概要
日本発TRPGで最大級のプレイヤー人口を誇るソード・ワールド2.5を最近始めた、またはこれから始めたい方向けにキャラクター作成の指針について解説します。
今回は戦闘特技の選び方です。本記事の内容はレベル10以下の作成を対象としています。
初めてソード・ワールドを遊んだ際、戦闘特技の選び方でかなり悩んだ記憶があります。同じように考える人がいるのではと思い最初に書くことにしました。
目次
1 戦闘特技とは
2 常時特技(パッシブスキル)
3 宣言特技(アクティブスキル)
4 前衛の構成例
5 後衛の構成例
1 戦闘特技とは
適切な戦闘特技を覚えることで冒険者は戦力を上げていくことができます。
戦闘特技は、自動習得と選択習得のものがあります。グラップラーの《追加攻撃》は、グラップラー技能を習得したタイミングで自動的に習得します。
特定の技能のレベルを上げると、自動習得する特技もあります。
スカウトはレベル5で《トレジャーハンター》レベル7で《ファストアクション》レベル9で《影走り》を習得します。
初心者にとって(むしろ、経験者にとって)悩ましいのが選択習得の特技を何にするかです。
選択習得の特技を新たに習得するタイミングは、奇数レベルです。最大で8つの特技を習得します。
初期作成のキャラクターはレベル1または2で習得する特技は1つだけです。
後衛の魔法使いは定番となる特技がある程度決まっているため、それほど悩まないかもしれません。
ただ、前衛の純戦士や魔法戦士は、悩ましい点も多いです。
特技は、常時特技、宣言特技、主動作特技の3つに分類されます。
常時特技はパッシブ、宣言特技はアクティブと呼ぶ方が馴染みがあるかもしれません。
※主動作特技は数が少ないため割愛します
2 常時特技(パッシブスキル)
習得しているなら常時効果が発動する特技です。
《武器習熟A/ソード》はカテゴリ〈ソード〉のAランク武器を装備できるようになるほかに〈ソード〉に分類される武器で与えるダメージを常に+1します。
後衛の魔法使いは初期作成で《ターゲッティング》を習得することが多いです。
3 宣言特技(アクティブスキル)
常時特技と異なり、宣言特技は宣言した攻撃等に有効です。
《全力攻撃Ⅰ》は、近接攻撃を行う前に宣言し、命中するとダメージを「+4点」しますが、あらゆる回避力判定に-2の修正を受けます。
一部の特技はリスクがあります。《全力攻撃Ⅰ》なら、敵の残りHPが少ない等の理由で、宣言するメリットがなければ宣言しなくても構いません。
宣言特技で最も重要な制約は、宣言は原則として1手番に1回まで、ということです。
※常時特技《変幻自在Ⅰ》を習得している場合を除く
同じ手番に、複数の宣言特技を重ねて宣言することはできません。したがって、習得する宣言特技は1つまでが基本です。
※魔法使いのビルドは事情が異なります
初期作成(レベル2)のファイターなら習得できる特技は1つだけです。
攻撃重視型は常時特技なら《武器習熟A/**》宣言特技なら《全力攻撃Ⅰ》を習得する可能性が高いでしょう。
では、どちらを取るべきか考察したいと思います。
《武器習熟A/**》は**で選ばれたカテゴリ(ソード、アックス、メイス等)の武器によるダメージを常に+1します。
《全力攻撃Ⅰ》は、宣言した攻撃で与えるダメージを+4しますが、回避力判定に-2の修正を受けます。
ダメージは《全力攻撃Ⅰ》が勝りますが、リスクを考慮すると、どちらを選ぶかは好みです。
※筆者は《武器習熟A/メイス》派です
※武器習熟Aは(お金があれば)Aランク武器を装備でき、Bランク武器よりも高威力になります。
ただ、初期作成は基本的にお金が足りません。しかし、後衛の魔法使いから借金できれば強い武器を購入できるかもしれません。その時は《武器習熟A/**》を選択する方が強くなります。
エルフで魔法使いをしている筆者は優しいので、出来る限り貸してあげます。むろん無利子です(実績あり)。
4 前衛の構成例
※黒字→常時特技、赤字→宣言特技
作成例1(初期作成)
ファイター2、レンジャー1、エンハンサー1
01 《防具習熟A/金属鎧》
攻撃は受ける前提で防護点を上げてダメージを抑える(ゼロにする)型です。
威力の高い武器や防護点の高い防具は高い筋力が必要なため、ファイターは高筋力種族が適しています。
たとえば、ドワーフやリルドラケンは敏捷度が低く、回避力に期待はできませんが、防護点を上げることができます。
高ランクの防具は高価です。初期作成の鎧はBランクになる可能性が高いです。
ただ、《防具習熟A/金属鎧》は常に金属鎧の防護点を+1するため、取得しても無駄になりません。
※武器習熟についても同様です。基本的に、前衛は武器または防具習熟の少なくとも一方は習得するのが基本です。
ドワーフは器用度が高いですが、リルドラケンは筋力と生命力が高く、他の能力は全般的に低めです。命中難になりやすいため、武器は命中力が上がるメイスがお勧めです。
※ソード・ワールドは特に低〜中レベル帯で命中難になりやすく、メイスは定番武器です。そのためメイス・ワールドと呼ばれることがあります。
作成例2(作成レギュレーション4-5)
ファイター5、レンジャー3、エンハンサー1
01 《武器習熟A/アックス》
03 《薙ぎ払いⅠ》
05 《武器習熟S/アックス》
両手武器(用法:2H)を持ち、最大3体の範囲攻撃を可能としたビルドです。
リスクとして《薙ぎ払いⅠ》を宣言した攻撃は個々のダメージが-3されます。
《薙ぎ払いⅠ》はレベル9で《薙ぎ払いⅡ》に置き換えられます。攻撃対象は最大5体に増えリスクもなくなるため、レベル9以上の作成で第一候補の特技です。
範囲攻撃は魔法使いの役割ですが、前衛の戦士はMPを消費することなく攻撃できる点が強みです。
《薙ぎ払いⅠ》はレベル3で習得することができます。初期作成では習得できない点にご注意下さい。
※《薙ぎ払いⅠ》の習得時期がレベル3と遅いためバトルダンサーは使いにくいのですが、その話はまた⋯
作成例3(作成レギュレーション4-5)
グラップラー5、スカウト3、エンハンサー1
01 《武器習熟A/格闘》
03 《両手利き》
05 《二刀流》
他 《追加攻撃》※グラップラー技能で自動習得
作成レギュレーション4-5のグラップラー作成例です。先ほどのファイターとは異なり宣言特技がなく、常時特技のみで構成されています。
グラップラーは、自動習得で《追加攻撃》を習得するため、常時2回攻撃が可能です。
このビルドはさらに《両手利き》を習得することで、常時3回攻撃を可能としています。
《両手利き》は命中力-2のペナルティ修正を受けますが《二刀流》を習得するとペナルティを受けません。
グラップラーは攻撃回数が多いものの一撃が軽く防護点の高い敵が苦手となりやすいです。したがって固定ダメージを増やすことも重要です。
苦手な敵を対策するなら、レベル3で《鎧貫きⅠ》を、レベル5で《武器習熟S/格闘》を習得します。
※筆者は苦手な敵を極力作りたくないのでこのビルドを選びます
5 後衛の構成例
作成例1(初期作成)
プリースト2、スカウト1、セージ1
01 《魔法拡大/数》
初期作成(3000経験点)の神官の作成例です。経験点を使い切るなら、B技能を2つ取ることができます。
※複数のシナリオにまたがって同じキャラクターを使うならその他系技能は1つで経験点を余らせると次のシナリオでレベルアップする可能性が高いです
後衛の神官は《魔法拡大/数》の習得が必須です。
※自己回復しながら攻撃する神官戦士は、この限りではありません
プリーストが最初に習得するダメージ魔法はレベル3のフォースです。後述の《ターゲッティング》を習得するならレベル3以降がお勧めです。
作成例2(初期作成)
マギテック2、シューター1、スカウト1
01 《ターゲッティング》
ソード・ワールドの戦闘における主要な要素の一つは乱戦エリアです。
銃や弓のような射撃武器や、形状:射撃の魔法を乱戦エリアの外から中に向けて撃つようなとき、そのままでは、敵と味方のどちらに当たるかはランダムに決定され、自由に選べません。
そのため、後衛アタッカーは《ターゲッティング》を習得するのが一般的です。
《ターゲッティング》があれば乱戦エリア外から乱戦エリア内を狙うとき、対象を選べるようになります。
作成例3(作成レギュレーション5-6)
ソーサラー6、コンジャラー1、セージ5
01 《ターゲッティング》
03 《魔法収束》
05 《魔法制御》
他 《鋭い目》※セージ技能5レベルで自動習得
ソーサラー(真語魔法使い)はレベル6でエリアを攻撃する魔法を覚えます。
《魔法拡大/数》を宣言し、対象:1体の魔法を複数に撃つこともできますが、MPは有限です。したがって、エリアを対象とする魔法は効率的です。
複数の敵を1手番で同時に攻撃できるため、範囲攻撃は強力です。しかし、敵と味方が入り乱れる乱戦エリアに撃ち込んだとき、味方も無差別に攻撃します。
《魔法制御》を宣言すれば、攻撃する範囲から任意の対象(味方)を除外することができます。
《魔法制御》を習得するには《ターゲッティング》と《魔法収束》を習得していることが必須条件です。
《魔法制御》を習得するビルドはレベル6(目安)以降の魔法使いの王道構成です。