James Blake@新木場スタジオコースト | 奥浜レイラオフィシャルブログ「L→R」powered by Ameba

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三度目の正直ならぬ、三度目のJames blake(すいません、何でもないです)
観てきました。

初めては2011年の秋、名古屋のクアトロで観て、次は去年のフジロックで、そして今回は新木場スタジオコースト、2ndアルバム『Overgrown』のツアーです。
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(コーストっていうと撮影は決まってここよね)


まず会場でびっくりしたのが、前回の単独公演とのお客さんの違い。
名古屋で観た時はもっと一人で来ている人が多かったし、コアな洋楽ファンというか・・聴いている時のテンションからも、それが分かったんですよね。

今回は、もちろんそういう方もいましたけど、仕事帰りのカップルとか、お洒落なファッションのお姉さんたちとか、向かっている時に「私コーストって初めてで場所がー』なんて声も聞こえたりして、明らかに裾野が広がった印象。
アルバム2枚目にして幅広くファンを取り込んでいるんだな。
レディオヘッドやビョークなど、その辺りと客層が近い。

初めて観た時は、当たり前にデートに誘えるアーティストだとは微塵も思いませんでした(良い意味ですよ!)だって音の嗜好が明らかに玄人受けだったし、デートに誘うにはちょっと勇気がいると思う。
それがこの変化!私は嬉しかった!
ある意味分かりやすい音楽(いや、JBだって分かりやすいと思うんですが、違う意味の)例えば皆が知ってるコールドプレイ、ノラ・ジョーンズとか、入り口の広い音楽ですぐに楽しめるものではなくて、別の音楽の楽しみ方を日本人がこれだけ受け入れて、求めているということが!私は嬉しかったのです。(勝手に)

前にも番組で話しましたけど、日本のライブでよく見かける光景として『人差し指を一本立てて、サビで皆おんなじ動きをする現象』(いい加減この現象に名前をつけたい)ありますよね。こういう分かりやすい楽しみ方ではなくて、みんな各々の方法で音楽と向き合っている雰囲気がありました。
もちろん、どちらが良い悪いではありません。楽しみ方は人それぞれと言うなら、James Blakeで『人差し指を一本立てて、サビで皆おんなじ動きをする現象』(長いわ・・)が起きたって良いんですけどね。


さて、肝心のパフォーマンスの話。
以前にも増して、肉体を感じました。
マッチョと違う意味の肉体的な音。
彼から発されたサウンドと声、重低音が一気に私の内臓を駆け抜けて、身体を通過していくという、
つまり彼と私たちは肉体的なか…(以下略)
彼はダブステップというジャンルで呼ばれることが多いですし、あえて分けてしまうとそうなのかもしれませんが、改めてジャンル不要の音楽だと。
ソウルを感じるアーティスト。肉体=ソウル(魂)ということでしょうか。

CDでは分からなかった情報量が、一気に伝わってくるステージなんですよね。
それは重低音の音圧であったり、voエフェクトの調整の仕方、声の重ね方、リズムを静から動に動かす瞬間の気持ちよさ(これは本人の表情からも分かる)など・・耳はもちろん、内臓で受け取る音楽。
隣で番組ディレクターが一緒に観ていたのですが、2曲目 I Never Leant To Shareが始まって程なく、声をループさせて重ねて行く工程を見て聴いて「すごい・・」とつぶやく声が聴こえました 笑
お客さんもそうでしたよね。
絶妙な重なり方を見せるたびに感嘆の声。

ライブの前半は、彼の声の魅力を知るパートでした。
今作が、いかにボーカルに重きを置いて作られたかということを納得する。
彼のやっていることは確かに複雑に見えるけど、実は彼は音楽家としてとてもシンプルな考えを持っているのだと思う。
今作を聴いて来ているから尚更ね。

そしてアンコールのラストにドラムもギターもなく、一人でジョニ・ミッチェルのカバーでCase Of Youを歌った。
それが、この最新作を引っさげてのツアー、ということの象徴する瞬間だった。

もちろん、ダンス/エレクトロという切り口もあって、CMYKやKlavierwerkeの時の彼自身の楽しんでいる感じは彼がやりたいことを成し遂げている、踊らせたいという気持ちが見えて良かった。
前回よりも色んな側面が見えたように思う。
この人はまだまだやりまっせ!というのが見え隠れ。
来日毎に見なくては!と思わせるのは、そこかも。魅力的な音楽家という証ですよね。
Overgrownの壮大な展開、Retrogradeの後半の広がりには鳥肌が立ちっぱなしでした。
新境地というより、これも通過点という余裕さえ感じたな。まだ開けてない引き出しがたくさんある。

あと今回は、ボーカルの入るタイミングを間違えて、椅子でくるりと回転、笑みを見せるという人間っぽさもあって、個人的にはそれが好きでした。天才も人なのねーという、凡人らしい安堵(笑)


MCで話していたように、何度も何度も日本に来てほしいですね。
今回のステージで、この先に彼が作り出せる音楽は無数にあると感じた。
次回作はもっとダンサブルかもしれないし、もっとソウルフルかも、フォーキーかも・・なんて。

余談ですが、アルバムリリースのタイミングで一番びっくりした話は、Jamesの彼女がWarpaintのドラムのテレサだということでした。
まさかのロスのバンド。
あ、でもそれ以前にWarpaintがロスということがまず意外なんですけどね。NYと言われても疑わないな。

〆が恋バナかよ!突っ込まれそうな感じですが、言いたくなっちゃったから言い逃げー!

それではまた。

最後になりましたが、会場で誕生日のお花をプレゼントしてくださり、ありがとうございました。
レインボーのカーネーション、綺麗に咲いてます。
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