概要
日本発TRPGで最大級のプレイヤー人口を誇るソード・ワールド2.5を最近始めた、またはこれから始めたい方向けにキャラクター作成の指針について解説します。
今回は、フェンサー技能の考察です。フェンサーは、クリティカルで高火力を狙うことが可能な技能です。
目次
1 フェンサーの評価
2 フェンサーの役割
3 フェンサーの種族
4 フェンサーの特技
5 フェンサーの武器
6 サブ技能
7 ビルド例
1 フェンサーの評価
★★★☆☆(経験者向け)
クリティカルが出やすく、火力の上振れが大きい戦士系技能です。
一方で防護点がやや低く回避力が重要です。防具習熟型の回避力は戦士系技能で最も高くなります。
グラップラー専用装備を除くと、装備できない武器はありませんが、身のこなしの軽さが必要なフェンサーは装備できる武器の必筋がキャラクターの筋力の半分(端数切り上げ)という制限があります。
鎧や盾も同様で、必筋13のカイトシールドを装備するなら、筋力は25必要です。
フェンサーは単体攻撃が主な役割となります。
2 フェンサーの役割
まず前衛はタンクの役割が重要です。
必筋の制限で防護点が低くなるため、ファイターより回避力が重要です。敏捷度の高い種族を選びます。
フェンサー最大の特徴は、常時C値-1となることです。ゆえに、クリティカル発生率が高くなります。
C値10のソードのクリティカル発生率は約16.7%ですがフェンサー技能で攻撃すればC値9です。クリティカル発生率は約27.8%に上昇します。
ただし、必筋の低い武器しか装備できなくなるため、武器の威力はファイターよりも低くなります。
具体例として《武器習熟A/ソード》を習得した筋力23のキャラクターで考えてみます。
ファイター技能で装備できるのは威力28(用法:1H両)のフランベルジュです。
フェンサー技能で装備できるのは威力17(用法:1H)のディフェンダーです。
その他のメリットは、テーブルBの戦士系技能でレベルアップに必要な経験点が少なく、その他系技能や魔法使い系技能と兼任しやすいことです。
フェンサーは、クリティカルや回避力に特化しやすい技能ですが、防護点が低く攻撃が当たると大ダメージを受けます。また、クリティカルしなければ、火力はファイターよりも低くなります。
戦場では運要素が強い技能であるといえるでしょう。また、多彩なビルドが可能な技能でもあります。
3 フェンサーの種族
フェンサーに重要な能力値をまとめました。
○重要
敏捷度、生命力
○あると望ましい
器用度、筋力、精神力
○重要ではない
知力
敵の攻撃を回避するために敏捷度が重要です。また、魔法は抵抗しても半分のダメージは受けるため生命力も重要です。
攻撃を命中させるには器用度も重要です。
武器に必要な筋力は〈大きな手袋〉や【ジャイアントアーム】で誤魔化せますが、能力が高いに越したことはありません。
魔法を考慮すると精神力も高い方が望ましいです。
知力はあまり重要ではないでしょう。
GMをする際に、初参加の方にどの種族を勧めるか?と考えて評価しました。
※低~中レベル帯想定
★★★★★(迷ったらこれ)
人間、ナイトメア、ティエンス
★★★★☆(定番)
リカント、リルドラケン、グラスランナー
★★★☆☆(微妙)
エルフ、ルーンフォーク、レプラカーン
★★☆☆☆(苦行)
ドワーフ、メリア
★☆☆☆☆(ネタ)
タビット
4 フェンサーの特技
フェンサー(純戦士)で重要な特技を紹介します。
○常時特技
《回避行動Ⅱ》
《頑強》
《二刀流》
《武器習熟A/**》《武器習熟S/**》《武器の達人》
《変幻自在Ⅱ》
《防具習熟A/非金属鎧》《防具習熟S/非金属鎧》《防具の達人》
《命中強化Ⅱ》
《両手利き》
○宣言特技
《挑発攻撃Ⅱ》
《必殺攻撃Ⅲ》
固定ダメージが鍵となるグラップラーとは対照的に、フェンサーはダメージ算出において変動値が上振れる可能性が高くなります。
フェンサー(純戦士)の主な宣言特技は2つです。必殺フェンサーは《必殺攻撃》、回避フェンサーは《挑発攻撃》が候補です。
5 フェンサーの武器
フェンサーの武器はC値の低いソードなどが候補です。
※低~中レベル帯想定
必殺フェンサーは、C値の低い武器を装備します。
回避フェンサーは、命中力修正がプラスとなる武器が望ましいです。
回避フェンサーは命中力修正がプラスとなるメイスが第一候補ですが、お金があればBランク〈ソード〉の〈ウィークネスリビーラー〉も候補です。
6 サブ技能
フェンサーお勧めのサブ技能を紹介します。
★★★★★(迷ったらこれ)
スカウト、レンジャー、エンハンサー、アルケミスト
フェンサーの代表的なビルドは純戦士です。
その他系技能はファイターやフェンサーと同じです。
★★★★☆(定番)
フェアリーテイマー
魔法フェンサーは、経験点に余裕がある高レベル帯で候補となる可能性があります。
特に、召喚型フェアリーテイマーは知力を伸ばす必要がなく、戦士系技能が兼業しやすいです。
★★★☆☆(候補)
魔法使い系技能(フェアリーテイマー以外)
ライダー
必筋が低い非金属鎧を装備することが多いフェンサーは、鎧のカテゴリや必筋で魔法行使判定にペナルティを受ける多くの魔法使い系技能と兼業しやすい戦士系技能です。
ライダーは手数が増えるのがメリットですが、お金がかかるのが難点です。また、悪評を防ぐために騎獣が死なないことは重要です。
7 ビルド例
フェンサーはテーブルB技能です。自動習得する特技はありません。
フェンサーは安定感に欠け、キャンペーンよりは単発セッション向けです。
フェンサーに向くレベル帯と向かないレベル帯があるように思われます。
初期作成
3000点で作成するとき、ルールブックⅢの作成レギュレーションはレベル3の作成を許可していません。GMに確認して許可を得たら、フェンサーは有力な選択肢です。
レベル3
《必殺攻撃Ⅰ》は回避力判定-2のペナルティ修正が重いため非推奨。大人しく《回避行動Ⅰ》を取りましょう。
《防具習熟A/金属鎧》《かばうⅠ》を習得したファイターがいれば《必殺攻撃Ⅰ》は選択肢です。
レベル5(お勧め)
フェンサーをするならお勧めのレベル帯です。
《武器習熟S/ソード》を習得しC値8の〈ピアシング〉が装備できるようになります。
レベル3の特技は、レベル3作成と同じです。
レベル7(非推奨)
フェンサー非推奨。
ファイターの《タフネス》が強力です。ファイター以外は《頑強》を取りたいところですが、フェンサーは枠が不足しがちです。
レベル9
《回避行動Ⅱ》に置き換えが発生し、回避力修正が+2となります。
ファイターは《薙ぎ払いⅡ》、グラップラーは《インファイトⅡ》に置き換えが発生し、他の戦士系技能の火力が上がるレベル帯です。
フェンサーは、回避盾の役割が明確になるでしょう。
レベル11(お勧め)
フェンサーが最も使いやすいレベル帯です。
《必殺攻撃Ⅲ》に置き換えが発生しリスクがなくなります。また、《防具の達人》で回避フェンサーの性能が大幅に向上します。
レベル10-11のレギュレーションは所持金120000Gでファイターは《武器の達人》《防具の達人》型ともに金欠気味です。
(実際、残り数百Gで作成したこともありました)
また、ファイターやグラップラーが《バトルマスター》を習得していないため、相対的にフェンサーが使いやすくなります。
レベル13以上
回避フェンサー、魔法フェンサーは候補です。
ファイターやグラップラーが《バトルマスター》を習得し、火力が大幅に上がります。
また、真語魔法を使用する魔物は【ブリンク】を使用します。手数型のグラップラーはともかく、必殺フェンサーにとって厄介な相手です。
以下、レベル11の作成例です。
必殺フェンサー(作成レギュレーション10-11)
01《武器習熟A/フレイル》
03《必殺攻撃Ⅲ》
05《武器習熟S/フレイル》
07《回避行動Ⅱ》
09《頑強》
11《武器の達人》
フェンサー11
スカウト9
レンジャー9
エンハンサー3
アルケミスト1
このビルドは、必筋15のシルバーコメットを装備することを想定しています。最低筋力は29で、成長9回なら初期値で必要な筋力は20です。
フェンサー技能で使用するとシルバーコメットはC値8です。《必殺攻撃Ⅲ》を宣言し【クリティカルレイ】Aランク消費なら出目5でクリティカルします。
最初のクリティカル率は約83.3%で、その後は約41.7%です。
《必殺攻撃Ⅲ》はリスクがなく、魔物のクリティカル無効能力を無効化する仕様となります。
筋力が足りないなら、必殺フェンサー御用達アイテム〈大きな手袋〉がお勧めです。装備すると武器の必筋を-5します。
フェンサーは装備可能な武器の必筋がキャラクターの筋力の半分となるため、筋力を10超過する武器を装備できます。
ただし、両手の枠を1つの装備で占用するため、代償も大きいです。
練気【ジャイアントアーム】を習得し、1ラウンドの間筋力を+12して、半ば強引に必筋の高い武器を装備する選択肢もあります。
※エンハンサー5レベルから習得できます
上記を合わせて、必要な筋力を22下げた状態で武器を装備することができます。
C値10(フェンサーC値9)の威力70のSSランクソード〈ガイスター〉をフェンサー技能で装備するのに必要な筋力は59です。
※イグニダイト加工時、威力80
〈大きな手袋〉【ジャイアントアーム】の組み合わせで筋力37で装備できます。超高レベル帯なら届く数値です。
【クリティカルレイ】Sランクを使用し《必殺攻撃Ⅲ》を宣言して攻撃すれば出目5でクリティカルします。
クリティカル率は最初が約83.3%で、その後は約27.8%です。
フェンサーは《超頑強》を習得しませんが《回避行動Ⅱ》を習得できます。《頑強》と合わせて耐久力を確保します。
レンジャー9レベルで習得する《ポーションマスター》は戦闘準備とラウンド中に1回、補助動作でポーションを使用可能にします。
ファイターやグラップラーと違い、フェンサーの武器は命中力にプラス修正がないことも多いです。
命中力を補うならデクスタリティポーションの使用がお勧めです。
挑発フェンサー(作成レギュレーション10-11)
01《防具習熟A/非金属鎧》
03《挑発攻撃Ⅱ》
05《防具習熟S/非金属鎧》
07《回避行動Ⅱ》
09《頑強》
11《防具の達人》
フェンサー11
スカウト9
レンジャー9
エンハンサー3
アルケミスト1
《挑発攻撃Ⅱ》を習得して、敵の攻撃を引き付けて回避タンクの役割を果たします。魔法が「抵抗:消滅」となるグラスランナーが最適種族です。
《挑発攻撃Ⅱ》の仕様で、敵が「知能:高い」なら挑発してきた相手を攻撃する必要はありませんが、挑発を無視すると、命中力・魔法行使判定に-2のペナルティ修正を受けます。
鎧は〈アストラルガード〉、盾は〈ハーフムーン〉を装備します。防具の回避力修正は+3で《回避行動Ⅱ》と合わせると+5です。
高レベル帯は敵が魔法を使ってくることも多いです。魔法行使判定に-2のペナルティ修正を与えれば攻撃がクリティカルする確率を大幅に軽減できます。
火力は重視しないため、筋力は防具で要求される水準(必筋6=筋力11)があれば問題ないでしょう。
《挑発攻撃》は命中しなければ効果を発揮しません。メイスが第一候補ですが〈ウィークネスリビーラー〉は命中で魔物の弱点が判明するため、所持金に余裕があれば候補となります。
妖精フェンサー(作成レギュレーション10-11)
01《武器習熟A/**》or《防具習熟A/非金属鎧》
03《必殺攻撃Ⅲ》or《挑発攻撃Ⅱ》
05《武器習熟S/**》or《防具習熟S/非金属鎧》
07《回避行動Ⅱ》
09《頑強》
11《武器の達人》or《防具の達人》
フェンサー11
フェアリーテイマー10
レンジャー5
エンハンサー3
アルケミスト2
魔法戦士のフェンサーです。経験点が重く、その他系技能はあまり取れませんが、多彩な動きが可能です。
先攻1ラウンド目に妖精を召喚すると、制限移動となるため接敵できません。妖精が盾となります。
2ラウンド目に召喚するなら《マルチアクション》推奨です。ただ、高レベル帯は短期決戦が多いです。
《魔法拡大/数》などの特技は召喚した妖精が習得しています。
他に前衛がいないパーティなら、土属性の妖精を召喚しストーンウォールを敵の前に立て、視線を遮りつつ敵の移動を阻害するような立ち回りも可能です。
《マリオネット》を習得すれば、妖精の手番が自身の手番の直後に固定されなくなります。
レベル17の妖精王は強力です。【フェアリーロード】が解禁される15レベルで習得するのも候補です。