概要
日本発TRPGで最大級のプレイヤー人口を誇るソード・ワールド2.5を最近始めた、またはこれから始めたい方向けにキャラクター作成の指針について解説します。
今回はグラップラー技能の考察です。グラップラーは単体攻撃で無類の火力を誇る技能です。
目次
1 グラップラーの評価
2 グラップラーの役割
3 グラップラーの種族
4 グラップラーの特技
5 グラップラーの武器
6 サブ技能
7 ビルド例
1 グラップラーの評価
★★★★☆(定番)
攻撃回数が多く、攻撃に特化した戦士系技能です。
ルールブックⅠのリカントのサンプルが拳闘士です。
一方、防護点が低く回避力が重要です。
武器はグラップラー専用装備に限られます。命中力が上昇する〈パンチ〉を強化する武器を選ぶのが一般的です。
また、鎧に大幅な制約を受け、盾を装備できません。
複数攻撃を得意としている《薙ぎ払い》ファイターや後衛の《魔法制御》アタッカーに対し、グラップラーは単体攻撃で無類の火力を誇ります。
2 グラップラーの役割
前衛全般に言えることですがタンクの役割がまず重要です。
防具の制限で防護点が低くなるため、ファイターよりも回避力が重要です。できれば、敏捷度の高い種族を選びましょう。
グラップラーの最大の特徴は、自動習得の特技《追加攻撃》で常時2回攻撃が可能なことです。
※〈パンチ〉〈キック〉は適用、〈投げ〉は適用外
ただ、単発の火力はファイターよりも低くなります。固定ダメージを盛ることを意識しましょう。攻撃回数が2倍なら、固定ダメージも2倍です。
以上を踏まえるとグラップラーは攻撃に特化した技能ですが、総じて脆く、味方の協力を得ることも重要な技能であるといえるでしょう。
※モンストラスロア導入環境なら後衛のドルイドと好相性です
3 グラップラーの種族
グラップラーに重要な能力値をまとめました。
○重要
敏捷度、生命力
○あると望ましい
器用度、筋力、精神力
○重要ではない
知力
敵の攻撃を回避するために敏捷度が重要です。また、生命力が高い方が安定します。
攻撃が命中するには器用度も重要ですが、〈パンチ〉を強化する武器は命中力の修正がプラスです。意外となんとかなります。
装備の必筋が低く、筋力はファイターほどは重要ではありませんが筋力ボーナスが上がると追加ダメージが増えます。攻撃回数の多さは、固定ダメージが重要な理由です。
※リカントがグラップラー向け種族といわれる理由です
魔法を考慮すると、精神力も高い方が望ましいです。
知力はあまり重要ではないでしょう。
GMをする際に、初参加の方にどの種族を勧めるか?と考えて評価しました。
※低~中レベル帯想定
★★★★★(迷ったらこれ)
人間、ナイトメア、リカント、リルドラケン、ティエンス
★★★★☆(定番)
グラスランナー
★★★☆☆(微妙)
エルフ、ドワーフ、ルーンフォーク
★★☆☆☆(苦行)
メリア、レプラカーン
★☆☆☆☆(ネタ)
タビット
4 グラップラーの特技
グラップラーで重要な特技を紹介します。
○常時特技
《頑強》
《超頑強》
《跳び蹴り》
《二刀流》
《武器習熟A/格闘》《武器習熟S/格闘》
《命中強化Ⅱ》
《両手利き》
○宣言特技
《インファイトⅡ》
《牙折り》
《鎧貫きⅢ》
攻撃回数が多いグラップラーは追加ダメージを上げた方が強くなる傾向があります。
ファイターやフェンサーと比較すると常時特技の優先度が高いです。中レベル帯でも宣言特技を習得しない可能性があります。
レベル7で自動習得する常時特技《カウンター》を活用するなら宣言特技《インファイト》がお勧めです。
5 グラップラーの武器
グラップラーは、攻撃で使用する身体の部位によって装備する武器が異なります。
※低~中レベル帯想定
★★★★〈パンチ〉主体
王道です。《両手利き》と合わせると、3回攻撃が可能です。命中力が上がる武器が多く、使いやすいです。
単発の火力は低く、固定ダメージを上昇させることが重要です。
★★★☆〈キック〉主体
〈キック〉は〈パンチ〉より高威力ですが、命中力が下がる武器が多いです。加えて、腕を使わないため、《両手利き》の対象外です。
《跳び蹴り》を採用すると〈キック〉を使用します。〈パンチ〉型でも忘れずに武器を買いましょう。
低レベル帯は命中力を確保する手段が少ないため〈パンチ〉主体が最も使いやすいです。
中〜高レベル帯は《両手利き》の効果で〈パンチ〉主体が最も火力が出せるようになります。
エピックトレジャリー導入環境なら〈キック〉主体型グラップラーは回避盾として活躍できます。〈ミモレの●●布鎧〉を装備すると回避力が大幅に上昇するためです。
上記の構成は、回避盾フェンサーに劣らない回避力を確保することができます。回避しながら反撃を狙える〈ブレードスカート〉とのシナジーも期待できます。
★★☆☆〈投げ〉主体
〈投げ〉は《追加攻撃》の対象外ですが、威力が高く転倒付与が強力です。
一方で〈投げ〉無効の敵は多いです。過去に参加したセッションで、初参加者が投げ主体のグラップラーを作成したところ〈投げ〉が可能な敵が1体も出ない日がありました。
作成段階で敵が判明しているならともかく〈投げ〉が無効の敵を考慮すると積極的にお勧めしたい構成ではありません。
★★☆☆〈尻尾〉主体
リルドラケンは、〈尻尾〉を使用できます。《テイルスイング》を宣言すれば複数を攻撃できますが、武器の威力が低いです。《薙ぎ払い》ファイターの方が高火力です。
火力こそパワー!
6 サブ技能
グラップラーお勧めのサブ技能を紹介します。
★★★★★(迷ったらこれ)
スカウト、レンジャー、エンハンサー、アルケミスト
グラップラーの代表的なビルドは純戦士です。
その他系技能はファイターやフェンサーと同じです。
★★★☆☆(候補)
ソーサラー、コンジャラー、プリースト(キルヒア)
フェアリーテイマー(召喚型)
ライダー
いずれも経験点が余る超高レベル帯(レベル13以上)限定です。大半のレベル帯では、魔法を覚える必要はありません。
※ソーサラーは、レベル8のブリンクが戦闘準備で使えて便利です
※コンジャラーは、レベル10のスケープ・ドールが便利です
※プリーストは、キルヒア神官のレベル10のプレコグが強力です
※魔法を習得するとMPが増えるためエピックトレジャリー導入環境なら熱狂の酒を飲むと実質HPが増えます
ライダーは、手数が増えるのがメリットです。お金がかかるのが難点ですが、グラップラーは戦士系技能で最も装備が安価で余裕があります。
ただ、悪評を防ぐために、騎獣が死なないことは重要です。
※魔動機がお勧めです
《かばうⅡ》《ガーディアンⅡ》《防具の達人》を習得すると騎獣への攻撃を肩代わりできるファイターとは違い、騎獣を守る手段がないのが難点です。
7 ビルド例
グラップラーは《カウンター》をレベル7で、《バトルマスター》をレベル13で自動習得します。
純戦士(作成レギュレーション10-11)
01《武器習熟A/格闘》
03《両手利き》
05《武器習熟S/格闘》
07《二刀流》《カウンター》
09《頑強》
11《超頑強》
グラップラー11
スカウト9
レンジャー7
エンハンサー3
アルケミスト1
《両手利き》《ファストアクション》を習得し、先攻1ラウンド目に最大6回攻撃を狙うビルドです。
※《ファストアクション》は、スカウト7レベルで自動習得する常時特技です
《二刀流》は《インファイトⅡ》も候補となります。
【マッスルベアー】や【ヴォーパルウェポン】で固定ダメージを稼ぐため、安定して高火力を出せます。
グラップラーは先手必勝です。《頑強》《超頑強》を習得しHPを+30することで「倒される前に倒す」のを狙います。
スカウトとレンジャーを兼任するため、戦闘以外でも貢献度が高いのは長所です。
〈キック〉主体型(作成レギュレーション14-15)
01《防具習熟A/非金属鎧》
03《鎧貫きⅢ》
05《防具習熟S/非金属鎧》
07《頑強》《タフネス》《カウンター》
09《超頑強》
11《武器習熟A/格闘》
13《武器習熟S/格闘》《バトルマスター》
15《武器の達人》
ファイター7
グラップラー15
プリースト(キルヒア†)10
スカウト9
レンジャー9
エンハンサー5
アルケミスト5
〈キック〉を強化する武器を装備して〈ミモレの極上布鎧〉で回避力を強化するビルドです。
※要エピックトレジャリー
15レベルの作成ですが、中〜高レベル帯なら基本的な考え方は変わりません。大半のレベル帯では、純戦士のビルドとなります。
※経験点が余るため、ファイターやプリーストを習得しています。前者は《タフネス》、後者は【プレコグ】が目的です。
〈ミモレの極上布鎧〉は防護点+2、回避力+2ですが、両手に何も持っていない状態では、さらに回避力を+2します。
回避力がかなり高いため、単に回避するだけでなく、能動側よりも4以上高い達成値で回避に成功できたなら〈ブレードスカート〉による反撃もできます。
この構成を最も上手く活かせるのは〈キック〉主体のグラップラーです。
攻撃回数の少なさから、火力は〈パンチ〉主体よりも低くなりますが、回避力が高いため、タンクの能力は〈キック〉主体のこの構成の方が高くなります。