魔法制御》を習得するなら、追加で2枠の特技枠消費が必要です。
したがって、最速習得は5レベルとなります。
《魔法制御》ビルドの代表はソーサラー、フェアリーテイマー、マギテックシューター等です。範囲攻撃ができるようになるのは、5〜6レベルです。
《薙ぎ払い》同様に、敵の数が多いほど効果的な宣言特技です。
《魔法拡大/数》で「対象:1体」の魔法を複数に行使することもできますが《魔法制御》型の強みはMP効率が良いことです。
《薙ぎ払い》ダメージ考察
レベル9以上では、ダメージ減少がなくなります。対象が3体なら、ダメージも3倍となります。
レベル8以下なら、ダメージは一律「-3」です。固定値であることがポイントです。
具体的なステータスから検証します。
作成レギュレーション3-4
リルドラケン(戦士生まれ)
ファイター4、レンジャー2
筋力24(ボーナス4)
《武器習熟A/メイス》《薙ぎ払いⅠ》
ポールメイス(威力43)
レベル4のリルドラケンのファイターです。
上記の構成で、ダメージ期待値は18点です。
敵の防護点を5点として、薙ぎ払いで与えるダメージは1体あたり10点です。
仮に《全力攻撃Ⅰ》を習得すると、ダメージ期待値は22点で、適用ダメージは17点です。
2体以上に当てることができれば、ダメージ総量の期待値は《全力攻撃Ⅰ》を上回ります。
また《薙ぎ払い》には回避力判定に対するペナルティ修正がありません。
同じ「-3」は、レベルが高いほど、ダメージ期待値に対する割合が小さくなります。
《魔法制御》ダメージ考察
《魔法制御》アタッカーの基本的な理念に、ダメージ総量優先が挙げられます。
先攻2ラウンド(または後攻1ラウンド)で乱戦エリアが形成されている状況を想定します。
《魔法制御》を宣言し、乱戦エリアに向けて「対象:1エリア」のダメージ魔法を行使します。
敵が3体なら、抵抗を突破すると合計3倍のダメージを与えます。
仮に抵抗されても、合計で1.5倍弱のダメージを与えることができます。
※抵抗されるとクリティカルしなくなります
レベル10以下の魔法使いは《ルーンマスター》を習得していません。手番に宣言できる特技は1つです。
「対象:1体」のダメージ魔法を選択し《バイオレントキャストⅠ》を宣言すると、ダメージのみを与える魔法なら達成値に+2します。
※PCの魔法行使判定と魔物の精神抵抗力判定の基準値が同じなら、抵抗を突破できる確率は約44%です。《バイオレントキャストⅠ》の効果で達成値が+2されると、確率は約66%に上昇します。
宣言特技で抵抗を突破しやすくなりますが、ダメージを与えるのは1体のみです。
レベル10以下の作成で《バイオレントキャスト》ではなく《魔法制御》を選ぶのは、敵の抵抗の突破よりもダメージ総量を優先するためです。
まとめ
レベル帯が上がるほど《薙ぎ払い》や《魔法制御》は有力な選択肢になります。
また、敵の数が多いほど強力になります。
一般的な3〜5人向けのシナリオなら、範囲攻撃が腐る可能性は低いです。
一方で、オリジナルシナリオは調整が独特であることも多く、環境次第で活躍できるかどうか決まってくる点に注意が必要です。